記事一覧
不可知性を描く——マイリス・ベスリー『ベケット氏の最期の時間』(早川書房、2021年)を読んで
コルクの佐渡島さんが主催している文学サークルでマイリス・ベスリー『ベケット氏の最期の時間』を読んだ。
サミュエル・ベケットという文学者の名前は知っているものの、その作品を読んだことはない。前提知識が必要な作品だったらどうしようと思っていたが、思考を刺激してくれる作品だった。
おそらく、サミュエル・ベケットの作品を読んだことがあったり、彼の生涯についての知識があればまた別の読み方が可能なのだろう
村上春樹は"A Small, Good Thing"をどう訳したか
予備校に通う電車の中で『ねじまき鳥クロニクル』を読んで以来、大半の村上春樹作品を読んできたが、彼の翻訳を読んだことはなかった。
とある読書会の課題図書が『レイモンド・カーヴァー傑作選』だったこともあり、先日、村上春樹の翻訳に初めて触れることとなった。そして、とても驚いた。
それは「ささやかだけれど、役に立つこと」という短編についてだ。
内容もさることながら、深く印象に残ったのはそのタイトルで
アップデートとは原点を確認すること--『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』
先日、岩波ホールにて、映画『ニューヨーク公共図書館』を鑑賞してきました。
なんと休憩入れての3時間40分!! こんな長い映画を観たのは初めてかもしれません。ランチにカレーを食べたあとに、真っ暗な場所で3時間以上拘束されるという構造上の問題で、ところどころ寝落ちしてしまいましたが、とても考えさせられる映画でした。私が観たときは、岩波ホールでしか上映していませんでしたが、順次色々なところで上映されるよ