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良い仕事・良いアウトプットの正体(実績バイアスとそのハック)

先日、人が仕事・アウトプットの品質をどのように判断するかについての記事を書いた。今回の投稿はその続きになる。

前回の記事では、ざっくり以下のようなことを書いた。
前回の記事はこちら

■仕事やアウトプットの品質は、誰が見ても明らかな絶対的な尺度で計測されることはほぼない
■人は「①期待値との比較」 x 「②実績バイアス」で仕事の品質を捉えているのではないか
■期待値が完全に言語化されることなど基本ないので、被依頼者は隠された要求を理解する努力をすべきだし、依頼者は言語化できていない要求を伝える努力をすべきじゃないか

今回は、「②実績バイアス」の領域について書こうと思う。
今回は、どちらかというと被依頼者(被評価者)の観点で書いているのであしからず。

実績バイアスとはなにか

ここでいう「実績バイアス」というのは私の造語だが、心理学でいうところの「認知バイアス」に近いものだと考えてもらえると嬉しい。

ちょうど良い引用元が見つからなかったので、Wikipediaの説明をそのまま記載するが、認知バイアスとは、

認知バイアス(にんちバイアス、英: cognitive bias)とは、認知心理学や社会心理学での様々な観察者効果の一種であり、非常に基本的な統計学的な誤り、社会的帰属の誤り、記憶の誤り(虚偽記憶)など人間が犯しやすい問題である。転じて認知バイアスは、事例証拠や法的証拠の信頼性を大きく歪める。
出典:認知バイアス(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

ということのようだ。さらに、認知バイアスは以下のように分類されるらしい。

後知恵バイアス
過去の事象を全て予測可能であったかのように見る傾向。
確証バイアス、追認バイアス
個人の先入観に基づいて他者を観察し、自分に都合のいい情報だけを集めて、それにより自己の先入観を補強するという傾向。いったんある決断をおこなってしまうと、その後に得られた情報を決断した内容に有利に解釈する傾向をさす。
根本的な帰属の誤り
状況の影響を過小評価し、個人特性を過大評価して人間の行動を説明する傾向。
正常性バイアス
自然災害や火事(山火事、放火など)、事故・事件(テロリズム等の犯罪、ほか)などといった何らかの被害が予想される状況下にあっても、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」などと過小評価したりしてしまう人の心の特性。「正常化の偏見」、「恒常性バイアス」とも言う。
生存者バイアス
何らかの選択過程を通過した人・物・事にのみを基準として判断を行い、通過に失敗してしまった人・物・事は見えなくなるため、それを見逃してしまうこと。
アンカリング
ある事象の評価が、ヒントとして与えられた情報に引きずられてしまうこと。
保守性
人間が新しい事実に直面したときに、それまで持っていた考えに固執してその考えを徐々にしか変化させられない傾向をさす。

出典:認知バイアス(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

私のいう「実績バイアス」は、上記のうち「確証バイアス、追認バイアス」と「アンカリング」が作用している事象なのだと思う。

つまり、仕事の場においても、人は「今回の仕事の内容に加えて、それまでに知っていた相手の情報を元に相手の仕事を評価しており、自分にとって都合の良い情報によってその評価を補強している。そして後からその評価を覆すのはなかなか難しい」ということだ。

実績バイアスが評価にどう作用するか

さて、先程の内容を分解するとこうなる。

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A. 人は今回の仕事内容を評価している
B. 人はそれまで知っていた相手の情報を元に評価している
C. 人は自分にとって都合の良い情報を元にくだした評価を補強している
D. 一度くだされた評価を覆すのは難しい

前回の記事で触れた「①期待値との比較」は、上記の「A.今回の仕事内容」に関することだった。だがどうだろう。評価を構成する要素はまだ2つ残っている。その一方で、一度評価がくだされた後にアレコレもがくことはあまり効果的ではなさそうだ。

そうなると、評価を高めるには「B. 以前見聞きした相手の情報」「C. 評価者に都合の良い情報」をどうハックするか考えていくのが効果的だと言えそうだ。

「B. それまで知っていた相手の情報」をハックする

「評価者がそれまで知っていた相手の情報」とは、すなわち被評価者が過去にどういった仕事をし、その結果が良かったのか悪かったのかという情報である。

そして、過去の情報が現在の評価に影響を与えるということは、過去に良い仕事をした数が多ければ多いほど、今回の仕事の評価も有利になるということでもある。

ゴルフやボウリングでは、初心者がハンディキャップをもらってプレーすることがよくあるが、仕事というゲームではその真逆で、できる人にボーナスポイントが加算されるというルールが存在しているということだ。

