将棋倶楽部24の高段(R2300-R3100)は実際どんな世界なのか

 2022/5/30(月)

 はじめまして、いつも対局の反省ばかりしている人です。
 自己紹介代わりに雑記を書いてみます。

 noteを眺めていると、色々な方の将棋観や楽しみ方を知れて興味深いという一方で、高段帯に関する話題は少ないと感じておりました。

 そこで、ちょくちょく話題になっている「将棋倶楽部24」の段級レベルの話を書いてみようと思います。


まえがき

将棋倶楽部24 公式HPより

 こちらは公式HPに何年も前から載せられているもの。「本当に実際の段級に合っているのか?」という意見を長らく交わされつつ、信頼されてきたように思います。

 五段~六段前半くらいまでは将棋ウォーズなどと比較して言及されることも多いですが、七段(R2700-2900)あたりから評価が曖昧になってきます。プロ棋士レベルとされていますが、本当かは怪しいです。八段(R2900-)については「プロですか?ソフト指しですか!?」と言われてしまうくらい深い霧に包まれた世界です。

 あまり言及されない原因は、どれくらい強いのか強すぎて差が分からないからだと思います。藤井五冠がトッププロを相手になぜ勝ち続けられているか、アマチュアには自力で解明することができません。

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 読者の皆さんにお聞きしたいのですが、身近な将棋指しの友人に
 「最高R2800行った!!!!!めっちゃ嬉しい!!!!!」
 と言っても

 「へぇー、すごいね~。やっぱり2800ってすごいっていうよね~(正直ようわからん)」
 みたいな返事をもらった経験はありませんか。

 私はよくあります。
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 実際に棋力が同じくらいの友人にはめちゃくちゃ祝ってもらいましたが。

 自分にとっては大きな苦労をして手に入れた賜物なのに、どんどん周囲の実感から離れてゆく。褒められるためにやっているわけではないけど、やっぱり同じくらいのすごさを体感してほしい。

 そういった気持ち、あると思います。

 逆に、「雲の上かと思っていたけれど案外近いのかもしれない!」なんて思ってもらえるキッカケになっても嬉しいです。どれくらい強くて、どれくらい弱いのか本音で書いていくつもりです。

 そういったわけで、語り手の不足した世界に一石を投じる思いで参りました。(あとは個人的にこういう段位批評みたいなのが大好物です)

 ちなみに筆者の棋力は
 (最高)R2800台/(平均)七段を行ったり来たりして3年くらい。
 24での総対局数は1万局くらいです。ウォーズ・クエストは指していないので比較できません。
 
 さらに強豪の方がご覧になる場合もあると思うのでご容赦いただきたいですが、ちょうど真ん中だからこそ書けることも多いと思うので遠慮なく書きます。

本編-24のレート帯ごとに個人的な目線で解説


五段 (R2300-R2499) 剣と楯を装備したルーキー戦士 

 
 かなり振れ幅を秘めた棋力帯。低段タブ→R2300までの大きな壁を乗り越えると、この棋力帯に馴染んでいける基礎がついている証拠だろう。

 一般的なスキルは十分に割り振られ、戦士として冒険が始まる。

 ここまで到達したということは、かなり自慢できる棋力である。近所に当然敵はいないし、奨励会員とも互角に勝負できるくらいの力があるという時点で、すでに一般人ではない。人生で一度奮起した人が到達できる境地。ある青春の一ページが将棋三昧になっていたなら、その資格があるかもしれない。指導対局を依頼されたときは、多少訓練すれば3面指しで駒落ちを華麗にこなすくらいの技は披露できる。

 平均がR2300を切らずに安定してくると、格上の七段あたりに一発入れるくらいの力はついている。油断ならないというのが第一印象。一度勢いがつけばR2400の後半まで到達できる力がある。魔境の低段に比べて本格派の将棋が増え、プロの最新定跡などを勉強していればたびたび指定局面に遭遇することがあるほど。
 独自の研究、または詳しい序盤定跡においてはいくつかの得意形があり、時には強豪を陥れる秘策を携えている。居飛車も振り飛車もバランスよく居る印象で、一度踏み入ればかなり良い勉強ができる棋力帯だと考える。
 持ち時間の長い将棋では終盤でもかなり崩れにくく、格下から逆転勝ちを奪うことも容易い。強豪でもわりとこのレート帯に転げ落ちることがあり、不調な時はバランスよく隙の少ない指し回しに手こずる。
 
