詩作

君の大きな海が
僕の心を押し広げてゆく
漣をかき分けているのは
あの頃の記憶と灰色

まだ僕の目には映らない
光の種類を纏って
一輪挿しの花に集う会話のように
消えていった人

忘れ去られた街の呼吸と
寝起きの少年の鼓動が
一度に収められたネガフィルム
部屋のどこかにまだあったはず

だけど

ああ 僕らは今
最後のダンスを踊っている
それが永遠だとも知らずに
朝日を背にして
ひとつの影を作る

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