ハイブリッド学会を格安で実現したので覚書
こんばんは。現地開催+WEBライブ配信+オンデマンド配信の学会を裏方としてやってみたので今後自分がやるときの覚書。
今回のシステム要件
今回行った学会の要件は以下の通り。
●費用:安ければ安いほどよい。
●現地開催要件
・規模:200人程度入る会場
・日程:1日
・施設設備:高速有線LANがあること(上り下りともに200Mbpsは欲しい)
・登壇者は基本的に現地参加(WEBからの配信リスク低減のため(後述))
・登壇者は座長と演者の2名。
・マイク・スピーカー、プロジェクターは備え付け
・会場の音響へのin/outあり。
・一般演題の終了のチーンを鳴らす。
・PCの操作に慣れているとは限らない人が発表する
・できればWEBで流れているのと同じ画面が会場でも流れる
●WEB開催要件
・基本的に出席は取る必要がない前提。(これで助かった)
・追いかけ再生があるとGOOD
・人数は最大でも200人
・質問などは受け付けられたら受け付ける(必須でない)
・セキュリティ必須(レベルは問わない)
●オンデマンド配信要件
・後で動画を編集する必要がある。
・期間限定で配信できること
・誰がみたかを確認する必要がない(これで助かった)
・セキュリティ必須(レベルは問わない)
これらを前提とした話になります。これらを満たしつつ格安で実施することを検討してみました。
まず、業者に頼んだ場合をリサーチ。
業者へ頼んだらいくらなのか。
機材+オペレーター2人で370,000円~150?300万?ほど。のようなので、目標は30万以下(人件費抜き、税込み)ということになりそう。
フルで機器を集めたら、、、
さてということで機材をフルで集めるとどうなるか。検討します。
・PC(なるべく高性能なものが1台必要、その他数台のPC必要)
・ビデオカメラ3台(座長、演者、全体)
→HDMIにパススルーできる機材。
・ビデオスイッチャー
・音声ミキサー
・HDMIケーブル(15m×3、5m×1、2m×1)
・モニター
・LANケーブル4本(長いやつ)
・LANハブ1個
このくらいは最低必要になる。
お値段を計上していきましょう。※2021.12.22現在
・PC:5台持っているもの ※ただし1台は高性能PC=0円
・ビデオカメラ:HDR-CX470(30257円)×3=90,771円
・ビデオスイッチャー:ATEM Mini=34,371円
・HDMIケーブル:アマゾンベーシック(15m, 5m, 2m) 3,563円×3+1,051円×1+687円×1=12,427円
・音声ミキサー:YAMAHA AG03=15,960円
・モニター:24インチ×2 VZ249HR 17,980円×2=35,960円
・LANケーブル(cat6): LD-GPN/BU30 1,768円×4=7,072円
・LANハブ:TL-SG105 1,800円
合計:198361円
PC抜きでこの値段になるんですね。。まぁPCでさえ新調しなければレンタルよりは安い、、という結果ですね。あとはどこまでクオリティ維持しながら経費削減できるかを検討します。
ライブ配信プラットフォームはどれにするか問題
色々検討しましたが、、人数が100人程度、出席確認なし、オンデマンド配信も行う、セキュリティ必須という観点からYOUTUBE LIVEで行うこととしました。ZOOMも検討しましたが、PCでにかかる負荷が大きすぎ、人数100人とすると無料では厳しいということで断念しました。
YOUTUBE LIVEの仕様
時間:12時間以内
容量:128GB以下
料金:無料
アーカイブ:無制限
動画のダウンロード:無料
費用を減らしたい!
●ビデオカメラが全体の半分の費用がかかっているのでなんとか減らせないかを検討しました。
・WEBカメラを3台一つのPC接続できるが、同じ機器は1台しか認識しない。
・PCから演者、座長まで30mくらい離れており、USBの延長は厳しい。
→WEBカメラを繋いだPCを座長、演者の近くに置く+映像を何かしらで配信PCに送れればなんとかなる!
解決策:ビデオカメラをWEBカメラ+NDI(NDIについては後述)で代替!
ビデオカメラ:HDR-CX470(30257円)×3=90,771円
→WEBCAM C922n 7,800円×3=23,400円!
HDMIケーブル:アマゾンベーシック(15m, 5m, 2m) 3,563円×3+1,051円×1+687円×1=12,427円
→15m 3,563円のみ!
●音声ミキサーはATEM miniで代用できそう。(会場の音声Line inが使用できるため)
音声ミキサー:YAMAHA AG03=15,960円
→なし 0円!
●モニターは持ってるやつ持っていくか。。。
24インチ×2 VZ249HR 17,980円×2=35,960円
→なし 0円!
