乗算UNO
UNOほど非公式のルールで遊んでいる人が多いゲームもない気がする。
…と、こんな書き出しで書いたが公式ルールの話をするわけではない。
「そもそも公式って?非公式って?」
という疑問もあるだろう。例えば…
・同じ数字のカードを複数枚同時出し
・ドロー2を同種のカードを出すことで回避
・スキップ、リバース等の特殊カードであがることは出来ない
この辺のルールは全て非公式のルールである。どうだろう、みんなこっちのルールで遊んだのではないだろうか?
もちろん私もこちらのルールで遊んだ。手札に3色の6を揃えてUNO宣言無しで一気に上がったり、場に3枚溜まったドロー2を手札のドロー2で隣のプレイヤーにスルーしたりもした。
しかし、である。
これとはまた別の非公式ルールで遊んでいたというのが今回の本題だ。
高校生だったある日、5,6人でUNOを遊んでいた際に、誰かがこう言い出した。
「ドロー2や4の重ねがけって加算じゃん、これ乗算にしない?」
何言ってんだ?と思ったが実際にやってみる。最初は平和にただ数字を出していく展開だが、誰かが戦いの火蓋を切る。ドロー2、ドロー2、ドロー4、ドロー4…ここで返しきれなかったプレイヤーがカードを引く。2✕2✕4✕4で実に64のドローだ。
「あー、これはあいつ脱落したわ…」
その様子を笑っていた数ターン後、またも始まるドローカードのやり合い、ドロー2、ドロー2、ドロー2、ドロー4、ドロー4…返しきれない。ドロー枚数はといえば…128枚だ。ここでみんなが気付く。
「あ、山札が足りない…」
UNOはカードが全部で108枚。引ききれないのだ。
ドロー枚数128枚を超えれば「確実」に山札枯渇(ライブラリーアウト)で脱落という恐怖のルールが生まれた瞬間である。
乗算で死ぬほど大味になったゲームであったが、その後ルールに改良を重ね、何度か遊ぶ運びとなった。以下が改良点である。
・UNOを2つ買ってきて混ぜる。山札最大枚数を増やすため。
・ドロー2、ドロー4を色が合っていればスキップやリバースで回避可能
2番目の改良点がなかなかに熱い。ドロー4を出された際にこういうやり取りが生まれる。
A「ドロー4!」
B「色は?」
A「うーん…青!」
B「青…持ってる!リバース!」
A「わー!帰ってきた!」
大抵、この辺のやり取りは大笑いして周りは見守る。
なお、遊んだ中で一番記憶に残っている回は128枚ドローとなったプレイヤーが自分の手札資産と枯渇しつつある山札を武器に、他プレイヤー全員山札枯渇で脱落させるという回であった。乗算UNO、大味さがバカみたいに盛り上がるので是非一度おすすめしたい。