 小学生:奨励会にぜひ入ってほしい逸材。
 中学生:全国大会で大活躍。
 高校生:県代表確実級。
 大学生:地方大のエース級。強豪校ならレギュラー候補。
 一般 :強豪の少ない県では代表候補。
 奨励会:4~6級

 一方で、将棋に波があるため格下からの一発をもらいやすい弱さがある。研究の浅さを突かれて形勢を崩すと、相手の棋力によってはそのまま負けてしまう。最新形に触れていてもその先の研究が足りなかったり、外されたときの対応力が足りず、形勢を損ねること多々あり。
 尖った強みがないバランス型の棋力では、少しの格上に全く歯が立たない。序盤型でこの棋力帯に来てしまうと、序盤で優位に立てても終盤力の差で同格になかなか勝てないことがある。終盤型の方がやや優位であるが、今度は格上の序盤型に全く歯が立たない。
 極端な実戦派か、勤勉に詰め将棋や棋譜並べをやっている実戦経験足りなさすぎ派が多いので、ぜひ見直したい。この段階が高段にして最後のジャンプアップ地点なので、踏ん張って棋力を爆発させてほしい。

六段 (R2500-R2599) 筋骨隆々バーサーカー


 実力の安定しつつある棋力帯。一度安定すれば多少落ちてもここまで楽に戻ってこれるくらいの力がある。本人は調子に波があると思っていても、周囲はあなたの棋力低下の瞬間にもう気付けない。

 目に見えて強いと感じられるのはこの辺りから。みっちり鍛え抜かれた戦士達の集う場所。

 ここまで来たということは、大の将棋好きか天才肌のどちらかである。泥臭く大人になってから積み上げてきた超実戦派の将棋と、鮮やかな太刀筋を学習した天才少年たちが邂逅する。大抵の地元では覇者であり、「この人には勝てそうもない」という恐怖心を植え付けるほど格別の棋力を備えている。得意戦法はあるが、そつなくオールラウンドにこなすことができ、結局は終盤力の差でねじ伏せてしまうがゆえにやはり最強。プロ棋士の指導対局に顔を出せば、プロの目つきが変わって本気の一手を引き出せるだろう。「もう少し努力すれば、プロを目指すチャンスくらいあったかもしれない」そう言っても許されるほど、周囲はあなたを敬い慕っているだろう。

 ほとんどすべての戦法に多くの情報を蓄えており、ほとんどハメ手などは看破するため序盤で敗勢に追い込まれるようなことはめったにない。また形勢を損ねたとしても、同格や格上を相手にチャンスを作ることができる。格上からも警戒されることが増え、研究の対象とされることも多い。
 特に中盤戦の大局観が良くなり、得意な戦型では一方的に押し切る展開になることも多い。終盤では粘りのテクニックに長けており、早指しでは相手の裏をかき敗勢をひっくり返すということもしばしば。

 小学生:将来的に奨励会有段の可能性高め。
 中学生:全国大会で優勝候補。
 高校生:全国大会で入賞候補。
 大学生:地方大の特別警戒エース級。強豪校ならレギュラー枠。
 一般 :県によってはベテラン代表者。
 奨励会:3~5級


 一方でまだまだ打たれ弱い。全体的な崩れにくさはあるが、バランス良く実力を持っている場合は序盤と終盤に少しボロが出ることが多い。
 圧倒的な序盤力を持つ人はあまり多くなく、基本的に深い研究をぶつければ優勢に持っていくことができる。また、定跡外しに耐性のない人がやや存在するため、独特な戦型における形勢判断や大局観が甘い。
 中盤は早指しをするとたまに大局観のずれた手が飛んでくる。強い人は絶対に見落とさないという筋にたまに気付けないことがある。
 終盤はうまく粘ればだいたい1回のチャンスをもらえる。また、攻める時はガチャガチャ攻めていっても結構受け間違えてくれることが多い。
 この辺りから、棋力を少し上げるだけでも大変な労力が必要になってくる。大学生くらいの年齢になると、将棋に割く時間との兼ね合いもあって、棋力を伸ばすために非常に苦労が多い。あと一歩、もう少し上に行きたいという気持ちが溢れてくる棋力帯である。


六段 (R2600-R2699) 重装備の大型戦士


 上級の将棋指しが認める強さ。一言で表現すると「手堅い」。この辺りで安定すると基本的に五段をカモにしてレートを吸い上げている。R2500-とも一線を画しており、これより上の階層ではR100ごとにまったく違う世界が現れ始める。

