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国公立大学分析⑧ 国際教養大学(2016-2019)

こんにちは。

みちのくシリーズも早くも4校目です。


今回はちょっと変化球。国際教養大学の問題を扱います。

何が変化球なのか、そこも含めてお話ししていきましょう。

〇国際教養大学の国語の特徴

国際教養大学の二次試験(個別学力試験)はA,B,C日程で実施されます。A,B日程は英語と国語、C日程は英語小論文の試験が課されます。

しかし、この国語は「一般的な」国語の試験というよりは、「小論文」に近いものです。

しかも、そのテーマがまたユニークです。

〇年度ごとの問題のテーマ

◆2016年 A日程
→1979年に刊行されたザ・ジャパニーズ』(エドゥィン・O・ライシャワー)を踏まえて、仮に時空を超えて筆者から同内容の手紙を貰ったら、現在の日本と世界の情勢に合わせてどのように返事をするか。(600字)

◆2016年 B日程 
→問1は一般的な読解問題。200字あるのでしっかりと説明できる。
→問2は文章内容を踏まえて新たな環境倫理の方向性を論じるもの。

◆2017年 A日程 
→プラトン『国家』の囚人の比喩を通して伝えようとしていることを論じる。

◆2017年 B日程
→唐の武后の時代におけるエピソードから「復讐」を「罪」と見るか「義」と見るかについて「文語文」で論じている文を読んで、文章内容の要約と、その具体化。……どこかで見たことあると思ったが、秋田大学の最後の問題に似てないか?

◆2018年 A日程 
ジョン・スチュアート・ミル『大学教育について』を踏まえて、「一般教養教育」の現代における普遍性と限界性に言及し、大学教育の在り方を述べていくもの。AIU自体が「英語だけの大学」と言われることもあるわけで、それに対するカウンターみたいな設問だなぁ、と思いましたね。

※B日程は未入手

◆2019年 A日程 
→ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』を踏まえて、現代社会における人々をつなげる「虚構」が何かを問う。いやぁ、これ難しい。ジックリ考えられると言う意味では面白い問題だけど。

◆2019年 B日程 
→中江兆民『中江兆民 三酔人経綸問答』を題材にした問題。
問1で南海先生(拡張主義と軍縮主義に対し中立的な立場を取る人)の主張をまとめ、問2でその意見に納得してない2人(紳士君と豪傑君)を納得させる論点を提示する問題。両方ともなかなかの難易度。

〇国際教養大学にもとめられる力

こういう形式なので、「小論文の対策がー」というような論調になる気もするのですが、個人的には単純に国語の勉強をちゃんとしよう、というところに行き着く気がします。

形式的には小論文に近いのですが、B日程の片方は通常の記述問題と同じであること、さらには様々な文章に触れて自分なりの考え方を身につけることを意識すると、奇をてらう必要は無く、日々の勉強を当たり前にして欲しいな、と思います。

〇対策めいたもの

その上で、何か対策めいたものはないか……と問われれば、『ちくまプリマー新書』や『岩波ジュニア新書』で興味のあるテーマについて読んでみること、さらにはそこから現代社会における問題を考えることは良い訓練になると思います。高校生以上ともなれば当たり前に身につけて欲しいことでもありますが。

というわけで、移動中に一気に書き上げました。
次回は山形大学を予定しております!それでは。

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