コーポレートIT(情シス)マネージャの就任時備忘録〜①〜

コーポレートIT(情シス)のマネージャになり、1年経ちました。
元は<総務・広報・情シス>が合体したグループで、そこから
情シス部分を抜き出した課を設立、課長として就任した流れです。

初のマネージャポジションで学びが多く、初心を忘れないためにも
チームビルディングの経緯をNoteに残しておこうと思います。

これからマネージャになる方や、目指している方の参考になれば幸いです。

気づいたら1年経ってたので、忘れない内に書く

今後の予定
第一回:本note。スローガンと職務考課表の作成

第二回:チームの年間目標とスケジュール、予算案を作成してたら体重が減ったお話(改善案を片手に、全役員へ報告する巡礼の旅)
第三回:社内提案資料の作り方をメンバーに指導した時の話

第一回、二回が内示の段階。第三回が課としてスタートした後のお話です。
情シスメンバーの採用(既存メンバーの退職)とか、社内政治奮闘記とか
他にも色々ネタはあるのですが、それは別の機会で。


はじめに

まず、現職の会社環境とチーム構成は以下の通り。
社員数:140名(パートナー含めると200名程度)
リモートワーク:フルリモートワーク。ただし会議室や憩いの場として、全国に4拠点あり(一部はシェアオフィス)
IT環境:オンプレサーバ無し。SaaSベースのフルクラウドだが、社内NW(VPN)があるのでNW機器のお守りは必須。
チーム構成:パートナー含めて4名。内2名は時短勤務(4H、6H)で通勤不可。

内示後の初仕事

内示後(就任二ヶ月くらい前)の初仕事一覧。

  • 社長へ課長就任のプレゼンテーションを行う(どんな課にしていくか)

  • メンバーの評価軸を作る(職務考課表の作成)

  • 来年度のコーポレートIT課の目標及びスケジュールの展開(次回のNoteで記載)そして、役員へプレゼンテーション。

  • 上記承認後、予算案の作成(次回のNoteで記載)

通常業務に+αなので少しキツイが、初めが肝心なのでやっていく。

チームのスローガン作り

さて、社長へのプレゼンテーションですが、業務目標伝えても
?で終わってしまうので、
・課としての取り組み
・目指すチームになるためのメンバーマネジメントの方向性

をお伝えすることにしました。
取り組みについては、メンバーへそのまま伝える事になるので特に重要。

「IT課は組織としてどういう役割を持つか」を含めるか悩みましたが、
イメージの差異があると困るし、プレゼンの場で本人から聞けば良いやと、一旦は除外。


どんな取り組みをしていくか

一騎当千の強者がバッタバッタと課題をなぎ倒していく無双ゲーから、
チームワーク重視のRPGへシフトしていかねばならない。
まずは、現状の問題点を洗い出し、チームワークのボトルネックとなる部分を書き出していくと・・・

当時の状況
・マニュアルがほぼ無い(口頭伝授でのOJTが基本)
・課題は出来る人がやる(技術不足で出来ない業務は、スキルセットを持つパートナーを雇って穴埋め)
・ヘルプデスクの問い合わせ経路が、【メール】【SlackのDM】【ワークフロー(稟議)】【Backlog】と多数
・チケット管理はBacklogで管理しているが、漏れ・対応忘れがちょくちょく発生(チケット埋もれるねん)
・総務・情シス・セキュリティが入り混じるグループだったので作業範囲が不透明

そこから発生する問題
・属人化
・対応漏れ
・リソース不足(特定の個人に業務が集中するため)

と様々な問題が露出。
特にリスクとなるのが属人化の部分で、コーポレートIT課が担っている範囲をざっと書き出すと・・・

・インフラ(拠点NWの構築・運用・保守)
・オフィスファシリティ(電気、LAN)
・資産管理(各種デバイス)
・Pマークの事務局
・コーポレートセキュリティ(セキュリティ全般)
・ヘルプデスク(入退社、組織変更、キッティング、SaaSサービス運用)
・アプリケーション(API連携、GASなどのスクリプティング)