 重装備を身軽に着こなす基礎力を持つため、攻撃は素早く、防御は堅いという戦士最強タイプ。

 世の中には一万時間の法則というものがあるが、一般人が適切に一万時間将棋に取り組めば最低でもこのあたりに到達するだろう。一番難しいのは、適切な勉強法を見つけ出すことである。むやみな学習法では決して到達できない。
 プロになりたいなら、天才でもない限り一万時間では明らかに不足。もう少し頑張ろう。

 地方の大会に出ればすぐさまチェックされ、勝手に「優勝候補だ」などと囁かれてはプレッシャーを浴びせられる。しかし本人としては、さらなる強者との棋力の差をはっきり自覚し始めており、謙遜の一点張りである。リアルの大会では何らかの自慢できる実績を持っており、大抵は一般県代表経験者、果ては学生大会の全国優勝まで。
 感想戦で悩める子羊達が居れば、このお方が一言発言するだけで円満解決。その手が好手か悪手かにかかわらず「確かにいい手ですね。さすがです!」と称賛を受けて納得される。たとえ悪手でもそれなりに理由のある手なので、批判するのは難しい。
 簡単な詰め将棋ならひと目で15手詰めをひらめくこともできるし、どんな戦型について質問しても大抵良いアドバイスをしてくれる。部活動に一人いればアイドル的存在としてもてはやされること間違いなし。

 よほど無名の戦法でない限り全ての戦型を網羅し、それぞれにある程度の研究や経験を持っている。たとえ知らない序盤に遭遇したところで、その鍛え抜かれた眼をもってハメ手などは自力で回避可能。そもそもハメ手を駆使する棋力帯の人間では、序盤で優位に立ったところで中盤で逆転されるまでである。
 一見すると全く隙の無い将棋を指す。ソフトで検討しても悪手率はかなり低く、得意戦法では一致率70%台を軽く叩き出すこともある。一貫した将棋観が養われており、早指しで間違えることも少なく、第一感の正着率がずば抜けて高くなる。終盤戦の特徴は「なかなか終わらない将棋」。
 奨励会の有段者やプロ棋士でも不調の時は迷い込むことがあり、ある意味ここを抜けるためには正気が必要である。片手間のネット対局として指している人は少なく、本気で将棋を楽しむ者たちの勝負が見られる。
 
 小学生:将来的に三段リーグで活躍の可能性大。
 中学生:全国大会で無双。
 高校生:全国大会で優勝候補。
 大学生:団体強豪校のフル出場選手。個人は地方地区代表確実。
 一般 :層の厚い県でも代表候補。
 奨励会:初段~2級

 全体的に申し分のない棋力だが、序盤に特化している場合は終盤の逆転負けに弱い傾向がある。不利な将棋を逆転することは得意でも、優勢になった将棋を逆転された際に踏ん張りがきかない。
 序盤の細かい手順前後の意味についてわかっていない部分が残っていて、時々足をすくわれる。苦手な戦型の形勢判断は少しズレていて、自身の大局観を信用するあまり間違った変化に突き進むこともあり。
 中盤でセオリーに外れた好手があった場合、まだあまり気付けない。一方的な展開になった場合の逆転術はやや乏しく、格上をひっくり返すのは厳しいことがある。
 終盤は長い手数粘って間違いを誘うことができるが、ここぞというときに踏み込めなかったり、格上を惑わせるほどの捻った粘りはまだ習得中。
 あと一歩でR2700、もしくは一瞬だけ最高Rを更新するもそれ以上進めないという人が大量発生する。ある意味魔境であり、ここを突破するのはかなり時間も根性も必要になる。もしも、もう一度人生で花咲かせたいと思ったならば覚悟を決めたい。アマトップに通ずる道はこのあたりから開けてくる。


