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さみしさが埋められないなら

今月が終わって、うまくバイトを辞められたら、そしてその時になってもまだ辛かったら、眠ってしまおう。
そう思った。
バイトがうまく辞められなかったら、それでも飛び立とう。
そう思った。

いつか夏に来る、精霊たちに連れてってもらって、どうせ何者でもない私なんだから、何に成ることもなくただ存在しない存在として、かつてあった概念としてたゆたっていたい。

誰かからの連絡をずっと待っていることは自覚している。
スマホが意味の無い通知ばっかりに音をたてると、何かしらを期待している私はそこにいる。

祖父母のいないがらんどうの家。赤い花瓶。畳に這う虫。
アイスコーヒーを淹れてもすぐには飲まない。
氷で薄まってちょうどだとよかった。

最近の生活は僕がいつか存在しなくなっても支障がでないようなもので、三つの欲求を互い違いに満たすだけ。
ただの生命。
命の価値がみんな同じなんて嘘だよ。
ほら、だって、僕は今にも死にそうだけど誰も知らない。
うつらうつらとする私が、今、事切れる瞬間に、どこかの有名人がくしゃみをする。そしたらみんな目を離す。僕だってそうだよ。分かってる。当たり前。

でもね、寂しいんだよ。
人は人といなくちゃ生きていけないみたいだけど、周りの人とうまくやれない僕は、珈琲を沢山淹れるよ。
集めたマグカップたちにさ、一日かけて淹れて、それを全部ひっくり返して、それに溺れながら眠るんだ。
誰も寝かせてくれない。僕の辛さがわからない。
僕も誰の辛さもわからないから。

さよなら、愛しい人。
なんて言える人がいたらよかった。
大好きなものを食べよう、明日になっても寂しいままなら。

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