選択の自由
“あらゆるものを奪われた人間に残されたたった1つのもの。それは与えられた運命に対して自分の態度を選ぶ自由、自分のあり方を決める自由である”
世界的なベストセラー ‘夜と霧’ に出てくる言葉です。’夜と霧’はオーストリア出身のユダヤ人精神科医および心理学者であるヴィクトール・フランクルがアウシュヴィッツ強制収容所で直接経験したことについて書いた本です。
ヴィクトール・フランクルは ‘夜と霧’ の中で “人間の尊厳が一切ない最悪の状況にあっても、最後まで生き残った人は、体格の良い人でも、健康だった人でも、若い人でもなく ‘最後まで人生の意味を見失わなかった人’であった” と述べています。
人生は良いことの連続だとは限りません。どんな人にでも絶体絶命の瞬間が訪れます。急に予期せぬことが起きることもあるります。そのような僕たちに、この本は...
“どんな状況にあっても、今自分が置かれている状況の中で ‘生きる意味’を見いだし、希望を持って生きて行くことができる” このようなメッセージを投げかけている気がします。
僕には忘れることの出来ない ‘出来事’があります。僕は夏休みを利用して短期アルバイトをしました。花祭りで美しい風景を背景に写真を撮る仕事でした。その日は平日だったので人は少なめでした。僕は歩いている人に向かい...
“お花キレイでしょ~!? けど知ってます? あなたの笑顔のほうがキレイですよ” そんなことを言いながら集客していました。その時、老夫婦が僕の横を通ったので、いつものように声をかけました。けど、普通の人は、写真を撮る撮らずに関係なく笑顔で反応してくれるのに、その夫婦は非常に暗かった...
“いやぁ... いいよ... 年も年だから... わざわざ声かけてくれてありがとね”
僕は... 諦めずに話しかけた!
“今ならすぐ撮れますよ。天気もこんなに良いのに、撮らなかったらもったいないですよ。思い出に一枚だけ”
僕が勝った! 僕はその夫婦の笑っている姿を撮ってあげたかったので、いつもより Over Reaction しながら、出来るだけ笑顔を引き出そうと努力した。そして、撮った写真を見せようと老夫婦に近づいた ‘その瞬間’ 一生涯忘れることの出来ない ‘出来事’が起こりました。
奥さんが急に涙を流し始めたのだ... 瞬間、何か気に触ることを言ったのかな? と思い、心が非常に重くなりました。その時、奥さんが旦那さんを指して...
“この人、末期ガンなの”
僕はどのように反応して良いのか分からず、じっと立ち止まっていました。奥さんは、僕の手を握り、涙を流しながら...
“3週間前に、急に旦那の体調が悪くなって病院に行ったら末期ガンだったの... その時から生きる気力を失って、ずっと家に閉じこもっちゃって... このままじゃダメだって、頭では分かっていても、なかなか家の外に出られなかったの。けど、今朝新聞で花祭りの記事を読んで、天気も良いので、勇気を出してここまで来たんだ。そして、あなたに会って久しぶりに笑えたんだ。本当にありがとう...”
奥さんの話を聞きながら... 僕の目から涙が溢れ出てきました... 僕は、あいさつをしてから、仕事を続けました。
2,3時間過ぎたかな? 遠くから手を繋いで歩いて来る人が見えました。あの方々でした。僕を見ると笑顔で...
“素敵な写真ありがとね。この先どれだけ一緒にいられるか分からないけど、こういう時だからこそ笑わなきゃ! 今日あなたに会えて本当に嬉しかったよ。ここに来て本当に良かった”
5年前の出来事です。現在あの方々がどのように暮らしているかはまったく分かりませんが、この出来事は一生忘れることが出来ないと思います。
“Opportunityisnowhere”
どのように見えますか...?
ある人には...
“Opportunity is no where” (機会はどこにもない)
またある人には...
“Opportunity is now here” (機会は今ここにある)
このように見えると思います。
同じ状況でも、その人がどのような態度で生きるかによって、その状況はまったく違って見えます。
現在 ‘コロナ19’のため世界的に危機の時期を送っています。僕たちは、この状況をどう見つめ、どのように生きていくべきだろうか?
その自由は僕たちの中にあります。
最悪の状況の真っ只中にあっても ‘生きる意味’を見失わずに、今自分に出来ることは何なのかを深く悩み、危機を機会に変えることが出来る! そのことを忘れないでほしいです。
最後にウィンストン・チャーチルの言葉で今回の文章を閉じたいと思います。
“悲観主義者はあらゆる機会の中に問題を見いだし
楽観主義者はあらゆる問題の中に機会を見いだす”