第3の生命体 古代微生物がエネルギーを生み出す仕組みを解明、持続可能な水素経済への新展望 モナッシュ大学
モナッシュ大学の科学者チームは、地球上で最も古代の微生物の一種であるアーキア(古細菌)がエネルギーを生成する方法を明らかにしました。この発見は、アーキアが水素を利用する仕組みを解明し、未来のグリーン経済に貢献する可能性を示しています。研究成果は、科学誌『Cell』に発表されました。
アーキアは、地球上で最も過酷な環境でも生息できる単細胞生物です。彼らのエネルギー生成の鍵は、水素ガスを利用することにあります。モナッシュ大学のバイオメディシン発見研究所(BDI)を中心とした国際チームは、アーキアがどのようにして水素を消費し、生成するのかを詳細に調べました。
研究チームは、数千種類のアーキアのゲノムを解析し、水素を生成するための酵素を調べました。その結果、これまで「真核生物(ヒトを含む)と細菌にしか存在しない」と考えられていた[FeFe]-ヒドロゲナーゼという酵素がアーキアにも存在することがわかりました。さらに、この酵素は、最小から最も複雑なものまで多種多様であり、アーキアが過酷な環境で適応し繁栄する一因であることが示されました 。
アーキアは地球上の生物の三つのドメインの一つで、他の二つは細菌と真核生物です。現代の生物進化の理論では、真核生物は古代のアーキアと細菌が水素を介して合体することにより誕生したとされています。今回の研究により、アーキアの水素利用の詳細が明らかになったことで、真核生物の進化の謎に一歩近づいたと言えます 。
今回の発見は、産業における水素利用の効率化にも大きな可能性を秘めています。現在、産業では高価な化学触媒を用いて水素を利用していますが、アーキアが持つ生物学的触媒(ヒドロゲナーゼ)の利用は、より効率的かつ持続可能な方法となり得ると期待されています。
モナッシュ大学のクリス・グリーニング教授は「自然界の生物触媒が示す効率性と耐久性を活用することで、産業の水素利用を改善できる可能性があります」と述べています 。
アーキアはその古代の起源と現代への応用可能性から、科学者たちの関心を引き続き集めています。彼らの研究は、持続可能な水素生産の実現に向けた新たな道を開くかもしれません。
詳細内容は、モナッシュ大学が提供する元記事を参照してください。
【引用元】
https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(24)00573-7
【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7
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