もうちょい分解すると、このくらい。

情シスマインドマップ

業務を書き出してヒアリングする中で、緑枠で囲った範囲が属人化していた。
インフラ・ファシリティ・セキュリティ・Pマーク運用 と一人のメンバーが
4つも単独運用していた事が判明し、かなりリスキーな状態であった。
(知識、経験、スキルが必要になる分野なので、理解は出来る)

他にも出るわ 出るわ 属人化作業が 津波の様に

〜完〜

と、登り始めたマネージャ坂の前で現実逃避もここまでに、
一歩ずつ登っていかねばならない。

・業務の標準化
・問い合わせ経路の一極集中化
を目標とし、チームで動く をスローガンとする。
これ以上の情報分散を避けるところから始めなくてはならない。

まずは出来るところから
業務の見える化と、対応履歴を含めたエビデンスの全体公開、
マニュアル含めたナレッジのストックを最優先に行動開始。

1:Slackにパブリックのチームチャンネル(team_情シスqa)を作成
2:「Slackワークフロー+GAS+BacklogのWebhook」を利用して、どの経路からでもBacklogのチケット起票&Slackチャンネルへの投稿を可能にする。
3:ヘルプデスク含む、情シスへの依頼を今後はチャンネルで対応する旨を全社へ通達
4:1のチャンネルに全社員を招待

を順次実施。

処理フロー
Slackでやり取りをスムーズに高速化、更に過去履歴を索引可能に

続いて、「メモレベルでも良いのでサクッと気軽に書ける」「画像も動画も貼り付け自由」なツールとしてNotionを導入。
情シスマインドマップと合わせたページ構成にして、対応した作業のマニュアル、エビデンスを書き込める様に構築。

マインドマップとNotionのページブロックを同期

最後にチームMTGを開き、丁寧な説明を心がけて・・・
・チームで動こう!
・可能な限り情報をオープンにしていこう(パブリックチャンネル上で回答してね)
・問い合わせ経路を一元化します。
・情報をNotionに集約し、ナレッジを貯めましょう!

といった対応をチームメンバーにお願いしました。

当時のやっつけ資料1
当時のやっつけ資料2

振り返ってみると、当時のSlackコミュニケーションは殆どがDMで、
パブリックチャンネルなど数える程度だった。
そのせいかは分かりませんが、やはりハレーションはあった。
が、メンバーの方々が根気強く対応してくれまして、今では簡単な質問もチャンネルへ投稿される様に。
開き直りと継続は力なり。
続けてくれたメンバーへの感謝で一杯です。

そして上記内容を社長へプレゼンし、完。


続いて、メンバー向け職務考課表を作成したお話。

評価環境と職務考課表の位置づけ

はじめに。
職務考課表が無い会社の方もいると思うので、
背景である弊社の評価体制についてお伝えしておきます。
等級制度を採用しており、1〜4等級までが新卒〜リーダ ポジション
5級以上がマネージャ or スペシャリスト にシフトしていく形。

コーポレートITの等級 イメージ

評価ツールとしてカオナビを導入しており、カオナビにて目標を設定>期末で上長へ達成報告を実施、それを部門長が確認し承認する。

年度末に目標に対して自己評価 → 上長評価 が行われた後
全社内でS~D評価までランク付けされ、S評価なら一発で昇格、D評価なら・・・という流れになっています。

職務考課表って何?

当社の職務考課表は、能力開発をテーマにした
メンバーに今期の目標を立ててもらうための補助資料という位置づけです。

課長が作成するので、それぞれの課毎にシートがあります。
(人事では各課の業務内容が分からないので、課長が作る建付け)

決められたフォーマットは無く、
・等級毎のスキルマップが一覧化されていること
・合計点が100点になる様に、各スキルの点数割り振りをすること
といったルールのみ。

課長はメンバーに習得して欲しいスキルを並べ、この等級は何処まで出来れば良いのか悩みながら作成する。
正直これが一番キツかった。
情シスSlackでヒアリングする時間も無い。
独断と偏見で固まらない様に、可能な限り根拠付きの表にする必要がある。

更にどの様なスキルを付けて成長していけば良いのか、分かる様に書きたいし、キャリア形成の一助にもなりたいし・・・


むむむ・・・

                ↓

まぁ、良いか。とりま作ろう。

という事で、私の情シス歴8年の独断と偏見で、考課表を作っていきます。

職務考課表の土台作り

何はともあれ、まずはチーム内の業務について全体把握が必須。
私がよく使うのはマインドマップで、兎に角、対応している業務を
種別分けして書いていく。

イメージはこんな感じ
前に書いたNoteの流用ですが宜しければ(↑にあるマインドMAPは共有が出来ないので・・・)