七段 (R2700-R2799) 野生のドラゴン


 本物の「将棋」が始まる。無駄なものは綺麗に排除し、完全に整った盤上の戦いが繰り広げられる。

 まるで、今までの戦士たちの争いは戯れだったと言わんばかりに巨大竜が現れ、周囲を一瞬で炎の海にしては一般戦士たちは近づくこともできない。

 ほとんどが世代のエースであり、全国で名前を知らないという人はあまりいない。進学や転勤などで地元の大会に来襲した際は、一大ニュースになる。「ヤツがうちの県を荒らしにやってきた」と。
 たとえアマチュアであっても全国では毎回程よく活躍し、奨励会有段者との研究会でも引けを取らない。だいたい三段リーグやプロ棋士に友人がおり、「昔はライバルだったんだけどなぁ」なんて呟くところもかっこいい。
 学生大会で同格のライバルとの対局が始まれば、たとえ予選であろうと”優勝決定戦”のタグがつけられ、観戦者はミルフィーユのように対局者を取り囲む。そして勝者は何食わぬ顔で優勝してしまう。決勝戦ですらあっさりひねり潰してしまうこともしばしば。
 リアル棋戦に顔を出さず、ネットのみで七段を達成する伝説のアマチュア的存在はほぼいない。人との交流なしには到達し得ない領域である。

 奨励会員とプロが6-7割ほどを占めているため、基本的に最新形もしくはそれに付随した変化になることが多い。序盤で優位に立つことはかなり至難の業で、一般的に研究されている形はすでに結論を複数持っていると考えてよいだろう。
 中盤戦は正統派と超異端派に分かれ、このあたりでプロとアマチュアの区別がつくこともしばしば。正統派はソフト的な最善手でじわじわとリードを広げてくるのがうまいが、超異端派は相手が絶対に間違える局面へ誘導するのが上手い。多少の不利はいとわず自分の形へ持ち込み、抜け道の見えにくいアリ地獄へ落としてそのまま勝利してしまう。
 序中盤で綱渡りの展開になることも多く、互いに強すぎるがゆえの短期決戦も珍しくない。粘りという領域を通り越して、途中局面ですでに勝ち/負けが決まってしまう。

 小学生:あなたが10歳なら、将来の藤井聡太。
 中学生:奨励会推奨。プロになれる確率高め。
 高校生:全国大会で無双。なぜアマチュアの道を選んだのか問われる。
 大学生:団体強豪校のエース級。個人でも入賞クラス。
 一般 :まれに全国大会入賞に食い込む。
 奨励会:二段~初段

 筆者の棋力はここまで。
 弱点等の解説は有識者に一任する。

 

七段 (R2800-R2899) 正体不明のアサシン


 R2700がどうしても届かない壁、それがR2800という新領域である。目立った敗因というものは見つからないが、明らかに総合力が違う。アマチュアとプロの分岐点はこのあたりから垣間見える。

 町を荒らすドラゴンを誰が制止したかと聞けば、この国を牛耳っているアサシンだとか。一見普通の人間だが不気味なオーラをまとっており、攻撃は魔法により一切通じず、気付けば背中にナイフが刺さっている。敗者は敗因分析をする余地もなく、ただただ為されるがままである。

 ひとたび大会に出れば、絶対に優勝すると誰もが信じて疑わないし、団体戦で出場させれば1勝が確定する心強さがある。生きているうちは勝ち続けるのが当然で、負ければ必ず不思議がられる宿命にある。まさに歩く勝ち星。歩く将棋辞典。アマチュアの中ではトップに入るほどの実力で、名前を知らない者はいない。
 人柄に関係なく圧倒的なオーラを身にまとい、話しかけるのを躊躇ってしまうにほど大きく見える。日頃から植え付けた恐怖心と持ち前のオーラによって、五段を二枚落ちで負かしてしまうくらいの迫力は兼ね備えている。
 六~七段から見ても明らかに「強い」。序盤からの一手一手がすべて洗練されており、完璧な手順には一切の隙がない。たまに定跡から外れたと思えば、それは相手の手の内であり、劣勢になるまで研究の沼に落とされ続ける。特に振り飛車党のほとんどは意表で洗練された序盤術を披露し、プロ棋戦の先を行く最新形を生み出し続ける源泉であるといっても過言ではない。
 また居飛車党の手厚さは異常である。何度切り崩したと思っても二の手三の手を用意してあり、幾度となく選択を迫って相手を惑わせる。こちらが一度隙を見せれば、絶対に見逃すことは無い。たとえ早指しであっても、R2800による10秒の思考はR2300の10分をはるかに凌駕するだろう。完成された大局観を持ち、ソフトが指し手を合わせてくる。「もう少し読ませたら、自分の示した手が最善になるよ」

 小学生:将来の藤井聡太の可能性あり。
 中学生:中学生棋士誕生の可能性あり。
 高校生:進学するよりも奨励会有段編入推奨。
 大学生:団体強豪校の超エース級。個人でも優勝候補。
 一般 :十分な優勝候補。
 奨励会:プロ~二段

