1998年問題とデフレ不況を作った犯人③蝋山昌一

↓コレ を引き起こして、日本を長期不況に放り込んだ人間はどんな人間なのか、どういう思想を持っていたのかを調べていると蝋山昌一という人物が浮かび上がってきました。

蝋山昌一氏については、下記の資料に、

https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/6263/14-Royama2_n.pdf

先生は、金融制度調査会金融機能活性化委員、金融審議会委貞などを務められ、橋本龍太郎内閣時代の1996年から97年には証券取引審議会総合部会座長として金融ビッグバンを提唱され、それ以降の金融改革をリードされた1997年には「大蔵省から金融部門を切り離し、新たな金融行政組織を創設すべし」

と記載があり前回取り上げた、池尾和人氏の論文などで氏の引用もあることからキーパーソンの一人のようです。

蝋山昌一氏は、どのような思想信条を持って、巨額の信用収縮を引き起こし、数多の日本人を苦しめ、就職氷河期を作った遠因でもあり、今もその負の効果を20年余りにわたって日本経済にもたらしている金融ビッグバンを推進提案したのでしょうか?

蝋山昌一氏の金融ビッグバンの総括

下記の資料に彼の金融ビッグバンについての総括のテキストがありました。

https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10355621_po_ART0009640523.pdf?contentNo=1&alternativeNo=

金融ビッグバンとは競争原理ということである。すなわち、金融のあらゆる分野で広範囲の競争を促す制度に、既存の仕組みを一挙に取り替えることが金融ビッグバンということである

これは明白なウソです。金融ビッグバンは金融庁という新たな省庁を誕生させ、邦銀に不要な自己資本比率規制を課し、貸し出しを抑制する邦銀の規制強化に他なりません。

↓以下黒田朗先生の金融ビッグバン評です。

-アメリカの商業銀行は我が国の60倍という膨大な数である。日本の現預金の保有率は62%、アメリカは16%に過ぎない。米国の銀行制度を我が国の銀行制度のモデルにするには無理がある

-金融構造が全く違うのに、我が国の政府は米国をモデルに金融改革を進めてきた。しかもビックバンと称して一瞬にしてこれを実行しようとした。それは、あまりにも犠牲の大きい無謀な実験であったことをその後の歴史が示す。

-金融ビッグバンで我が国が取り入れた自己資本比率規制は間接金融が主体の我が国の金融慣行を無視した計算式による無謀な管理方式であり、中小企業向けの貸出金の抑制が激しい勢いで進展することになったのは言うまでもない。

-金融ビッグバンの自己資本比率規制は、国内すべての銀行に貸出金の回収を強要する。不動産価格下落と、貸出金回収のスパイラル現象をもたらし、デフレを長期化、深刻化させる。

-国内銀行にBIS規制と同様の修正国内基準を適応する必然性は無い。強いてこのアメリカに適した規制を続ければ、結局我が国の金融機関が破綻消滅するか、国有化、もしくは外資系に売却されてしまうことになるだろう

↓蝋山昌一氏の金融ビッグバン総括をさらに見ていきましょう

伝統的な間接金融が資金の流れを支配する状況から軸足を移動させ、証券市場を通ずる資金の流れをより拡充させ、日本の金融システムにおいて伝統的な間接金融と同じような役割を演じられるようにする。そして伝統的な間接金融が機能不全に陥ったときには、それに代わって証券市場を通じる資金の流れがそれなりの役割を演じる。また、その逆も可能であるようにする。そいう意味において、資金の流れを複線化する、あるいは、多様化する方向に日本の金融を変えていこうというのである

↓ どこが?といいたいですね、日本の間接金融は金融ビッグバン以降とんでもないレベルで収縮し、今も生き返っていません。

金融の機能の基本は貯蓄を資金として投資に流す資金移転機能である。

…. WFT?????
本当に書いてあります。

蝋山というこの 馬bear は銀行の信用創造の機能を全く理解していません、、、

銀行は我々の貯蓄を、企業に貸し出しているわけではなく、単に借入を行う企業の口座に貸し出す金額を書き込んでいるだけで、これを信用創造と言い、勝手に借入という形でお金を作り出していいという法的な許可を得ている機関です。この信用創造が市中に事業性キャッシュフローを提供し地域発展に寄与し税収を拡大します。

↓金融機関に勤めている人の解説を見てみましょう

しかして蝋山というこのhorse鹿は、金融関係者では誰もが当然のこととして知っている、銀行の信用創造の基本的な仕組みすらわかっていないことがわかります。

邦銀は現在も豊富な貯蓄が行われている。それにもかかわらず、一方で貸し渋りという現象がおき、高い金利を払って資金を調達しようとしても資金は利用可能でないという状況すら起こっている。

…..WTF 2????
貸し渋りは、金融ビッグバンのプログラムに含まれている邦銀への自己資本比率規制とそれに法的裏付けを罰則付きで厳しく定める早期是正措置が原因です。
つまり自分が先導した金融ビッグバンのサイドエフェクトなのに、「なんでかな~?」とまるでわかっていないことが読み取れます。

金融ビッグバンを提唱し、金融庁の創設にかかわりそれ以降の金融改革をリードした人物は、金融を何も理解していないことがわかりました。

背筋が凍るとはこのことですね。


金融機関の自己資本比率問題と不良債権処理 (2) 黒田朗氏 より

https://sozo-air.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=218&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1

金融ビッグバン宣言の平成 8 年(1996年)以降三洋証券,北拓銀行,山一證券が相次いで破綻,失業率は戦後初の 4%台に上昇,貸出残高は急減を始めた.平成14年度(2002 年度)の貸出残高は440兆円,ピーク時平成8年度(1996 年度)の564兆円17金融機関の自己資本比率問題と不良債権処理(2)に比して 124 兆円の減少,6 年間で 20.4%減,年率 3.7%の減少となった.


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