見出し画像

これまで観測された中で最もエネルギーの高い宇宙線電子と陽電子を検出 国際共同研究プロジェクト(H.E.S.S.)

国際共同研究「H.E.S.S.(High Energy Stereoscopic System)」プロジェクトが、宇宙線中に含まれる史上最も高エネルギーの電子と陽電子を検出しました。この発見は、宇宙物理学における重要なマイルストーンであり、宇宙線の起源や銀河系内での挙動の解明につながる大きな進展をもたらします。

宇宙線は、宇宙から地球に降り注ぐ高エネルギー粒子の流れで、主に陽子や原子核、電子、陽電子などで構成されています。これらの粒子は、銀河系内の超新星残骸やその他の極限的な天体現象によって加速されると考えられています。しかし、これまでの研究では、それらのエネルギーの上限や起源について多くの謎が残されていました。

H.E.S.S.はナミビアに設置された5基の望遠鏡から成る観測システムで、宇宙線による高エネルギーガンマ線を観測する目的で構築されています。今回の発見では、これらの望遠鏡を通じて、電子と陽電子が最高20テラ電子ボルト(TeV)というエネルギーに達していることが確認されました。この値はこれまでに観測された中で最も高いものであり、理論的なエネルギー上限を超える可能性を示唆しています。

この発見は、宇宙線の起源や加速メカニズムを解明する新たな手がかりを提供します。例えば、銀河系内の超新星残骸やパルサー(回転する中性子星)が、これほど高エネルギーの粒子をどのように生み出しているのかを理解するための鍵となります。また、エネルギーが高いため、これらの粒子は銀河系を超えて観測される可能性もあり、宇宙全体の構造形成や進化についても新たな洞察を与えるかもしれません。

H.E.S.S.プロジェクトはさらに多くのデータを収集し、今回の発見の詳細を調べる予定です。また、次世代の観測システム「CTA(Cherenkov Telescope Array)」などの新技術を活用することで、これらの高エネルギー粒子の特性や起源に関する理解がさらに進むことが期待されています。

宇宙の謎を解き明かすこの研究は、天文学や物理学において重要な進展をもたらすだけでなく、人類が宇宙に対する理解を深めるための大きな一歩です。これからのさらなる発見に注目が集まります。

詳細内容は、CNRSが提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7

いいなと思ったら応援しよう!