復興、その先へ
「どんなに深い喜びの海にも たった一粒の涙が 溶けていないということはない 」詩人・谷川俊太郎の言葉です。
私たちは三陸の海と共に生き、暮らし、何より恵みを享受してきました。
昨日と変わり映えしない毎日が続き、ずっと変わらないであろう風景が一変したあの日。
2011年3月11日に発生した東日本大震災から今日で11年目を迎えます。
今回はタイム缶詰が地域と共にどのように復興をしてきたのか、またこれからどんな商品を作りを目指すのかをご紹介します。
■工場全壊、2種類からの製造再開
2011年3月11日、東日本大震災発生。この日、震度7の地震と津波が東北地方を襲いました。
岩手県陸前高田市は津波による壊滅的な被害をうけました。またその被害はタイム缶詰にも及びました。
当時、海の近くにあったメイン工場は津波で全壊。山側の倉庫として利用していた建物に設備を新調し、同年11月に再スタートを切ります。
現在は15種類程製造していますが、工場再開当時はツナフレークオイル漬缶とツナフレーク水煮缶の2種類だけでした。
仕入先様、特に大地を守る会さんや生協さんなどの温かい応援もあり、製造再開を迎える事が出来ました。
■ロングヒット商品「ツナ缶」、新ヒット商品「生サバ缶」
震災後の工場再開、まず製造を開始したツナ缶。その前の創業当時からずっと売上ナンバー1・2だったのは、ツナフレークオイル漬缶とツナフレーク水煮缶です。三陸産のメバチマグロを加熱後に手作業でフレーク状にし、味付けは野菜スープに菜種油でコクがある人気商品です。
商品化前は、安くて手に入りやすいビンチョウマグロやキハダマグロと、値は張るが気仙沼で水揚げされるメバチマグロの3種類で試作。結果多少原材料費が高くても、一番マグロの旨味が強いメバチマグロを選びました。
良いマグロを使用しても、商品の価格が高いとお客様の手に取っていただけません。買っていただける価格に抑えるためには生産性を高める必要がありました。調味液となる野菜スープも自社製造、野菜を自分達でカットし煮出す工程は現在でも行っています。手間をかけ、良い素材を使う。ロングヒット商品の理由の一つです。
2020年から販売開始した「三陸産 生サバ水煮缶」。昨年、不動の人気だったツナ缶の売上を上回った当社の大ヒット商品です。
陸前高田の地の利を活かし、脂の乗った鮮度の良いサバを使って缶詰にしたらどうだろうと思い試作したところ、想像以上に美味しく商品化を即決しました。
サバを獲ったときから一度も冷凍せずに水煮缶に製造します。だから「生サバ缶」。 身は柔らかくしっとりと、臭みも少ないのが特徴です。
厳選したサバしか使用しないため、いつ良いサバが水揚げされるかわかりません。ですが、シーズンに入り、いつでも生サバ缶を製造出来るよう、準備をしています。少人数の工場だから対応できる柔軟性も当社の強み。パッケージも人気で、贈答にも喜ばれる商品です。
二つの商品は、水煮や野菜スープを使ったシンプルなもの。安心してお子さんが食べられる商品づくりをしてます。子育て家庭に、特に魚を食べる機会が減っている子どもたちに是非食べて欲しいです。
■陸前高田と全国の架け橋になる
缶詰の素晴らしい特徴の一つに、食材の賞味期限を長く出来る事があります。岩手県や陸前高田市は食材の宝庫。ですが、生産者には旬のシーズンに需要よりも供給が増えてしまうという悩みもあります。
タイム缶詰が陸前高田と全国の架け橋となる事が、私たちの叶えたいビジョンの一つです。缶詰に加工する事で、生産者の悩みを解決し、全国の食卓にいつでも美味しい味を届けたい。
さらに、陸前高田産の食材を手軽に味わってもらえる魅力的な商品づくりをし、より多くの人に陸前高田の良いところを知ってもらうため努力します。
今後商品化したいものに、野菜や甘味を味わえる美味しい防災食があります。被災地だからこその「こんな缶詰があったら良かったな」という経験を活かして、商品化を目指します。
■タイム缶詰代表の吉田より、皆さまへ
生活や命を守るためには何が必要でしょう?外的な要因に左右されない関係が大事だと思います。タイム缶詰や陸前高田にかぎらず、自身の食料や安全を守るためにも国内の生産者とのつながりを築いて欲しいです。食糧危機が来たとき、困るのは都市生活者です。それを支える地域の生産者との関係について考えてみていただければと思います。
〇タイム缶詰の商品はインターネットから御注文いただけます!
公式ネットショップ(株式会社登喜家)
※御注文からお届けまでは、2週間程お時間をいただいております。ご了承ください。
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