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【雑記】曽木の滝

妻は滝が大好きだ。
小学生の時に図鑑で見た滝が印象に強く残っているらしく、滝を見つけては行きたいという。
その影響を受けてか、息子もかなりの滝好きだ。
私はというと、子供のころから近くの滝によく遊びに行っていて、滝に対して特別な感情はない。

そんな息子と妻が鹿児島伊佐市の「曾木の滝」を見つけて行きたいと言い始めた。
先週の日曜日は息子のテストもちょうど終わったことだし、だったら曽木の滝に行こう、という話になった。

妻と息子はかなり楽しみなようで、二人でどんな滝なんだろうね、と話し合っている。
二人の会話を聞きながら、「滝は滝でしょ」と、行きたくないまではないものの、私はイマイチ乗り気になれなかった。

当日、八代⇒日奈久⇒芦北⇒津奈木⇒水俣と経由して、鹿児島県出水市に入り、いつもなら海沿いに車を走らせ、大好きな海がある阿久根あたりに行くところを、山に向かって進む。
途中で地図を見てみると、山奥のほうに車を走らせ、出水駅から40分くらいかかるそう。
息子あたりは「たった40分だね」と言うが、私から見たら(こんな山道走って40分もかかるのかよ)だ。

しばらく走っていたが、ふと不安になった。
「こんななにもないところ(失礼っ!)を走らされて、挙句の果てに曽木の滝がショボかったら、目も当てられないね」
思わず口にしてしまった。
「なに言ってんの。東洋のナイアガラと言われてる滝だよ」
と息子氏がすかさずツッコむ。
(まあ、東洋の○○とか謳って、たぶん観光客呼びたくていろいろフカしてんだよな)
とは思ったが黙っていた。

やがて車は現地に到着した。
たしかに立派な公園があり、土産物屋も立ち並んでいて、一見すると、かなり本格的な観光地になっている。
「で、どこに滝はあるの?」
いつもは率先して探す私だが、このときは人任せな言い方。

やがて妻と息子が現地の地図を調べて、「あっちのほうに歩いていくらしいよ」と。
しばらく階段を下りて行くと、目の前がパッと開けて、あたり一面に滝が姿を現した。
近づくと水しぶきがこちらにまで飛んでくる。

これはすごい! と思った。
たしかに規模は小さいが、ナイアガラの滝のようだ。
滝の音が耳に心地よい。
まさかこんなに本格的な滝とは思わなかった。
妻と息子も同じ感想を抱いたようで、しばらくのあいだ黙って滝を眺めていた。

この滝には九州征伐後の豊臣秀吉も来たようで、案内板には
秀吉が曽木の滝を見物したとき、島津義久の家臣、新納忠元は滝を案内しながら、秀吉にすきがあれば、観音淵に秀吉を突き落とし、殺してしまおうと考えていた。ところが、秀吉は忠元の殺気を感じ、忠元の袖をつかまえ、一時も離さなかった。忠元は秀吉の人の心を見抜く力に、心から敬服していたと言い伝えられている。
と書いてあった。

こうなると現金なもので、行く前に(ショボイ滝だったら……)と思ったことなど忘れ、しばらく滝の音と水しぶきを楽しんでいた。
足元が透明で下が透けて見える展望台まであり、ドキドキ感も満載。

最後に土産物屋や薬草館(ここも意外に面白かった)に寄って、この地を散々楽しんだ後、帰路についた。
息子氏は翌日まで「昨日は楽しかったねえ」と目を細めていた。

しかし、休日のたびに毎回息子を遊びに連れだしていいのかと、たまに思う。他の子はもっと勉強しているのではないか? と。

まあ、いいか。(≧▽≦)






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