要は初心者に厳しいゲームシステムというわけだ。


さて、では初心者はどうすればよいのか。個人的には以下のようなやりようがあるのではないかと思う。

■ 簡単な仕事に手を抜かず、やりすぎと言われるレベルでアウトプットする
■ 既に仕事ができると言われている人の仕事の一部を手伝う
■ 他人の仕事を巻き取って、やりすぎと言われるレベルでアウトプットする
■ 評価者に対して、過去の仕事を適切にアピールする

「ハックっぽくない...」と思ったそこのあなた。その感覚は全く正しい。

唯一、4つめに書いた「評価者に対して、過去の仕事を適切にアピールする」というのがハックと言えなくもないが、結局日頃の仕事をしっかりやっていないとアピールすることがないので同じことかもしれない。

とはいえ、奥ゆかしさを美徳とする日本人は、もう少し自分の達成したことを他者に発信すべきだとは思う。(でも、たまにいる何もやっていないのに偉そうな人にはならないように)

「B. それまで知っていた相手の情報」をハックするなどという見出しを付けておいて申し訳ないが、残念ながらここにハックの余地は基本的にない。
前回の記事で書いた通り、期待値を超え続けるのみである。
スポーツと同じで、楽してうまくなることはできない。

「C. 評価者に都合の良い情報」をハックする

次に「評価者に都合の良い情報」というものについて触れよう。
安心して欲しい、こちらはまだ幾分ハックする余地があるかもしれない。

「評価者に都合の良い情報」というのは、仕事に限らない。その人にとってポジティブ要因になる要素、あるいはネガティブな印象を避けられるものであれば何でも良い。
仕事の文脈以外だと、例えば、

ポジティブな印象を与える
■ 会うといつも気持ちよく挨拶してくれる
■ 飲み会に付き合ってくれる
■ お菓子をくれる
■ 趣味が合う
■ 雑談が盛り上がる
■ 率先して雑用をこなしてくれる
■ 感情が安定していて笑顔が多い
ネガティブな印象を与えない
■ 遅刻をしない
■ メールなどのレスポンスが早い
■ 誤字脱字が少ない
■ 愚痴を言わない
■ 身だしなみに清潔感がある

と言った具合に、それっぽいものから全く関係なさそうなものまで色々ありえる。
要するに、清く正しく美しく、そして仲良くしていれば良い。

人間、仲が良ければ多少のことは許せてしまうものだし、我が子の描いた絵はピカソのそれより尊いものだ。

ちなみに、「趣味が合う」、「雑談が盛り上がる」あたりはいわゆるコミュ力の類だが、別に話すのが苦手でもやりようはいくらでもある。(それはまたいつか書くことにする)

色々書いたが、「C. 評価者に都合の良い情報」をハックするというのはある種の人心掌握術のようなものなので、メンタリストDaiGoさんに学ぶなり、巷にあふれるハウツー本を読むなりしてとにかく何か実践してみよう。
仮に失敗しても困ることは多分ないし、やらないとやっている人との差が開くだけである。

終わりに

色々と書いてきたが、結局の所「A. 今回の仕事内容」が一番大事だというのは忘れないで欲しい。
「B. それまで知っていた相手の情報」は過去なので、本質的には変えることはできないし、今の仕事の積み重ねが将来的には「それまで知っていた相手の情報」になるからだ。

そして、「C. 評価者に都合の良い情報」もあくまで補助的な要素に過ぎない。個人的な経験則だが、優秀な経営者やマネージャーになるほど仕事に関わらない要因(C)が評価に及ぼす影響は小さくなる。(もちろん被評価者が人間的に問題がないことが前提だが)

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前回の記事から引き続き「良い仕事・良いアウトプットの正体」とそのハックについて触れてきた。特に推敲もしていないので、最終的にややまとまりがない感じになってしまったかもしれない。

まあ、結局言いたかったのは、「期待値を超える仕事をし続けよ」ということだ。そのためにスキルを身につけ、知恵を絞り、挑戦する気概を忘れないようにしたいと思う。

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