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【詩】越冬

「越冬」

日本の
北の北の端にある
小さな漁村では
トドを食べる

冬になると越冬のため
大量のトドが
ロシアから日本まで
南下してくる

漁村では
網を仕掛けて魚を捕っているのに
南下して来たトドが
網を食いちぎって魚を食べ散らかす

この時
人間とトドとの戦いの火蓋が切られる

漁師は小舟に乗り
トドの群れまで近づいて
波で揺れる小舟の上から猟銃を構え
頭だけ出して泳ぐトドに狙いを定め
ほとんど狂う事なく
一発で仕留める

トドは痛みを感じる間も無く即死する

日本では
今でも様々な地域において
大型動物と戦う猟師達がいる

猟師達は長年の経験から
自分の何倍も体重のある動物を
効率よく仕留める

そして仕留めた動物は
煮たり焼いたりして食べる

極自然な事

今は魚でさえ
飼育された肉が多い

叶う事なら
自然が育んだ肉を食べたい

料理を食べる前には
いただきます
料理を食べた後には
ごちそうさま

いただきます
は、食材の命に感謝する言葉
ごちそうさま
は、穫ってくれた人への労いの言葉

今年の冬もトドの群れが来る

人もまた自然の一部

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