#08 愛情をもてあそぶベガ星人
今回は親子の愛と恋人同士の愛、ふたつの愛情の形を描くエピソード。大切な人を守るという純粋な想いをも、ベガ星連合軍は容赦なく踏みつけにしていきます。どこかオトボケ風味の連中ですが、冷淡な侵略者として一面を強く印象付ける二篇です。
<▼前回の記事はこちら>
第15話「遥かなる母ヘの手紙」
◉母親の命と引き換えに望まない戦いへ
政治犯として幽閉されていたコマンダーイアラは、ある日ガンダルに呼び出され、デュークを誘き出すための協力を要請されます。それはイアラの研究を応用した地震発生装置を稼働させ関東平野を海に沈めるというプランでした。イアラは自分の研究は人を殺めるためのものではないと拒否しますが、
そこにレディガンダルが登場(最近こいつがスカルムーンで一番極悪非道だと気付き始めました)。彼女はイアラの母が「生きては戻れぬ」と噂の<レッドゴースト星>に強制送致されることをイアラに告げます。自分のせいで母に訪れた過酷な運命にショックを受けるイアラ。
苦悩するイアラに良心の呵責も見せず詰め寄るレディガンダル。家族の命を躊躇なく取引材料にできるレディガンダル、ワルモノの鏡です。当然イアラは命令に従うしかなく「陸地の一部を海中に沈めるだけでいいんだ・・・」と無理矢理自分に言い聞かせながら地球に向かうのでした。
▶円盤獣ガルガル
ベガ星の設置した装置が起こす群発地震の調査するために震源付近にTFOでやって来た甲児くん。そこにイアラの円盤獣ガルガルが登場。古代戦士っぽいデザインが機械獣風味でいいですね。円盤の外郭部分が、それぞれ盾と背中に背負う矢筒部分になるというアイデアも好きです。
ガルガルに捕らえられた甲児くんの元にグレンダイザーで駆け付けたデューク。攻撃をしてくるですにイアラは静かに提案を持ちかけます。
甲児くんは「騙されるな」と反対しますが、悩んだ末にデュークは自分の身柄とグレンダイザーをイアラに託すことにします。デュークを捕らえたことで、イアラは「地震を発生させる必要は無くなった」とブラッキーに進言しますが、聞き入れられません。このままではデュークとの約束を反故にすることになってしまうと、ガンダル司令に直訴しようとするイアラでしたが、その前に連行され、洗脳によって自我を失ってしまいます。
甲児くんの冒険野郎的救出作戦によって、敵施設からグレンダイザーとともに抜け出したデュークの前に再び現れたイアラは、もはや以前の彼ではなくなっていました。それに気付いたデュークは躊躇しながらもガルガルを撃破します。雪の谷底へ落下し爆発四散するガルガルを見つめるデュークの手には、イアラが彼に託した地震増幅用データが・・・。これが無ければ関東平野を沈没させる規模の地震は発生させられないため、ガンダルたちの目論見は失敗に終わったことになるようです。
◉届かなかった母への手紙
結局、イアラが戦う動機についてはデュークも知らないままだと思うのですが、ミネオに続き、ベガ星側にも地球侵略とそのための戦いを快く思わない人たちが存在することを、再び知ることになります。甲児くんは残念ながらそういう事情までは理解できてない様子・・・雪山を疾走してロッククライミングして、と大活躍でしたが。
と、イアラが洗脳前に母へ書いた手紙は、結局届かずじまいでした。母親は<レッドゴースト星>に送致されてすぐに亡くなっていたことを洗脳直前にイアラはブラッキーに知らされます。洗脳によってイアラがその悲しみに暮れずに済んだのは、ある意味、救いだったかもしれません。
第16話「こころにひびく愛の鐘」
◉サブキャラの物語にスポットを当てた外伝的物語
まさかの林さん(宇宙研究所所員)にフォーカスした物語ということにまずはビックリしました。これまで上原&藤川コンビで組み立ててきたグレンダイザーの物語、ここにきて初めてお二人以外の脚本家のお話です。
彼の恋人・カオリさんが敵の諜報員Xのターゲットに選ばれてしまい、デュークたちの周りでひと騒動起こすというお話です。
カオリさんも林さんも小さい頃に親を失くした孤児同志で、小さい頃から支え合ってきた強い絆のカップル。’70年代の子ども番組には良く出てくる"みなしご"設定ですね。それだけに不可解な言動をする彼女に、林さんはいち早く違和感を感じるのですが、それ以上にデュークの洞察力は優れていて、彼女が身に着けている髪留めが怪しいと看破します。
最後は宇門博士に銃を突きつける行動を強要されたカオリさんですが、林さんの身を挺した説得によって正気を取り戻します。愛の力は偉大なり。
それはそうと、グレンダイザーの居所を探るために研究所に送り込まれた彼女。ベガ星連合軍はもうそこまで絞り込めているのなら、宇宙科学研究所を攻撃すればいいのでは? と思ってしまうのですが・・・。
▶円盤獣フルフル
円盤形態時にはそんなに気にならなかったのですが、変形すると途端に手抜き感満載の脱力デザインになるフルフル。ギンギンやゲルゲルと比べるとディティールも乏しいし、あからさまにカメっぽくって残念。クレヨンしんちゃんに出てきそう(笑) 同じようなタイプのフイフイのほうが、まだカッコいい気がします。武装も口から火炎を吐くくらい。諜報員X自身が円盤獣での戦闘に長けていなかった感じがしますね。洗脳ミッションが失敗した時点で、彼の敗北は確定していたということでしょうか。
それにしても気付けば今回は、ベガ星連合軍側の登場人物は諜報員Xのみ。スカルムーン基地の皆さんは遅い正月休みだったのかなとか思いますが、実際は安藤さんが、本筋に影響がないよう外伝的なポジションとして、あえて敵側の様子に触れずに書いたということなんでしょうね。
次回、第17話に続きます!