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猿若祭二月大歌舞伎昼の部
昼の部は鞘當、醍醐の花見、きらら浮世伝の三本
サムネはポスターから
鞘當は「これが歌舞伎です」という所作、色彩で巳之助、隼人に児太郎
児太郎の茶屋女がなかなか極まっていて、上から目線ながら、とても成長した
児太郎は大柄で、女形としては美しさとは異なる印象だったが、このところは、十分に引き込まれる振る舞いで見ていて楽しい
巳之助は初役なのかな。隼人とともに、丹前六方など見せ場をきっちり、きっちり作っていた
醍醐の花見は福助がだいぶ戻ってきた印象、左半身は動かせず、立っての演技は難しいようだが、復帰の頃に比べて表情がよくなり、右手での所作も安定していた
北の方の魁春は年齢もあるのか若干不安定な動きもあるのだが、それを一つの個性にできていて、当然ながら破綻は見せない、雀右衛門の利家の妻まつは安定
梅玉の秀吉は老け役の白髪頭の鬘だが、まだまだ色気があるなあ
きらら浮世伝は、うーん、どう言ったらいいんだろう、これを歌舞伎座でやる必要があるのかなあという印象は残る
七之助や推しの歌六、米吉など魅力的な演技はそれぞれにあるんだが、全体としての構成、演出は評価しにくい
端的に言えば、40年ぐらい前の小劇場芝居みたいな感じ。役者の集団的利用や、叫ぶようなセリフ回しとか、ある意味わざとらしい照明とか、最後のめったやたらの紙吹雪とか。私が数十年前に名古屋や東京で見た小劇場にこういうのがあったなあと思わせる
セリフも言葉が「生」で、歌舞伎の持つ二重三重の実ハ、実ハがほとんどないし、韜晦のよさ、みたいなものも感じられずストレートだった
「『東洲斎写楽』とは『全員』である」というのは素敵だと思うけど、いささかそのまんまっぽくて、あくまで私の感想としては、薄っぺらいかなあと思ってしまった