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「あなたってこういう人だよ」への対応

価値観の押し付けへの対処法を考える

「あなたってこういうタイプだから」「君だったら絶対好きだと思うよ、こういうの」のような発言(…以下X)をする人はこの世の中に一定数いる。Xに対して非常にムカつく人間もこの世の中には一定数いるのであって、そのうちの1人が私である。「あなたに私がどういう人間であるのかを規定されたくないし、あなたに私の本心を明かしたことなどはない」と思ってしまうことが多かった。

今回は、Xに対しての対応策を発見したので記しておく。この類の非物質的(精神的)な問題は基本的に、解釈方法(=フレーミング)の変更によって解決することが多い。

Xになぜムカついてしまうのかを考え、それに対して解決策を練っていく。

理由1. 言い切り系である

まず考えられるのは、Xが言い切り系の表現であることだ。「A=B」や「Aは絶対B」などのの文型は、その人の考えがあたかも事実であるかのような印象を聞き手に与える。すなわち、主張が事実のように扱われているからこそ、価値観の押しつけだと感じてしまってイライラするのである。

これに対しての解決策は簡単で、Xそのものを受け入れるのではなく、「その人はXを本当だと信じている」と変換すると一気に押し付けがましさがなくなる。

解決策1. 発言を再フレーミングする
・「あなたってこういうタイプだから」→私のことをこういうタイプだとその人は認識している、という事実
・「君だったら絶対好きだと思うよ、こういうの」→その人は、私がそれを好きなんだろうと予想している、という事実

理由2. 自己統一性の剥奪

そして、Xはもう一つ重要な人をムカつかせる要素を持っている。それは、「私とは〇〇である」という主張の形を取っていることである。通常、人間は自分のことは自分が一番わかっていると考えているし、自分がどういった人間であるのかを完璧に把握してコントロールしていると思っている。

自分自身のことは自分が一番良く知っているはずなのに、自分以外の人間に自分自身を規定されると、自己統一性が乱された感じがして非常に不快な思いをするのである。

これは、日記を見られたときに不快な思いをするのと似ている。私たちは日記に自分しか知らないようなこと、プライベートなことを記述して、それらを自分しか知らないものとして意味づけている。そのように自己に統一された要素が他人によって侵害されると、自己統一性が乱されたと感じて非常に尊厳が傷つけられるような感覚に陥るのである。

この自己統一性の剥奪に対応するためには、「自分」はたった一つの存在ではないということを認識する必要がある。自分から見ている「自分」と、他人から見ている「自分」というのは全く別物であるが、その双方とも「自分」に他ならないのだと考える必要がある。

わかりやすいように例を挙げてみたい。あなたは今友人と食事をしている。あなたは、食べ物をよく咀嚼して静かに食事をするべきだと考えているので、特に何も話さず穏やかな気持ちで黙々と食べている。友人は、食事の時はワイワイ喋りながら食べるものだと思っているので、そんなあなたを見て不機嫌そうだと思っている。

この時、あなたから見たあなた自身は、「ただ穏やかな気持ちで食事をするあなた」であったとしても、友人からみたあなたは「不機嫌そうに何も話さず食事を進めるあなた」なのであり、そのどちらのあなたも確かに存在する「あなた自身」なのである。これが、自分の分裂性(=自分はたった一つの存在ではない)なのであり、人と関わりながら生きる以上、自分は分裂して存在していると認識する必要がある。

解決策2. 自分にも分裂性があることを自覚する
・「自分から見たあなた」も、「他人が規定するあなた」も、同様に「あなた」の一部であることには変わりない
・この分裂した「あなた」を統一していくことこそ、裏表がなくなり、自分自身に対する理解をより深めるという過程である
・「他人が規定するあなた」が、「自分から見たあなた」像とかけ離れていたとしても、拒絶するのではなく「あなた」の一部であると認識する


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