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実験レポートって何?

理科嫌いの人からよく聞く話の1つに

「あの実験レポートってやつは何を書いていいのかわからなかった」

というのがあります。今回はそんな実験レポートの話。


こういうとき自分はよく 「某マンガの探偵は事件が起こると、被害者や容疑者や犯行現場を捜査して、声を変えてから“犯人はお前だ!”って言った後に証拠をずらずらと並べてるでしょ?これらの報告書がレポート。」 と説明しています。


目的(犯人を暴く)にそった実験・観察(捜査)をして、結果を記録し(証拠を集め)、考察して結論を述べる(推理して証拠を提示していつも1つの真実を述べる)・・・これを用紙にまとめたのがレポートです。


いまどきの子たちは問題形式をやりすぎていて、 「正解を書かないといけない!!」 と思ってる人が多いんですよね・・・。

あなたが勉強後の休憩に食べようと思っていたリビングに置いたお菓子が誰かに食べられました。

さぁ、犯人を探そう!

ってときに

きっとTKCが犯人だ!あいつに違いない!!だって、超怪しいもん!!

とかろくな証拠もなしに告発とか大問題ですよね?もし、当たっていたとしても正解を述べるだけではダメなのです。

そして、正解の捜査方法なんてものもないです。
指紋などの犯人の痕跡を探そうが、聞き込みをして目撃者を探そうが、犯人に辿りつけばいいのです。
が、だからといってどんな捜査でもいいわけではないです。
血も流れてないのにルミノール反応しても何も出ないし、現場(リビング)と関係ないトイレやお風呂場を調べたりしても意味ないですもんね!


さて、では、具体的に小5の理科の実験でよくある 「砂糖が水に溶ける様子を調べよう」 というのを例に考えてみましょう。

さぁ、実験(捜査)・・・の前に見当をつけましょう。
見当もつけないまま闇雲に実験(捜査)するから、トイレやお風呂場を調べちゃう人多いんですよね。
ここで役に立つのが「予想」ってやつです。
砂糖が溶ける様子なんて日常的なので、予想どころか正解書けちゃいますよね?

例:砂糖を水に入れたら、砂糖はだんだん小さくなっていって、見えなくなる。

さ、予想を立てたので、実験(捜査)してみましょう・・・・・・って、どんな?

何が必要で、どういう手順で行って、どういうところを観察すればいいのでしょう?
学校の授業の実験では、普通、プリントが用意されていて、そこにいろいろ書いてあって、実験の器具も必要なものは揃っているので、特に意識しないで実験(捜査)する人が多いんじゃないでしょうか?だから・・・

実験やった!終わり!・・・で?

ってなる・・・心当たりがありませんか?(笑)
実験の方法も自分で考えてみましょう。もし、授業でやる実験が自分の考えたものと違ったら・・・どうしてその方法にしたのかを考えましょう。そうすると、おのずとどういうところを観察(捜査)すればいいのかがわかってきます。これが大事。

さて、こんな実験、これ読みながら家でもできます。

まず砂糖と水は必要ですね。砂糖も、粒の小さいグラニュー糖などよりも、角砂糖や氷砂糖のように粒の大きなものの方が、「大きさの変化」がわかりやすいですよね・・・・・・予想を立てていないと、 「砂糖なら何でもいい!」 と必要な証拠を集める実験(捜査)ができません。予想、大事。

他に必要なものは、透明な容器くらいですね。では、実験(捜査)してみましょう。
さて、あなたが捜査をしたら何を手に入れますか?情報ですよね?実験(捜査)するからには情報を手に入れないといけません。よく観察しましょう。

予想通り、砂糖の大きさは小さくなっていますか? 小さくなっていますね。
予想通り、砂糖はしばらくすると見えなくなりますか? 見えなくなりますね。


はい。無事、実験終了。予想通りでした。お疲れ様でしたー。


これを読んでいる大人の皆さん・・・こんな考えの浅い大人周りにいますよね?
これを読んでいる子供の皆さん・・・こんな考えの浅い大人になってはいけません。

そんな当たり前のこと実験する前からわかってたじゃん!


