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ブラックホールが銀河を「餓死」させる!?宇宙の星形成を阻む暗黒の力 ケンブリッジ大学

最新の天文学の発見によると、超大質量ブラックホールが宿主銀河の星形成を阻害し、最終的に「餓死」させるメカニズムが明らかになりました。この研究は、ケンブリッジ大学の研究チームを中心に行われ、NASA/ESAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使用して詳細に観測されました。研究対象となった銀河は、「パブロの銀河」と呼ばれ、ビッグバンから20億年後の宇宙に存在します。銀河は非常に大きく、質量は太陽の2000億倍にも達しますが、現在は星形成がほぼ停止しており「死んだ」状態にあるとされています。

パブロの銀河の中心には、他の大きな銀河と同様に超大質量ブラックホールが存在しています。このブラックホールは、銀河からガスを排出し、そのガスが新しい星を形成するために必要な「燃料」を銀河に供給できないようにしています。ウェッブ望遠鏡の観測により、ブラックホールが秒速1000キロメートルという高速でガスを排出し、これが銀河の重力を超えて外部に流れ出していることが確認されました。このガスの大部分は冷たく、密度が高いため光を発しませんが、ウェッブ望遠鏡の高感度な観測能力によってこの暗いガス雲の存在が明らかになったのです。

この研究は、超大質量ブラックホールが銀河の進化に深刻な影響を与え得ることを強く示唆しています。理論的にはブラックホールが星形成を停止させる効果が予測されていましたが、これまでその直接的な証拠は得られていませんでした。今回の発見により、ブラックホールの活動が銀河の「生命線」を断ち切り、星の誕生を妨げていることが初めて確認されました。

さらに興味深いのは、ブラックホールが銀河の形を破壊せずに星形成を止めている点です。従来のモデルでは、ブラックホールの影響は暴力的で、銀河の形を破壊するものと考えられていました。しかし、この円盤状の銀河の星々は今も規則正しく運動しており、すべての銀河が同じ影響を受けるわけではないことを示しています。

今後の観測では、アルマ望遠鏡を使って、銀河内に残っているかもしれない冷たいガスの存在や、ブラックホールの影響が銀河の周辺領域にどのように及んでいるのかが探られる予定です。この研究により、宇宙初期の銀河がどのように進化していったのか、ブラックホールが銀河形成にどのように関与しているのかがさらに解明されることが期待されています。

詳細内容は、ケンブリッジ大学が提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7

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