続いて、チケット管理しているBacklogから情報をかき集めたり、
メンバーへのヒアリングを繰り返し、業務種別毎の稼働割合(運用・保守)をざっくりと計っていく。

するとこんな感じに
・インフラ(ほぼVPNの接続問題) 5%くらい
・オフィスファシリティ(電気、LAN) 1%以下
・資産管理(各種デバイス管理) 20% 
・Pマーク事務局 1%以下
・コーポレートセキュリティ(セキュリティ全般) 5%くらい
・ヘルプデスク(入退社、組織変更、キッティング、SaaS運用) 70%
・アプリケーション(API連携、GASなどのスクリプティング) 1%以下

ほぼ ヘルプデスクと資産管理がメイン 

よって、この2つはチームで動く以上、等級関係なく対応する業務となるので、必須として設定する。
ただし、等級が上がる程に評価加点は低くしていく。
高い等級のメンバーは、定型業務の自動化改善に比重を置いて、シフトしていって貰いたい。

続いて、評価基準に含む要素を考えていく。

・モチベーションの維持(得意分野を伸ばす)
・(当社で)将来的に必要となるスキルを含める
・会社に利益をもたらすコスト意識を持ってもらう

辺りをエッセンスとして含んでいく。

以上で積み木の如く積み上げた結果、tiripiri製の考課表は以下の通りとなりました!

ヘルプデスク

定量的な判断が難しい業務内容ではありますが、「いかにスピーディー&
正確に、依頼者の求める結果を出すか」を分解したものを評価ポイントに。

異論は認める

IT資産管理

当社の規模だとWindows、Mac合わせて年間50〜60台程購入している。
当時は
・円安!半導体不足!
・一括購入も出来ない(ディスカウント不可!)
・フルリモートでPCストックの置き場が無い!
と問題発生しまくりで、資産管理は外せない業務だった。
この辺を何とかしたNoteは次回になるとして、評価ポイントは
PCをかき集める能力、リソースの信頼度、PCに対する知識をメインに置く。

商人かな?

プロジェクトマネジメント(新規サービス導入)

3等級以上になると、リーダ的なポジションとなり
改善活動や新規サービス導入の旗振りなどが業務に入ってきます。
そこで、ベンダー調整やサービス導入のWBS作成などを評価ポイントに載せていく。

慣れれば楽だが、この辺りから難易度が上がってくる

企画・提案・推進力

4等級以上になると、マネージャ一歩手前となるので
・各事業部との対話(ヒアリング)
・課題解決
・メンバーの指導
・サービスのリプレース
などイベントが盛り沢山に。評価ポイントもチーム内評価から全社への影響力を加点した形になるので、そちらに合わせて設定。

社内政治含めた、コミュニケーション能力が必要になってくる

選択式(セキュリティ ・ インフラ&ファシリティ ・ アプリケーション)でこの中から1〜2つ選ぶ

とはいっても、進むべき道はマネージャだけでなく、スペシャリストを目指す事も当社では可能。そこでスペシャリストを目指す人向けに、選択式のスキルも含めました。

主に中途採用のメンバー向けで、それまでの経験を武器として使ってもらうため。インフラに詳しかったり、GAS書きまくって自動化してたり、
セキュリティ周りの達人だったり。

活躍出来る能力があるにも関わらず、スキルセットにないと正当な評価が出来ないので、選択式として評価に入れる事にした。

そのまま伸ばすも良し。別のスキルにチャレンジするも良し。

こんな感じ。

評価軸は会社規模や社内環境、風土や業種など様々なファクターで変化する物だと思ってまして、今後もアップデートしていくと思います。
その時にどんな評価体系にしていくのか、不足している部分は無いか。
いつか他社とも情報交換してみたい。

終わりに

以上が、第一回目の内容となります。
次回は実際にチームとして、
・年間通して何をやっていくか
・事業部長から聞いた課題をどうクリアしていくか
・予算はどうするか
を書いていきたいと思います。

ではまた。


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