今さら聞けない、EV車とは何か?
ゼロエミッションや、カーボンフリーを目指すという指標が発表され、EV車(電気自動車)という言葉が飛び交うようになりました。
自動車工業会の会長が、メディアの発言に対し、EV車を正しく使い分けてほしいという話が出る程に、自動車業界と、一般で認識が違うことに驚きました。
筆者はもともと、自動車業界には「足の先から頭の先までドップリ」でしたので、やっぱりなーと思った次第です。そこで、EV車とくくった時にどんなクルマを、現在表しているのか大きく3つに分けて簡単に説明します。
1.一般人のイメージはBEV
(出典:国立環境研究所・環境展望台)
BEV=バッテリー・エレクトリカル・ビークルの略です。リチウムイオンバッテリー等で動く、電池からエネルギーを取り出しモーターで走行する乗り物。代表例でいえば、テスラやリーフといった車両が相当します。
2.燃料電池車(FCV)
FCV=フューエル・セル・ビークルの略です。水素燃料車などのことを示します。フューエル(燃料)は、「水素」で、電気分解の逆を行う「電池」の仕組みを利用し、セル(核)の融合を行う時に発生するエネルギーが電気になってモーターを動かす乗り物です。代表例でいえば、ミライや路線バスなどに普及しています。
3.ハイブリッド(プラグインハイブリッド含む)
現状は、車が走るためのエネルギーの一部を担っているだけでも、EV車のくくりに含まれています。一部の言われ方では、燃費のいいガソリン車という表現もありますが、自動車業界では現在のところハイブリッドも含んています。
ある意味で、電動アシスト自転車もハイブリッドといってよいでしょう。
ところで、ハイブリッドにはさまざまな方法がありますが、最近注目されているのは小型車のハイブリッドです。
2021年3月に、三菱自動車の軽自動車規格のEV車「i-MIEV」が生産終了してしまうと、一般向け量産の軽自動車規格ではハイブリッドしか残らない状態になります。つい最近では、中国ベンチャーの台頭などで、EV小型車が世界的に賑わいをみせています。
そのため、軽自動車でEV車はどうなるか?どうなっていくか?という話題があります。
今、軽自動車などでよく使われる「マイルドハイブリッド」は、エンジン始動に使うセルモーターや、オルタネータという発電用モーターを制御して、ガソリンエンジン特有の低回転時のもたつきを、モーターの特性でサポートする仕組みです。
VWのマイルドハイブリッドユニット
「マイルドハイブリッド」の対義語で「ストロングハイブリッド」がありますが、これは発進時だけでなく、EV走行、低速時もモーターで走行といったエンジンよりモーターを重視して使う車に対して使われます。ですので、いずれにしてもハイブリッド車といわれます。
マイルドハイブリッドは、既存のエンジンの仕組みに少し手を加えれば完成する仕組みで、非常に安価に作られます。ストロングハイブリッドでは、ガソリン車と30万円や70万円近く発生する価格差を、マイルドハイブリッドでは、10万円前後まで抑えることができるのが魅力ではあります。
とはいえ、カーボンフリーを目指すにあたってハイブリッドはガソリン使うしという話があるのも事実です。
話が長くなるので3つに簡単にまとめると・・・
1.日本がEV化に遅れているわけでは無く、HV含めると電動化比率では世界2位
2.自動車業界だけでカーボンフリーを目指せるわけじゃないから、みんなもっと強力してほしい
3.電気自動車にすると部品がすくなくなるから、潰れる会社がたくさん出る
これが、現状です。
自動車業界でできることは、ほぼ無くなってきていて、次に何をすればいけないか考える必要があります。
それが、以下の5つのタスクになると考えられます。
1.普及しても大丈夫なくらいのバッテリーの材料を手に入れる
2.半導体など、制御に使う部品を準備する
3.生産体制を確立する、雇用問題を解決する
4.一般に需要がでるような環境整備に投資し、需要を造り出す
5.生産に十分な電力を確保するため、投資する
半導体や、バッテリーの材料の確保は、国際貿易なしに完遂することはできないし、雪等の天候で左右されるようなエネルギーには頼れない、水力、火力、原子力でいえば、原子力が1番CO2を排出しない、再生エネルギーもうまく活用しないと、リサイクル分野でイメージが悪い、電気自動車の充電スポットが地方自治体では維持しきれないケースがある、などなど問題が山積みになっています。
技術的に可能であっても、それ以外でできない理由があるので、協力してほしいというのが、真実なのではないでしょうか。