1年間デザートコースをやった理由は、ムカついたから。
2015年
TIRPSEは大きな方向転換をする。
ランチを1年間やめて、シェフパティシエの名前にして
「Kiriko NAKAMURA」というデザートコースの店になるということ。
女性のなりたい職業ランキング1位の「パティシエ」が、5%も残らない現状は、パティシエのロールモデルが少ないから、その選択肢の1つをつくろう!
と、いつも言ってました。
では、TIRPSEの外の人は知らない話。
なんでキリコナカムラが生まれたか。
理由は2つ。
・シェフがランチやりたくないって言ったから
・専門料理にムカついたから
専門料理なんて、すごい影響ある業界雑誌なので、こんなこと言ったら
もう出られないんだろうなぁ(笑)
シェフが「ランチやりたくないんですけど。」っていうから
「おっけ〜やめられるように考えるわ〜」ってなった。
なんでもそうだけど、制限された方がクリエイティブになれる。
「予算は無限、好きにして、内容もお任せ」っていわれると、何していいかわからない。
無茶言うなよって制限ある方が、頭ひねるし、いろんなやり方を模索する。
ランチの売り上げで、家賃と光熱費とかは出ていたのでそれをまかなう収入をどうやって作ろうかな〜と半日くらい悩んだ。
「あ、キリコで行こう。」
TIRPSEには、スーパーなパティシエのナカムラキリコさんがいた。
で、2ヶ月に1回メニューを変えて1年間ランチやめてデザートコース。
そしたらシェフの望みも叶うか!
とはいえ、自分が決めた!って言ってもパティシエがやりたくないって言ったら終わり。
どうやって言おうっかな〜断られたら嫌だなぁ〜って悩みの方が、ランチやめるより大きくなる。
同時に計算もする。
6000円のランチ、2000円のシャンパンを頼む人も多い。
グラスで1600円のワインも飲んで、800円のミネラルウォーターを飲む。
それにサービス料をいれたら12000円をこえる。
それが、3500円のデザートコース。
お客様の層も変わるので、ドリンクで売り上げを取るって感覚は捨てないといけない。
今まで家賃・光熱費が出ていたランチをやめて、どうやって経営していくんだろう。
ランチやめるって難しいなぁ〜
でも、ランチやめたいっていうのに、ムカッときて「おっけー」って言ってしまっただけに
心は武士の俺に二言はないから、もう引けない。
それで、仕込みしてるパティシエのところに行って、プラスには出来ないけどこういう仕組みでやりたいとお願いに行く。
デザートコースなんて、1年間埋まるの?!ってなる。
しかも、彼女の名前をつけたら全てが彼女の責任。
あとは、この頃に読んでたスティーブ・ジョブズの本に「iphoneができる前
iphoneが欲しいって、みんな思ってなかった。何が必要なのかは、誰もわかってない。」
みたいな文章読んでて
「ランチにデザートコースが食べたい!なんて言ってる人はいない!俺がそのムーブメントを作るんだ!」
みたいな、革命戦士な気分でもいました。
影響をね、受けやすいんですよワタシ。
あと、この当時「キリコさんのこと、めっちゃ推してるけど付き合ってるんですか?」と聞かれたことがある。
ウケた。マジでうけた。
で、キリコさんの「ホンマ知らんで」ってのを感じつつ、速攻で2ヶ月後にスタートと決める。
そこからホームページを作り、ロゴを作り、食べログのページを作りと、ぼくのもう一軒のレストランを作っていくことになる。
そして、もう一個引き金になった理由である「専門料理」
捨てたので覚えてないけど、レストランのデザートみたいな特集の号でうちのデザートが取材に来ていただいた。
普通に取材を終えて、確認のPDFが送られてきた。
作った人の名前がTIRPSEのシェフの名前になっていたので、パティシエの名前に直して送り返した。
すると、全店舗シェフの名前で統一しているので、これでいきますという返信。
ふざけんな。
シェフはデザートはノータッチだから嫌だと言っても、他のお店もそうだと言う。
・出なくていい!(でも、パティシエ的に出たいよね。専門料理)
・シェフの名前で納得(いやいや、ありえない。)
すると、連名でどうですか?みたいなことになり、まったく納得せずそれで受けた。
そして、その日のうちに
「レストラン業界の1番の専門誌で、こんなことがあった。日本のシェフパティシエってポジションは何の価値もないし、くだらなすぎる!」
みたいな、言いたいことも言えない世の中じゃ的な投稿を作って、もうこれを出そうと思う!ってパティシエに見せたら
「あんた、もう敵作るのやめなさい」と言われて、落ち着く。
まぁ、本人が怒ってないから、、、
その時に、名前が出せなかった怒りから、本人の名前でデザートを出せる空間を作ろう!って決めていた。
ここまで書いたんですが、もしか僕がもう一回レストランを作ったら、雑誌に載せてください(笑)
そして、売り上げの問題はいまだに残っている。
ランチの客単価1万円こえてたレストランを3500円のデザートレストランにする。
少しでも売り上げの足しが欲しい。どうしよう。
コースに合わせてシャンパンのコース?
いやいやデザートにシャンパンってまじで合ってないし。
ワインペアリング?
昼からアルコール飲まないか。デザート食べながらワイン飲まないか〜
どーしよ。
で、僕はお茶の勉強をすることになる。
ノンアルコールだけにする代わりにめちゃくちゃクオリティ上げてみようかな。
本当に、売り上げの足しがほしくて始めたこと。
な〜んにもわかってない。ど〜こにもサンプルもない。
勉強の仕方もAmazonで探した本だけ。先生もいない。
そんなレベルで、様々な茶葉を集めて、自分で淹れてテイスティングをしてお茶のペアリングコースを作っていった。
今では @rikyusen (千利休)という名前でインスタに裏アカを持つほどお茶が好きで、コンサルタント・イベントの仕事ではお茶のペアリングを提案している。
お茶のペアリングのフレームが出来た2ヶ月後。
「Sake ペアリング」も始める。
全部日本酒のコース。
シャンパーニュ、ソーテルヌ、ポート、シェリーみたいな誰でも出せるやつじゃなくて、みんな見たことがないデザートコースには、みんなが見たことがないペアリングを出さないといけない。
そして、デザートコースが始めるぞ!ってなってもターゲットがわからない。
飲食店とパティスリーは別物
誰をターゲットにしてるかも、よくわかってない。
そして最初の自分の中でのコンセプトは
「ショーケースに入ってて、いつ食べられるかわからない仕事をするのはやめよう!
全てのデザートを出来立てで食べるんだ!」
みたいなアンチパティスリーみたいなのを立ててた。
敵だらけにして、いいことなんてあるんですかねぇ(笑)
そしたら、始める前にパティシエの子から「パティシエにとって夢みたいなレストランです!」ってメッセが来た。
あ、敵じゃなくて、夢なんだ。って本当にびっくりして、そこからみんなが共感できる、夢を持てる風にお店を作っていこう!と決めた。
レストランのスタッフが全力でやるデザートコースのみの空間。
さてさて、どうなるんでしょうね。
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