不可知性を描く——マイリス・ベスリー『ベケット氏の最期の時間』(早川書房、2021年)を読んで
コルクの佐渡島さんが主催している文学サークルでマイリス・ベスリー『ベケット氏の最期の時間』を読んだ。
サミュエル・ベケットという文学者の名前は知っているものの、その作品を読んだことはない。前提知識が必要な作品だったらどうしようと思っていたが、思考を刺激してくれる作品だった。
おそらく、サミュエル・ベケットの作品を読んだことがあったり、彼の生涯についての知識があればまた別の読み方が可能なのだろうが、そのような知識なしにどのように読めるのか、解釈の一つの可能性を考えてみたい。