 コメント募集中。



八段 (R2900-R3100) 伝説の騎士


R2300とR2500では、もう少し手を伸ばせば手が届きそうだった。 
R2500とR2700では、人生を懸ける思いで勉強すれば敵いそうだった。
R2700とR2900では、全てが違い過ぎた。

 彼らは天界で日々修行を続け、たまに地上に降りて来ては人々の平和を守る伝説の騎士である。人々は賛美に湧き神話を描くが、本人は自己の鍛錬に夢中で一切気に留めていない。

 彼らは独自のコミュニティーを持ち、研究会などを行っているため一般人には彼らの生態を知る由もない。大会では優勝候補と謳われる人物を5分で斬り捨て、素知らぬ顔で優勝カップを持ち帰る。まるで勝つのは約束されていたというように。
 自分の腕前はプロに匹敵するということを自覚しており、プロ棋戦に出ればベテラン棋士をなぎ倒して連勝することもしばしば。プロ棋士の編入試験を受けたいと発言すれば、周囲は希望を持って応援してくれることだろう。幼いころから常に実績を残し続けており、全ての世代からの注目を集め続けている。名声は引退してもなお語り継がれるほどであり、まさに伝説級である。純粋なアマチュアでこの域に到達できることはかなり希少で、アマ大会の多くは元奨三段などで構成されている。もしも純アマであれば、多くは大学生の有り余る時間の中で覚醒し、団体戦を幾度となく優勝に導いた伝説のOBであることは間違いないだろう。
 
 多くの七段が語るように、「明らかに歯が立たない」というレベルである。どこに差があるのかわからないが、とにかく気付いたころには劣勢になっている。そもそも、自分の読みと合致しているはずなのに完全に読み負かされていたり、セオリー通りに言えば良しというところで、例外のパターンに陥れられる。完全な大局観と深すぎる読みを兼ね備えているため、小手先の知識を披露した瞬間こちらの負けは確定している。
 特に中盤の見え方は異常であり、研究などは関係なく自力で終盤まで見切っている。少しの不利に敏感で、絶対に決め手を与えない指し回しにより、数十手ほど形勢を動かさずに粘ることも軽くやってのける。盤面全体が見えており、苦し紛れに飛ばしてくる反撃の一手は必ず急所に刺さって致命傷を与える。
 また勝ち切ることも非常に得意にしており、粘ろうとしても粘れない将棋を作るのが非常にうまい。あまりに鋭い直線の攻めに打ち壊されたり、有利を拡大するためのさらなる曲線的な指し回しに、格下の将棋指しは一切追いすがることができない。まさに突き放されるという印象を与える。

 小学生:たぶん転生したプロ棋士。
 中学生:将来の藤井聡太級。
 高校生:早く奨励会に入ってプロになれ。
 大学生:「昔から強かったけどあいつは突然バケモノになった」
 一般 :アマ棋戦複数タイトル所持。
 奨励会:新鋭プロ~三段

 コメント募集中。


 P.S. 
 R3100~R3200で知っている人もいますが、言及しません。


あとがき


 いかがでしたか。私は書いていて楽しかったです。

 今回の解説では、主に「安定した」棋力を持った人を対象としました。よって、最高Rではなく1年単位の平均棋力などで考えていただければ幸いです。
 実際、レートが少し上がるだけでかなり隔たりがある世界なんだという実感が少しでも伝われば嬉しい限りです。
 
 やや誇張した部分があったり、奨励会のレベルについては偏ったデータや体感を参照して作った部分があるので、奨励会員に実際聞いてみるのが一番良いと思います。
 それでもかなり言葉を厳選して書いたので、普通の読み物として面白くできたかなと思っています。

 最後に。
 昇段や最高レート更新の瞬間はとても嬉しいものだし、誰かに報告したい!という気持ちでいっぱいになると思います。でも実際は、同じ棋力帯の人じゃないとあんまり喜びを共有できないんですよね。
 実際の話、レートを100底上げするという行為は頑張っても大体1年以上かかります。長い時は何年も。だから大いに自慢していいと思います。

 もしよろしければ、コメントへ昇級・昇段報告など書いていただけたら嬉しいです。また、「本当はもっと強い!」「いや、実はそんなに強くない!」などの批評も大いに嬉しいです。
 記事を書いた甲斐があります。

 それでは、いつもの日記へ戻ります。
 棋力向上を願って。

  tiny_squirrel

 

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