おっさんがコスメに詳しくなるには
はじめに
私はノイン株式会社というコスメECやECデータの提供を行う会社で取締役をしてます。ジョインしたのはコスメが好きだからというわけではなく、コスメというカテゴリにビジネスとして可能性を感じたことと、社長と友達だったからというシンプルな理由です。個人的には肌はかなり強く、食器用洗剤で洗顔しても大丈夫なくらいでスキンケアなんかまったくしないですし、当然メイクもしません。(入社するまでスキンケアとメイクアップの違いすら知りませんでした。)
当然ながら何もわからない
そんな感じなので、入社してみたものの当初社員が言っていることが何一つ分からず、会話になりません。例えば資生堂のマジョリカマジョルカというブランドは色の表現がイカれています。「ゴージャス姉妹」、「光る樹液」、「貴婦人」これらは色の名前です。男性の皆さんは色の想像がつきますか?私は全くわかりませんでした。というより「色名である」ということすらわかりませんでした。なぜ女子はここまで関連性のない事象をナチュラルに記憶できるのか不思議でなりません。
「リップ」、「ティント」、「グロス」これらはすべて唇につけるものらしいですが、何のために使い分けられるものなのかさっぱり理解ができません。化粧品を買ったことなんかシンガポールのカジノで勝ったときに女子社員へのお土産に免税店で「ここからここまで全部出せ」と離陸直前の10分間で10万円分のコスメを買うという雑な買い方をした1回だけなので何がどういう価格なのかもよく分かりません。
一方で女子はというと、毎日短くても5分、長いと1時間もの時間をかけてメイクをし続けてきてます。スキンケアやコスメの買い物をしている時間も含めればこの時間は倍増どころではありません。女子がコスメに詳しいのは当たり前で「学習時間」が圧倒的に違ったのです。185cm、95kg、趣味の筋トレのためにゴールドジムに週5で通う34歳男性の私が彼女たちと対等に会話するためには私の得意な手法で彼女たちを理解する以外にありません。
感覚的に分からないなら、データを使って理解しよう
私の仕事における専門領域はマーケティングです。多くの人に対してリーチし、広告効果を最適化していくということをやってきました。そこで圧倒的に重要なのがデータを用いて物事を理解し、施策の意思決定とその結果に再現性を持たせるということです。勘が冴え渡り、社会や人の求めているものが感覚的に理解できるセンスのいい人も一部にはいますが、残念ながら私はそうではありません。
コスメに関してもまずは構造的に理解しないとマーケティングなんかできません。そこで、データを色々探しましたが、コスメレビューは死ぬほど出てくるのに構造理解が深まるようなデータはなかなか転がっていません(あったら是非教えて下さい)。となれば、我々のプロダクトの中のデータをちゃんと分析できる形で保持し、徹底的に分析して理解をしようと思いデータの分析環境を日々整備するようにしました。先日リリースした東京大学との取り組みもその一環です。(まさか自分がWWDに載るとは思わなかった)
科学的アプローチによる理解
「事象を数字で客観的に理解し、因果関係を突き止める」これは科学の根本となる手法です。私は大学、大学院と物理(惑星科学)を専攻していたこともあり、この手法で合理的に物事を理解するという癖がついています。癖がついているというよりはこの手法で物事が理解ができないと気持ちが悪い。科学を学ぶ者は理解ができないことに対して、物事の背景に必ずある因果関係を探求しなくてはなりません。
データに基づいて物事を理解したり、意思決定をすることがビジネスにおいても強力な武器となることを学んだのは前職のGunosyです。Gunosyは「数字は神より正しい」という標語があるように、徹底した数値分析に基づき意思決定をすすめるという文化が全社に浸透しています。納得のいかない意思決定が細部に渡って行われないことがこんなに精神衛生上楽なのかということは入社して一番最初に感じたことです。新卒で入った電通では納得がいくかいかないかは関係なく、指示されることが絶対だったのでどんだけ馬鹿げていると感じてもそれを貫徹する以外に選択肢はありませんでした。(好きか嫌いかはおいておいて、このやり方も徹底できればいいところはあります)
仮説とその思考に至ったプロセスの分解をしておけば、どこで間違ったのかがわかるので同じ失敗は防げる確率が高まります。逆に仮説を立てておかないと何が間違ったのかが確認できないので、一見すると異なる事象でも同じようなパターンで失敗する確率が無駄に高まります。仮説思考はノインでも浸透させようとしており、施策に関しては仮説とその検証方法を必ずセットで持ってくるようにしてもらっています。
コスメ領域でデータ分析 / 提供を行うことの意義
コスメの領域に仕事として少し足を踏み入れて感じたのはデータとテクノロジーがあまり浸透していないカテゴリだということです。そして日本という国のブランドが生きる領域だということも強く感じています。ここに関しては今回は詳しく触れませんが是非まとめたい内容です。
最後になりましたが、このnoteを書いているのは、我々ノインが取り組んでいる、①データのオープン化のスタンスをわかりやすい形で外部に示したいということと、②社員(もしくはこれから入社してくれるかもしれない方々)向けに当社の意思決定がどのようになされているのかを伝えたいという2点からです。コスメのカテゴリはデータとテクノロジーとJapanブランドを活用すれば世界でも圧倒的に勝てるはずというのがノインが考えていることです。我々の提供するデータやテクノロジーが日本のメーカー / ブランドにとって、世界で戦うことの一助となればこれほど嬉しいことはありません。
さて、ノインでは一緒にサービス、会社を伸ばしてくれる仲間を絶賛募集中です。職種は色々募集しているので興味持っていただけたら是非ご連絡ください!