これじゃ溶かした砂糖も無駄。
せめて、できた砂糖水をスタッフがおいしくいただかないと資源の無駄遣いだっていろんな人から怒られかねません(笑)

予想はあくまで最低限必要な情報の見当をつけるためです。
せっかく砂糖や水や透明な容器を準備して実験したなら、もっと多くの情報を集めないといけません。
某名探偵は、 「犯人はお前だ!口の周りにお菓子のカスがくっついているから!」 だけで推理の披露をやめますか?これでもか!これでもか!と、犯人が観念するまでいろいろな証拠を叩きつけますよね?
さぁ、もっとよく観察してみてください。よく観察しました?
ここで、多少勉強してるタイプの人の多くは 「はいはい。もやが出てるよね。もや。」 ってキーワードあげてわかった雰囲気を醸し出しますが・・・・・・では、

そのもやは上に上がりましたか?
下に沈んでいますか?
どこから出ていますか?
砂糖の上側ですか?
下側ですか?
角からですか?
全体からですか?
いや、そもそも均一に出ていますか?
もやは何色ですか?
熱や光は出ていますか?
水の方はどうですか?
色は変化しましたか?
水かさは?
砂糖を入れてから溶けるまでに変化しましたか?

ここが名探偵か迷探偵かの分かれ目です。多くの迷探偵は、観察が浅いんです。
そして、観察力はどんな大人にでも必要な能力です。能力は使わないと育ちません。
少し話が脱線しますが、自分は 「理科の勉強を大人になって役立ててもらいたい」 なんてあまり思っていません。
まぁ一般常識として知っておいて欲しいことはありますが・・・それよりも、 「理科の勉強を通して大人になったときに必要な能力を伸ばして欲しい」と思っています。
観察力や思考力、プレゼン力(説得力・説明力・文章力・会話力)を伸ばすのに、実験レポートを書くというのはうってつけです。
まぁ本来の目的は理解を深めることですが・・・こういう目的意識をもってレポートを書くってのもありでしょ?

さて、話を戻しまして、観察して結果をまとめるという作業は要するに証拠集めです。これをおろそかにしていると犯人を言い当てたとしても、証拠不十分で不起訴になってしまいます!よく観察し、なるべく多くの証拠(結果)を集めましょう。


観察結果の一例:
砂糖は水に入れたらもやを全体から出しながらだんだん小さくなった。
もやは、無色透明で、下に沈むように出ていた。
四角だった砂糖の塊が、丸くなっていき、最後は全部見えなくなった。
水は無色のままだったが、砂糖が溶ける前と溶けた後での水かさの
変化はあまり見られなかった。


これは結果を書くときのコツですが、文はなるべくシンプルにコンパクトに箇条書きで書くとわかりやすいです。


砂糖は水に入れたら、無色のままだったが、全体から無色のもやが沈みながら出ていて、だんだん丸くなりながら小さくなっていき、崩れるように溶け、最後は見えなくなった・・・

みたいにてんこもりにするとわかりにくいです。結果(証拠)をまとめたら、考察(推理)して結論を出しましょう。

ここで大事なのは 「どの証拠からどんな結論が導かれるか」 を明確に示すことです。 「口の周りにお菓子のカスがついている」 という証拠からは 「この人はお菓子を食べた」 という結論が導かれますが、このお菓子が自分のものだったかどうかはわかりません。なので、 「このお菓子と自分の持っていたお菓子は同じものだ」 という結論を示す証拠が必要になります。

砂糖はもやを全体から出しながら小さくなった」 という証拠からどんな結論が得られるでしょうか?

例えば、 「水がものを溶かすのは、水が触れている部分のものをひきはがしているからだと考えられる」 んじゃないでしょうか?だから、全体からもやが出て小さくなったんですよね?
また、もやは砂糖同様沈んでいるので、ひきはがされた砂糖の小さな粒ではないかと考えられます。

四角かった砂糖が丸くなって、最後には全部見えなくなった。」という証拠からはどんな結論が得られるでしょうか?

ここからも 「水は触れている部分からひきはがしている」 という結論が得られます。角って、上からも手前からも横からも触れる(表面積が大きい)ので、触れている水が多いことになります。だから、面の部分よりも早く溶けて、結果、丸くなっている・・・・・・まぁここまで小5が考えられたらたいしたものですが(笑)

見えなくなったのは、バラバラな小さな粒にされたからだと考えられます。
また、砂糖を色のついているものに変えると、水の色の変化についての新たな結果(証拠)が得られ、新たな結論を導くことができます。

結果(証拠)をもとに、考察(推理)すると、いろいろなことが結論できます。

これが実験レポートの醍醐味
です。

決して、正解を答えるのが実験レポートなのではないんです。
多くの証拠を集め、正しく証拠をまとめて結論と結びつける推理をし、それをドヤ顔で叩きつけるのが実験レポートです。
何かについて実験して、考察してみたくなりませんか?
理科の世界には事件がいっぱいありますよ!!

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TKC
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