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ワーホリ日記⑤この優しさをわたしは知っている


今日も本当によく考えた。考えすぎた。考えすぎ人生。同じところばかりぐるぐると。悩みもがき、苦しい日だった。しかも、暑かったのでアイスラテばかり頼んだら、2連続でシロップ入りの甘いラテだった。高校生の時は大好きだった、お砂糖たっぷりミルクたっぷりのコーヒー、もう飲めない。でも、ブラックもまだ飲めない。


仕事探しをしながら、自分に無いものばかりが見えてしまって自分で自分を苦しめる日々。気分転換にいっそどこか旅行にでも行こうかと思ったものの、行った先で「こんなところで何してるんだろう」なんて考えこむ自分が容易に想像できて、また辛くなる。ワーホリに来るまでに、大好きな人たちとの時間の中で少しずつ育ててきたはずの自信や決意が、あっという間に遠くにいってしまう。なんとかなるさ、明日は美味しい朝ごはんでも開拓しよう、なんて考えつつ布団に入っても、朝起きると脳がデフォルト設定のネガティブモードにリセットされている。


もうー!!やってられない!!苦しい!!


晴れない気持ちを抱えつつ、それでもやっぱり頑張りたくて、友達とのやり取りでも、今日は面接に行った、仕事探しのために次はこんなことをしてみたいの!そんな話をついしてしまう。そんなわたしを、彼女はいつもわたしを励ましてくれる。本当によく頑張ってるね、きっと仕事見つかるよ、今日もおつかれさま。


今日もいつものようにやりとりをしていた中で、その子が住む街にある展望台からの景色の写真を送ってくれた。他にも、可愛い動物の写真も。どれも本当にいい写真で、なんというか、無意識に心をきつく縛っていた紐がほどけた。とても自然に、こんな素敵な景色を見たいなあ、と思った。

「最近、仕事のことばかり考えてしまってたけど、この写真みたいな景色を見てみたいな」

そう送ると、すぐに返信が来た。

「将来の心配をしていても時間はすぐ過ぎていくよ、限られた1年という時間のなかで、あなたが本当にやりたいことをやるべきだよ」
「この1年が終わったあとにあなたが思い出すのはきっと、職を得るまでにかかった時間のことじゃなくて、そこで得た思い出たちだよ」


わたしはやっと気づいた。この子はきっと、わたしが仕事の話をするたびに、こう思っていたんだろうな。それでも、目の前のことに必死で他のことを考えられなくなっていた時には、わたしが頑張りたいと思う、足を止めたくないと思う、その気持ちを尊重して、ただ励ましてくれていた。そして今日、少し落ち着いたこのタイミングで、この話をしてくれたんだな。


今のわたしに何が必要か、わたしより先に気づいても、自分で見つけたいわたしの頑固さを柔らかく受け止めて、待っていてくれる優しさ。わたしはこの優しさを今までにも何度も貰ってきた覚えがある。



何か状況が変わったわけじゃないけれど、確実に自分の中にあたたかい気づきが生まれた日だった。わたしも優しくありたい。


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