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太陽を巨大望遠鏡に変える!重力レンズで宇宙を究極の解像度で観測する新構想

SPACE.comの記事より、
現在の望遠鏡技術は、宇宙の謎を解き明かす上で重要な役割を果たしています。特に、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、これまでにない高解像度で遠方の天体を観測し、宇宙の初期段階を理解するための新たな視点を提供しています。しかし、科学者たちはさらに強力な望遠鏡のアイデアを追求しています。その鍵となるのが「太陽」です。

太陽の重力は、アインシュタインの一般相対性理論に基づき、周囲の時空を曲げることで光を集める「重力レンズ」効果を生み出します。もしこの自然現象を活用し、太陽をレンズとする「太陽重力レンズ」を使用すれば、これまでの技術では不可能だった解像度で宇宙を観測できるのです。例えば、JWSTの解像度が0.1秒角(アークセカンド)ですが、太陽を利用した重力レンズは、理論上では10^-10秒角、つまりJWSTの100万倍の解像度を持つ可能性があります。

この望遠鏡は、地球から542天文単位(約81兆km)離れた地点に設置する必要があります。この距離は地球と太陽の距離の約542倍で、これは冥王星までの距離の11倍に相当します。この位置にカメラやセンサーを配置し、太陽による重力レンズ効果を活用して宇宙を観測するという大胆な発想です。この方法を使用すれば、例えば、最も近い系外惑星「プロキシマ・ケンタウリb」の表面を1キロメートル単位で詳細に観測できる可能性があります。

現在の望遠鏡では、地球に似た惑星を探す際、その惑星全体を数ピクセル程度でしか捉えられません。しかし、太陽重力レンズを利用すれば、惑星の詳細な地形や大気の構造、さらには生命の兆候を直接観測できるかもしれないのです。この技術が実現すれば、私たちは100光年以内に存在する系外惑星の詳細な姿を手に入れられるでしょう。

ただし、このプロジェクトには多くの技術的課題があります。まず、542天文単位の距離に探査機を送り届ける必要があります。現在最も遠くまで到達した探査機「ボイジャー1号」ですら、まだこれに到達していません。また、重力レンズが作り出す画像は非常に広範囲に広がっており、探査機がその範囲をスキャンしてデータを収集する必要があります。

そのため、提案されているのが「ソーラーセイル」を使った小型衛星の艦隊です。これらの衛星が太陽風を利用して加速し、目的地に到達した後、複数の衛星が協力して観測を行います。この方法なら、既存の技術をベースにして比較的軽量なコストでプロジェクトを実現できるかもしれません。

この太陽重力レンズのアイデアは、今すぐには実現しないかもしれませんが、未来の天文学に革命をもたらす可能性を秘めています。すでに理論的な裏付けはあり、技術的な挑戦を乗り越えれば、私たちは数百年先の未来にも匹敵する超高性能の望遠鏡を手にすることができるでしょう。

詳細内容は、SPACE.comが提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7


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