【ワルモノ絵】そしてタロウがここにいる
「私の作品紹介」なるハッシュタグの存在を知ったので、数年前からちびちび描いてPixivさんにアップしている特撮ワルモノイラストを、回想かたがたこっちにも記録しておこうかな、と。まずは初めて描いた『ウルトラマンタロウ』から個人的に印象深いエピソードの怪獣たちを回想。
◉はじまりのアストロモンス
『ウルトラマンタロウ』第1話「ウルトラの母は太陽のように」に登場するお腹にでっかい花をあしらった宇宙怪獣。昭和特撮が好きでサブスクでいろいろと懐かしがって観ていましたが「なにかの形で視聴記録をしておきたい」と、レビューブログなんかも書いてみたりしたのですが続かず、手軽に出来そうな方法ということでイラストを描いてみることに。せっかくならプロ級に上手い他の人たちと違うアプローチにしたいなと思い、切り絵やステンドグラス風をイメージして描き始めたのでした。なので、この頃の図案は主線も色数も極力シンプルに描こうとしてましたね。
◉衝撃のエンマーゴ
1973年(昭和48年)に放送開始された『ウルトラマンタロウ』。当時幼稚園児だった僕はおそらくリアタイで観ていたはずなんですが、あまり記憶がなく、サブスクで視聴しながら「こんな話だったんだ!」と新鮮な感動や驚きを楽しんでいます。第14話は「タロウの首がすっ飛んだ!」というサブタイトルから想像いただけると思いますが、まあ、そのまんまのシーンが展開されるエピソード。それまでにもウルトラマンが敗北するお話はあったりするのですが、首切断は過去イチのインパクト。当時の子どもたちはどう受け止めたんでしょうね。イラストは最後、エンマーゴを封印していたお地蔵様の力でタロウが復活して、逆に自分が首をはねられてしまった断末魔のシーンを描いています。ちょっとわかりにくいですね💦
◉進撃のタイラント
第40話「ウルトラ兄弟を超えてゆけ!」に登場したタイラントは、地球に向かう途中、太陽系の各惑星で侵攻を防ごうとしたウルトラ兄弟たちを打ち負かし、タロウの前に姿を現す怪獣です。最後はタロウに仕留められてしまうのですが、獅子舞のようにアクターさんが2人で操演するボリューム満点な体躯と、過去の怪獣の要素を合体させた魅力的な造形が印象深いです。こういう合体系の怪獣は『ウルトラマンA』最終回にジャンボキングというのが出てきましたが、こちらは最終回ではないのがミソ。お話の中では自転車に乗れない少年に「諦めないで挑むことの大切さ」を教えるシーンが印象的でした。イラストのほうは今見ると、着色方法などが変化してて、ハイライトとかを入れたりしてますね。背景の謎のアラビア語みたいな文字は、ウルトラサインなんですが、なんて意味だったか忘れました。
◉悲しみのメモール
<日本の童謡から>というくくりで4回に渡って放送されたシリーズの最初のお話が、第45話「<日本の童謡から>赤い靴はいてた…」。登場する怪獣メモールの正体は、主人公・光太郎の同僚・北島の幼馴染の女の子・真理。突然の再会に喜ぶ北島でしたが、実は彼女、幼い頃に北島の目の前でドルズ星人に連れ去られ、侵略用の怪獣に改造されていました。目の前で「早く私を殺して!」と叫ぶ幼馴染が怪獣化するって大人でもショッキングな展開。物語の中で野口雨情の童謡「赤い靴」が効果的にインサートされ、観る者を北島の心のうちへと誘います。調べてみると脚本を書いた阿井渉介氏は、この「赤い靴」の作品出自にかなりこだわりを持っていた人のようですね。イラストのほうは、そんな北島の哀切も盛り込みたくて、こんな構図に。個人的に仕上がりに満足している一作です。最初に比べると主線の太さも何パターンかになっていて、図案の描き込みが細かくなってきてますね。
◉略奪のドロボン
タロウのお話は、わりと明るいエピソードが多く、怪獣たちもユーモラスな連中が揃っているのですが、このドロボン、名前からお察しのように「盗んだものだけで生きる」をモットーにするドロボン星の兵士。宇宙のどこかで繰り広げられている戦争に勝つため、ウルトラマンジャックのカラータイマーを盗んで身に付けて強さを得ようと画策するも、3分間経って力を失いタロウに倒されてしまいます(笑) このときのカラータイマーを獲られてペチャンコになったウルトラマンはよくテレビでも紹介されるので見た記憶のある人はいるかも。イラストはカラータイマーが赤く点滅し始めてパニックになっている姿を描いてみました。この第52話「ウルトラの命を盗め!」は最終回の一つ前のエピソードなんですよね。昭和のヒーローものは最終回に向けて伏線張りながら徐々に盛り上げて・・・なんていう、平成・令和で見かけるような小技はあまり見ることはありませんでした。
◉なぜワルモノを描くのか
このタロウ怪獣たちを皮切りに、僕のワルモノ絵描きが始まるのですが、なぜワルモノばかりを描くのか? とたまに聞かれます。生来のコレクション欲がそうさせるのもありますが、ヒーローのそれ以上にワルモノたちのデザインや造形に魅力を感じているからですね。同じモチーフでもデザインへ落とし込む解釈が違っていたりするし、自分で描くことによって、作り手のこだわりや遊び心なんかを発見することも多く、それがとても心地いい。
また、ワルモノ側にフォーカスすることで、エピソードごとの輪郭やメッセージがくっきりしてきます。「ああ、このお話は子どもたちにこんなことを伝えたくて書いたんだな」という視点とか。とはいえ、子どもの頃にそのメッセージをちゃんと受け取れていたかどうかは?ですけど(笑)
特撮大好きなので、ついこっち系の記事に力が入ってしまいますが、ペナントも目標達成に向けて再開させます!