見出し画像

「編集感覚」って何だろう?①〜コアを引き出す意味と価値について

こんにちは。お盆もすぎ、少しずつ秋の気配も感じられそうなこの頃。ホント、時間はあっという間に経っていきますね。。。

「編集塾」がスタートして、はや2ヶ月。

受講している皆さんと、「編集感覚ってなに?」「なぜコアを引き出すの?」といったところを対話してきましたが、これまでの整理も兼ねて、僕なりのとらえ方をシェアしたいと思います。

いまの時代、SNSで誰もが発信できるようになって、メディアのあり方が揺らいでいるところがありますが。。。

そもそも、なぜメディアがあるのかというと、「人に伝えたい大事な何か」があって、それを「身近な人以外にも伝えたい」という強い思いがあって。。。この二つが複合することで日常のコミュニケーションを超えたもの、ある種のトランザクションが生じると思うんですね。

日常のコミュニケーションがインタラクション、つまり、人と人をつなぐInter-actionであるのに対し、トランザクションはtrance-action。。。人と人の間で行われてきたコミュニケーションを超えたもの(=trance)、日常的には「過剰な行為」を指しているとイメージしたらいいかも。

言葉で伝えるだけで十分なはずなのに、わざわざ文字にしたり、さらにはそれを記事にしたり、映像にしたり。。。

日常から見たらずいぶん余計なところにエネルギーを使って、それで出会ったこともない人にも、自分が大事に感じている何かを伝え、わかちあってほしいと願うこと、それがメディアの原点と言えるわけです。

ただ、その大事な何かを伝えていくにあたってネックになるのが、僕たちの意識のなかにこびりついた感情であったり、固定観念、こだわり、思い込み。。。あるいは、「こうあるべきだ」とか、「これが正しい」という思想や信念なども、ここに含まれているかもしれません。

「いや、そうした自分の思いをありのままに伝えるのが大事じゃないの?」
「自分の思想や信念を伝えることの何が悪いのか?」

そんなふうに思った人もいるかもしれないけれども、本来、メディアというのは、こうした自我のフィルターを外したところにある「本質」を伝えるところに、役割があったはずでしょう。

「そう語っているけれど、本当に思っているのはこうじゃないの?」

煎じ詰めれば、この「本当に思っている」のところにアプローチするのが、僕が言うところの「編集感覚」であり、「コアを引き出す」ということのコアもこのことを指しています。

大事なのは、この「本当に思っていること=コア」は、自分にとっての思いであると同時に、誰かにとっての思いでもあるということ。願いとしては、誰もが感じている何かであるということ。

なぜそう言えるのか? 誰もが感じている何か、つまり、多くの人と共有できるであろう何かを、この世界の片隅にいるはずのあなたが持っている、なによりもそこに価値があるはずだからです。

価値があるからこそ、それを引き出して、言葉や文字にして伝える。。。

わざわざトランザクションしようという思い、メディアで発信しようなどという過剰な思いが生まれるわけです。話がぐるっとひとめぐりしましたが、だから、メディアがあるはずなのです。

もちろん、感情を吐き出すこと自体、十分に過剰な行為だと思うし、なんらかの抑圧を感じているとき、人はそこに救いや癒しを感じるのかもしれない。

だからこそ、SNSのような場もあるわけで、そういう吐き出す場としてメディアが自己変容してきた経緯もわからなくはない。でも、僕がみんなとやっていきたいのは、湧き上がってくる思いや感情をいったん抑制して、ことばや文字に編みなおしていくということ

このプロセスを通過することで、感情の向こうにある「大事な何か」が引き出せうると感じるからです。

こうしたメディアの源流の一つに、「文芸」があったわけですが。。。

ここで営まれてきた「作家と編集者の関係」、両者が原稿を挟んで対話しながら、ひとつの作品を生み出すモデルは、この発意と抑制のプロセスを稼働するための知恵のようなものだと思うのです。

いまや文壇と呼ばれるものも死滅してしまい、こうした創作のモデルも形骸化している感はありますが。。。それは、表現の場=プラットホームが多様化していったということでもあるでしょう。

インターネットがその象徴で、紙媒体にかかるウェートはだいぶ目減りしていますが、でも、コアを引き出し、共有したい思いは変わらない。。。むしろ、その需要は高まってきているでしょう。

表現する場は多様化したけれども、場があるというだけで、表現する力が得られるものではないからです。

そう、ここに「編集すること」の意味と価値がある。。。

では、どうしたら、その「大事な何か=コア」を引き出すことができるのか? 次回、この点についてつづってみたいと思ってます。


information
●編集感覚、コア・ブランディングについて知りたい方はこちら
→Tissue Style公式サイト https://tissue-style.net/

●Tissue Styleのバックナンバーはこちら
→Tissue Style shop site https://tissuestyle.base.shop/

●制約を外し、創作者としてのポテンシャルをフル稼働させた代表作。
→『フードジャーニー〜食べて生きて、旅をして、私たちは「日本人」になった』 https://food-journey.selfmaintenance.org

●対話についてもっと知りたい方はこちら
→『ことばの焚き火 ダイアローグ・イン・デイリーライフ』

いいなと思ったら応援しよう!