・PC:5台持っているもの ※ただし1台は高性能PC=0円
・ビデオカメラ:WEBCAM C922n 7,800円×3=23,400円
・ビデオスイッチャー:ATEM Mini=34,371円
・HDMIケーブル:アマゾンベーシック(15m) =3,563円
・LANケーブル(cat6): LD-GPN/BU30 1,768円×4=7,072円
・LANハブ:TL-SG105 1,800円
合計:66,643円
これなら(金額的には)なんとかなる。
ということでシステム構築をしていきます。
システム概要
こうなりました。この図書いてみたけど結果分かりにくいという問題をはらんでます。
10回くらい自分でも書き直して当日の配線間違わないように、のための図です。(汗
詳細の説明は、元気があるときにまた書きます。(知りたい人がいれば、、
使用したハードウエア
配信用PCのスペック
配信用のPCは HP Spectre x360 Convertible 14-ea0xxxです。
スペック
・OS:Windows 10 Pro (64bit)
・CPU:11th Gen Intel(R) Core(TM) i7-1165G7 @ 2.80GHz
・メモリ:16GB
・ディスプレイ:13.5インチ・3K2K OLED (光沢)・タッチディスプレイ
・グラフィック:インテル® Iris® Xe グラフィックス
・ストレージ:1TB SSD + 32GB インテル® Optane™ メモリー
グラフィックの部分が不安ではありましたが、なんとかなりました。
ただし、フルHD1080p配信は難しそう(回線速度、処理速度的に)ということでHD画質720pでの配信を選択しました。
その他のPC
その他のPCについては正直あまりスペック必要ないです。
Windows 10が動けばOKです。
その他機器
・ATEM mini これは必須。
今回は会場の音声を配信に乗せること、演者のスライド(PowerPoint)を入力すること、会場全体を写すビデオカメラの入力をすることの3役をこなしてくれました。安定感も抜群でした。もう少し上のグレードのものになるとさらに色々機能が追加されますが、今回は経費がないかつ、これで必要十分でした。
・Belkin USB-C ハブ ドッキングステーションINC002QCBK-A
配信用PCの拡張用に必須です。選定理由はPCのに85Wの給電ができること、HDMIポートが2つあること。配信用のPCのは画面一つでは管理しきれないこと、配信するものと同じものを会場で流すためにはどうしてもHDMI出力が2つ必要でした。
・C922n PRO HDストリーム ウェブカメラ
これを演者、座長の顔を切り取るために使用しました。
本当はもう少し安いやつでもよかったのですが、画質がよいのと値段とのバランスで選定しました。
・TP-Link 5ポート スイッチングハブ TL-SG105
これは安いからですね。はい。ポイントは1000Mbps対応であること。100MbpsだとNGです。今回はNDIという技術を使ってLAN経由でウェブカメラ画像を受け取るのでLAN帯域が足りなくなります。
・LANケーブル LD-GPAT/BUシリーズ
カテゴリー6Aを選定しました。
対ノイズ性能がそこそこあること、値段!です。お金に余裕がある人はカテゴリー7とか謎のカテゴリー8とか買うと幸せになると思います。そもそもお金に余裕があったら、このページ見る必要すらないという可能性もありますが。。。
・Amazonベーシック HDMIケーブル 10.7m
画像でかいな。これは演者のPCからATEM miniに接続するために購入しました。長い、安い、が理由です。もっと安いのもあるんですが、怪しいものがたくさんあるので、一応アマゾンさんを信用して買いました。使えました。良かったですね。
・Amazonベーシック マイクロHDMIケーブル 4.6m
こちらはビデオカメラとATEM miniの接続用に買いました。
理由は安い、長い、アマゾン様を信用(以下略
・Amazonベーシック 軽量三脚
これは忘れていて急遽購入しました。WEBCAMを固定するのに使いました。
選定理由は(以下略
使用したソフトウエア
・OBSスタジオ
もう、これがなかったら配信とか無理というレベルのソフトウエア。しかも無料。神ですね。本当に神です。
全部神です。ちょっと癖があるけど慣れればもう何でもできます。
そして使っている人が多いのでネット上に色々な情報があります。ググればだいたいのことは誰かが試しているので、なんとかなります。
・OBS-NDI プラグイン
これがあったから、ビデオカメラが不要になりました。そして画面構成がかなり自由になりました。これも神オブ神です。
何ができるかというと、ソフトウェアを使って映像データ転送することができるんです。つまり「映像を送るPC」から「映像を受け取るPC」にLANケーブルで映像を送り、OBS上に取り込むことが出来ます。
この凄さは、、ちょっと調べればわかるはず。なにより、ビデオカメラいらない、HDMIで転送できる距離に限界(15mくらい?)があるが、LANならかなり延長できる。まだまだメリットあるんですが、割愛します。
デメリットは、ほんの数ms遅延があることくらいですかね。あとLANの帯域を結構使います。スイッチングハブだけでなく、ルーターも1000Mbps対応でないと難しいと思います。
・ATEMSoftware Control
これはまぁなくてもいいんですが、あった方が安心。安心安全のblack magicdesign様。ありがとうございます。
・chromeリモートデスクトップ
これも神ソフトウエア。今回はオペレーターが一人なので全部やらなきゃいけない状況でした。そこで、配信PCの横に演者席のPCを操作できるようにしておくことにしました。これで演者のスライドを遠隔で操作したり、次の演者のスライドに切り替えたりを行いました。そしてなによりなにかトラブルがあったときにバタバタしなくて済みます。
・HTML5で学会タイマー
とても便利。あの、ちーーーんと鳴り響く音が完全再現されています。
しかもちゃんと質疑応答の時間も設定できます。神か。
ネット上の神たち。ネット神たち様。ありがとう!
つかれた。力尽きてしまった。6000字書くの大変。ここまで全部読んだあなたはかなり本気でやる気と推察します。ご質問あればお答え出来る範囲でお答えします。