池袋のたわいもない景色
どんなにそのときの思いを詳細に書き記していたとしても、数年後、あるいは10年後20年後、気持ちをありありと思い出すのはむずかしい。それでも、ときどき書きたくなる。忘れないように、この思いをいつでも、1ミリも逃すことなく思い出せるように、と。そして満足のいく「記録」を終えた瞬間から、その思いは色褪せていく。
僕は20代のころ東京池袋の近くに住んでいた。本当に社会的にどうしようもない20代を過ごしていた。最低限お金を稼いでいたけど、パチスロと音楽とインターネットばかりしていた。