人間の大きな脳の秘密は腸にあった!進化を支えた微生物の力 ノースウェスタン大学
私たちの脳は、進化の中で際立った特徴を持つ器官の一つです。その大きさや複雑さが高い知能を支える一方で、代謝的な負担も非常に大きく、脳組織は他の組織の約20倍ものエネルギーを必要とします。この課題をどのように克服してきたのか、長年の謎でした。しかし、ノースウェスタン大学の最新研究により、答えが「腸内微生物」にある可能性が浮上しました。
この研究では、腸内微生物がエネルギー生産にどのように貢献しているのかを調べるため、人間やリスザル(脳が大きい霊長類)、マカクザル(脳が小さい霊長類)の微生物を無菌のマウスに移植しました。その結果、脳が大きい霊長類由来の微生物を持つマウスは、エネルギー消費が増加し、脂肪蓄積が減少。一方で、脳が小さい霊長類由来の微生物を持つマウスはエネルギーを脂肪として蓄える傾向が強いことが明らかになりました。
この研究は、腸内微生物が進化の過程で生物の代謝やエネルギー供給にどのように影響を与えてきたのかを示す初の証拠を提供しています。特に注目すべきは、人間とリスザルのような異なる進化系統の生物が、それぞれ独立して大脳を進化させた際に、似たような腸内微生物の変化が起きていた可能性です。この発見は、脳の進化が単に遺伝子や環境要因だけではなく、腸内細菌の変化に支えられていたことを示唆しています。
研究チームは今後、さらに多くの霊長類から微生物を収集し、エネルギー供給のメカニズムや免疫機能への影響を詳細に解明していく計画です。これにより、脳進化のメカニズムがさらに明らかになり、腸内環境が私たちの健康や認知機能に与える影響についての理解も深まるでしょう。
この発見は、腸内環境を整えることが私たちの健康だけでなく、脳の働きを最適化する上で重要であることを改めて示しています。腸と脳のつながりを見直し、未来の健康科学に生かすための研究がさらに進むことが期待されます。
詳細内容は、ノースウェスタン大学が提供する元記事を参照してください。
【引用元】
【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7