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宇宙のどこかで生命を探索するためのスーパーアース実験室 ジュネーブ大学

人類が初めて太陽系外惑星(エクソプラネット)を発見してから約30年が経過し、これまでに銀河系内で7000以上のエクソプラネットが確認されています。しかし、未だ発見されていない惑星は数え切れないほど存在します。近年、天文学者たちはこれらの惑星の特性に注目し、宇宙における生命の存在を探る研究を進めています。そのような中、ジュネーブ大学(UNIGE)やNCCR PlanetSを含む国際チームが、新たなスーパーアース「HD 20794 d」を発見しました。この惑星は、恒星のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)を出入りする特異な軌道を持ち、宇宙における生命探求の新たな実験場として注目されています。この発見は、20年にわたる世界最高峰の望遠鏡を用いた観測の成果であり、2025年1月29日付けで学術誌『Astronomy & Astrophysics』に掲載されました。

「我々は宇宙で孤独なのか?」この問いは何千年もの間、哲学の領域で議論されてきましたが、現代の科学技術の進歩により、具体的な仮説や証拠をもとに探求することが可能となりました。1995年、UNIGEのミシェル・マイヨール氏とディディエ・ケロー氏が初めて太陽系外惑星を発見し、この功績により2019年にノーベル物理学賞を受賞しました。それ以来、天文学者たちは着実に歩みを進め、現在では7000以上のエクソプラネットが確認されています。現在の科学的コンセンサスでは、銀河系内のすべての恒星が惑星系を持つと考えられています。天文学者たちは、仮説を検証し知識を深めるため、特徴的なエクソプラネットの特性解明に注力しています。

今回発見されたHD 20794 dは、地球よりも大きな岩石惑星であるスーパーアースに分類されます。この惑星は、太陽に似たG型の恒星HD 20794を中心とする惑星系の一部で、他に2つの惑星が存在します。HD 20794 dは、地球から約19.7光年という比較的近い距離に位置しており、この「近さ」は観測を容易にし、光の信号も強く検出できます。UNIGE天文学部の上級講師であり、今回の研究の共著者であるグザヴィエ・デュムスク氏は、「HD 20794は並外れた恒星です。その明るさと近さから、将来の望遠鏡でエクソプラネットの大気を直接観測する際の理想的な候補となります」と述べています。

HD 20794 dの特筆すべき点は、その軌道が恒星のハビタブルゾーン内外を行き来する点です。ハビタブルゾーンとは、惑星表面に液体の水が存在し得る領域を指します。このような軌道特性により、HD 20794 dは多様な環境条件を持つ可能性があり、生命の存在や進化に関する新たな仮説を検証するための貴重な対象となります。

この発見は、20年にわたる継続的な観測の成果であり、複数の最先端望遠鏡と観測技術の組み合わせによって実現しました。特に、HD 20794 dのようなスーパーアースは、地球外生命の可能性を探る上で重要な研究対象とされています。今後、次世代の大型望遠鏡や観測装置の開発・導入により、HD 20794 dの大気組成や表面環境の詳細な分析が可能となり、宇宙における生命の存在に関する理解がさらに深まることが期待されています。

詳細内容は、ジュネーブ大学が提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7


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