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宇宙の時の番人「パルサー」が明かすダークマター(暗黒物質)の証拠 英国王立天文学会

宇宙の「時の番人」とも呼ばれるパルサーを利用して、ダークマター(暗黒物質)の存在を示唆する興味深い証拠が発見されました。

パルサーとは、中性子星の一種で、回転しながら灯台のように電波を放出する天体です。この規則正しい電波の周期はミリ秒から秒単位で、非常に正確な時間の測定が可能です。この特性を利用して、隠れた質量を特定する研究が進められています。

強力な磁場 (青) に囲まれた中性子星の想像図

この研究を率いたのは、ノートルダム大学の天文学者ジョン・ロセッコ教授です。彼は今週、ハル大学で開催された英国王立天文学会の全国天文学会議でこの研究成果を発表しました。ロセッコ教授は、「地上には原子時計があり、宇宙にはパルサーがあります」と述べ、正確な時間測定技術の重要性を強調しました。

ロセッコ教授は、パルサーの電波が届くタイミングにおける微小な遅延を観察しました。これは、パルサーと望遠鏡の間に見えない質量が存在することを示しています。彼はこれらの質量が暗黒物質の候補であると考えています。

研究の中で、ロセッコ教授はPPTA2(パークス・パルサータイミングアレイ)のデータを解析し、電波の到達時間の遅延を調査しました。このプロジェクトでは、エフェルスベルク、ナンシー、ウェステルボルク、グリーンバンク、アレシボ、パークス、そしてチェシャーのラヴェルを含む7つの異なる電波望遠鏡を使用しています。観測は約3週間の周期で3つのバンドで行われます。

暗黒物質による到達時間の遅延は、その質量に比例しており、明確な形状を持ちます。65個の「ミリ秒パルサー」からの精密データを調べた結果、約12件の暗黒物質との相互作用を示す事例が発見されました。

ロセッコ教授は、「地球、太陽、パルサー、そして暗黒物質が全て動いているため、観測される質量とパルサーまでの視線の間の距離が変化することで到達時間に偏差が生じます」と説明しました。太陽と同じ質量の物体は約10マイクロ秒の遅延を引き起こしますが、彼の観測はナノ秒単位の精度を持ち、これを遥かに上回ります。

彼の発見の一つは、太陽の質量の約20%の歪みを示唆しており、この物体が暗黒物質の候補である可能性があります。また、この研究はパルサータイミングデータの精度を向上させる副次的な効果もあり、低周波重力波の証拠を探すためのデータサンプルの精度向上にも寄与します。

ロセッコ教授は、「暗黒物質の真の性質は謎です。この研究は、銀河系内の暗黒物質の分布とその性質に新たな光を当てると共に、精密なパルサーデータの精度も向上させます」と述べています。

詳細内容は、英国王立天文学会が提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7


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