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02.助けられた家庭内暴力相談先について

社会人になって数年経過して親の暴力から逃れるために親の支配下から抜け出し、身を隠して、絶縁という選択肢を取りました。
詳細は省きますが、その後、人づてに身の危険を感じるような暴力的な脅迫を受けました。
そして同時にその影響が自分以外の人間にも及びました。

何をされるかわからないという恐怖から、私はパニックになりました。

まず身を守る必要があるけれど、相手がどう出てくるのかわからない、どこをどう守れば良いのかわからない、既に自分以外の人間にも危険が及んでしまっている、直接関係のない人を巻き込んだことで悪感情を持たれた、少なくとも自分以外の人だけでも脅威にさらされないようにするにはどうすれば良い、そういった様々な問題で頭がいっぱいになり、精神的にもめちゃくちゃになってしまったのです。
親との絶縁後に少しずつ穏やかになりつつあった精神状態は、再び以前のようなボロボロの状態に引き戻されました。

警察へ相談することも考えましたが、実害が発生していない段階で窮状を訴えたところで「何か起きたら110番してください」と言われて話が終わってしまうのであれば意味がありません(近辺の警察署には専用相談窓口が設置されていなかった)。私が望んでいるのは、話を聞いてもらって安心感を得ることではなく、目の前の脅威に対抗するための具体的な知識を専門家から得ることです。

しばらくパニック状態だったものの、少し冷静になり、とにかく自分だけで悩んでいても意味がないと考えて、公的機関に相談できる窓口がないか探し始めました。
インターネット上で相談先の情報を得ようとしたのですが、居住地の管轄となる公的機関にいくつか用意されている窓口は、どれも対象が配偶者間や恋人間に発生したDV相談に限定されており、自身の状況に合致する適切な窓口がないように見えます。
そんな中、居住地を縛らない内閣府名義の「DV相談プラス」という窓口があることを知りました。この窓口も他と同様に「配偶者間」という説明が記載されてはいたのですが、いったん問い合わせて、管轄違いと言われた際には適切な窓口を案内してもらうと考えました。

DV相談プラス
https://soudanplus.jp/

内閣府「DV相談プラス」の公式ページ


結果的にこの判断に間違いはなかったのですが、おそらく私が早々に選択肢から外した各自治体の「配偶者間DV相談窓口」と掲げられている相談先であっても、最初に「近しい(配偶者ではない)人間から暴力を受けていて相談に乗ってもらいたい」と伝えれば、そのまま相談を受けてもらえるか別の適切な窓口を案内してもらえるのだと思います。自身の抱えた問題に合致する相談先が見つからない、私のような「配偶者からの暴力」に該当しない場合であっても、内容として「家庭内暴力」という分類から外れていなければ、同様の支援が受けられるはずです。各窓口によって対応は異なると思いますので、何よりもまず手近な相談窓口へ問い合わせてみることが肝要だと考えます。

上の「DV相談プラス」を選んだ理由は他にも、電話相談しかない窓口では、説明しなければならない問題の背景や求めている情報などが複雑である場合は問題解決が円滑に進まない(話を聞いてもらうだけで終わってしまう)のではないかと考えため、メールやチャットという電話以外の手段が用意されていたという点が大きかったです。文字情報であれば、相談の本題に入る前に要点を把握しておいてもらえます。

私が実際に経験した相談の流れとしては、最初にチャットで簡単な背景と問題点、こちらが何の情報を求めているか、といった内容を文面で送り、折り返しの連絡を待ちました。担当の方からは1~2日で返信をいただいたかと思います。要点を伝えた後は口頭でのやり取りの方が効率が良かった(担当の方から電話連絡を提案いただいた)ため、途中で電話に切り替えていただきました。

私の担当をされた相談員の方は物腰柔らかで、こちらの抱えていた問題を解消するために、ひとつひとつ大変丁寧に回答してくださいました。
内容としては私自身の心理的な問題などいくつかありましたが、最終的には、脅迫行為の抑止となる法的手続きを検討したいと私が希望したため、家庭内暴力の問題を専門的に扱っている弁護士を紹介していただく流れとなりました。自身では信頼できそうな弁護士を探すことが困難だったため、大変助かりました。
注意事項として、この法的手続きの話は、飽くまで相談員の方で適切な弁護士を探してくれたというだけで、弁護士相談が無料で受けられるというわけではない点を挙げておきます。弁護士の連絡先を教えてもらい、そこから先は個人で有料の弁護士相談を依頼をすることになります。直接的に弁護士相談と「DV相談プラス」が連動したサービスというわけではありません。

また、相談時点で自分には必要ないと判断したため私は申請をしませんでしたが、相談者自身に危険が迫っている場合には、暴力被害者向けの「避難シェルター(保護施設)」の利用も可能だという案内を受けました。
例えば、暴力行動を起こす人間が身近におり、恐怖に支配された状態で今後の生活や人生の展望などについて考える余裕すらなくなっているような人が救われる手段だと思います。常に危険にさらされている状態では落ち着いた思考をするなど到底できません。何よりもまず安全な避難先に身を隠すことで自身や家族の身の振り方を考える余地が生まれます。


当時、上述した相談窓口を利用させてもらい、自身が抱えていた全ての問題が綺麗に解決したわけではありませんでしたが、差し迫っていた危険に対抗するための知識を得られ、膨らみ続けていた不安を和らげることができました。

もし絶縁した暴力を起こす側の人間が、興信所を使ってこちら側の情報を調査しようとしたり、友人知人を経由した情報を得ようとしたり、あらゆる手段を用いて攻撃してくる場合、それらを完全に遮断することはできず、完璧な安全を手に入れることは難しいのかもしれません。通常社会との繋がりを全て絶って生きてはいけませんから、できる限りの対策をした後、ある程度は割り切るしかないのだと思います。

根本原因が生きている限り私の抱えている問題は解決はしませんが、それぞれの問題への対処方法を知ることはできました。

当時利用させていただいた「DV相談プラス」の相談員の方へは電話口で簡単なお礼は述べさせていただきましたが、改めてこの場を借りてお礼をさせていただきたいと思います。
あの時は恐怖でパニック状態だった私に優しい言葉を掛けていただき、ありがとうございました。八方塞がりで、自分には助かる見込みもない、誰にも助けてもらえないのだという絶望感でいっぱいだった心が救われました。誰かに手を差し伸べていただける経験はとても貴重で、苦しい中での希望になりました。

以上です。

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