「生きる意味」を求めて:カルト2世が歩む、フランクルと重ねる道
「人間は何故生きるのか?」
強制収容所という極限状態を生き抜いた心理学者、ヴィクトール・フランクルは、その答えを「意味の追求」に見出しました。彼の言葉は、過酷な環境でも希望を失わなかった人間の精神の強さを私たちに教えてくれます。
このフランクルの思想は、カルト宗教の二世として育った私自身の心に深く響いています。
閉鎖的なコミュニティ、心理操作、虐待…。親の信仰が絶対的な価値観として押し付けられる世界で、カルト宗教2世たちは自由な意思を奪われ、生きづらさを抱えてきました。
しかし、カルト2世の経験は決して「他人事」ではありません。フランクルが収容所で直面した「自由の剥奪」は、形を変えて現代社会にも存在しているのです。
カルトから抜け出すことは、容易ではありません。それは、自分自身の価値観を問い直し、過去と向き合い、新たなアイデンティティを築き上げる、長く険しい道のりです。
それでも、多くのサバイバーが立ち上がり、自らの体験を語り始めています。彼らは、フランクルのように「生きる意味」を探し求め、傷ついた心を癒し、自分らしい未来を創造しようとしています。
彼らの勇気と レジリエンス(回復力)は、当事者以外の人たちにも多くのことを教えてくれます。それは、絶望の淵にあっても希望を捨てないこと、自らの経験に意味を見出すこと、そして他者とのつながりの中で癒しを見出すことの大切さです。
カルト2世の問題は、私たち社会全体の課題でもあります。サバイバーたちの声に耳を傾け、共感し、共に歩むことで、私たちはより希望に満ちた未来を創造することができるはずです。
フランクルの言葉を胸に刻みながら、私は一当事者そしてピアサポーターとして、出来る範囲ではありますが、お互いの心の旅を応援しながら「生きる意味」を見つけ出すまで、共に歩み続けたいと思っています。