高温超電導磁石で商用核融合炉の実用化を目指す、MIT発ベンチャー Commonwealth Fusion Systems
常時安定した電力を供給するベースロード電源として、夢のエネルギー源といわれてきた核融合炉の実現に、アメリカで大きな進展が見られています。マサチューセッツ工科大学(MIT)発のベンチャー企業・コモンウェルス・フュージョン・システムズ (CFS)は、強力な超伝導磁石を開発し、2025年に140メガワットの出力を持つ小型の実証炉「SPARC」を稼働させる予定です。その後、2030年には400メガワットの出力を持つ商用炉の建設を目指しています。
従来の核融合炉は巨大で建設コストも膨大でしたが、CFSが開発した新型の磁石は小型・安価で、核融合の実現に道筋をつけようとしています。
核融合は、太陽と同じ反応で、軽い原子核同士を融合させて莫大なエネルギーを生み出す夢の技術です。核分裂発電とは異なり、放射性廃棄物もほとんど発生せず、燃料となる重水素は海水中からも得られるためクリーンなエネルギー源として期待されています。
しかし、核融合炉の開発はこれまで難航してきました。核融合反応を起こすには、超高温のプラズマを強力な磁場で閉じ込めなければならず、そのためには高性能な超伝導磁石が必要とされてきたのです。
CFSが開発した新型の磁石は、従来の物とは異なり「レアアースバリウム銅酸化物」と呼ばれる新しい超伝導体を使用しています。この素材は従来よりもはるかに高い温度で超伝導状態を維持でき、磁石の小型化と性能向上を実現しました。
2021年に行われたテストでは、この新型磁石は20テスラの強さという世界記録を達成。従来の核融合炉の磁石の約2倍の強度を持ち、より小型の炉でも十分なプラズマの閉じ込めが可能になりました。
CFSの野心的なスケジュール通りに進んだとしても、核融合炉の実用化にはまだ多くの課題が待ち受けています。核融合炉が実際に正味エネルギーを生み出した例はまだなく、新型磁石の耐久性も実証が必要です。
しかし、CFSの開発は核融合の実現に大きな一歩を踏み出したといえます。気候変動対策のためにも、クリーンなベースロード電源の確立が急務となっており、CFSの挑戦は今後さらに注目を集めていくでしょう。
詳細内容は、MIT が提供する元記事を参照してください。
【引用元】
【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7
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