【読書記録】メルカトル鮎に解けない謎はない
麻耶雄嵩著「メルカトルと美袋のための殺人」を読んだ。
探偵は往々にして人格に難を抱えているが、メルカトル鮎は難が探偵の服を着ているようだった。読みながら「メルてめぇ~~~~~~!!!!最悪か~~~~!?!?」って百回言った。助手の美袋三条も、常識人みたいな顔をしているが結構な駄目で、奇人メルカトル鮎に大変お似合いだ。
これは短編集で、どの物語でも倫理が欠如したメルカトル鮎が拝めて大変楽しいのだけれど、個人的には「水難」が一番好き。推理小説において、探偵は幽霊の存在を合理的に否定しがちだが、メルカトル鮎はそうしない。
楽しい一冊だった。万人にお勧めはできないが、癖のあるミステリが読みたいときに手に取るといいんじゃないだろうか。