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サイレントラブを観て

映画サイレントラブを観て
想像していた展開よりも闇やダークな部分が多かった
予告だけの情報だと
試練はあれど穏やかに愛を紡いでいけるのかななんて
本編を観るまでは考えたりしていた。

いざ物語と向き合うと
自分の全てを犠牲にしてまで
暗闇の中で何一つ未来に対して
希望も夢もない中で
偶然出会った
愛するひとであり
自分にないものを全てを持っている彼女に
夢を叶えて希望を持って生きていてほしかったのかな
なんて作品全体を通して思ったりした。
つまり蒼にとって
美夏は希望の光であり、
自分の全てを託したいと思ったひとなのかなと。

作品中に何度か表現として出てくる
”住む世界が違う”という表現。
生きている場所も時間も一緒だとしても
その言葉が現実で存在するわけで
これは北村と蒼の対比になってしまうのだけれど
家で過ごすシーンひとつにしても
かたや美味しい羊羹を食べながら
ウィーンのザッハトルテに想いをはせる、
かたや一日中泥のように働いてお風呂に入らず
散乱したお部屋で寝落ちしてしまう、
こういうことが溢れかえっていたとしても
そんな中でも蒼と美夏がふたりでしあわせになる未来を
願わずにはいられなかったな。

(ここからはネタバレが多め)
私が一番好きだったシーンは
大学内で歩く方向が分からなくなってしまった美夏を
蒼がガムランボールで導くシーン。
あの瞬間はふたりしかその世界に存在しないような
静けさとガムランボールのやさしい音色だけで

少しずつ距離感は縮めていくのだけれど
それでも蒼にできることは限られていること
蒼本人が一番よく知っていて
だからこそ北村にお金を払ってでも
美夏を喜ばせてくれると思ったことに
自分の時間とお金を賭けた。
北村に必死に頼んで了承をもらったときの
嬉しそうなお顔が胸にぐっときた

それでもいざ自分が朝も晩もなく働き続けている中で
疲れ果ててそれでも起きて駆けつけたときに
ピアノを連弾する美夏と北村の姿に
いろいろな感情が蠢いて
泣きそうになってしまう蒼が
何よりも苦しくて切なかった。

あとは美夏を守るために全てを背負うことを決めて
美夏の頬をぬぐって愛おしそうに見つめて
もう会えないかもしれない覚悟を決めて
一筋の涙を流すところも凄くよかった、だいすきだった。

やまだくんが演じる蒼の目に光を宿さずに
言葉がなくとも表情や仕草で感情を伝える演技が
この映画の世界観に惹き込まれて
ああこのひと凄いなあって
アイドルの覇気やオーラを全て消し去って
過去を背負う青年として生きる姿をみて
またそう思ったんだ

美波ちゃんが演じる美夏の目が見えない中でも
自分が昔から追いかけてきた夢を叶えるべく
絶望の中でも立ち向かいつづけようとする姿も
凛としていながらも刹那げでうつくしかった。

久石譲さん作曲のサイレントと
Mrs.GREEN APPLEさんのナハトムジークも
対比していて素敵な音楽も楽しめる作品。

情報が溢れていて常にぐるぐる世界が回っているからこそ
シンプルで たとえ言葉がなくとも、
人と人が愛しあうことも繋がることもできるって原点回帰。
(でも言葉をたくさん吸収して
紡ぐこともしていきたいなという矛盾もあるけれど)

最後に、エンドロールでナハトムジークを聴くと
劇中の全ての感情が溢れかえって泣きそうになるのよね。

まだまだ気持ちは整頓しきれていないので
ごちゃごちゃで拙い感想文だけれど
映画は描ききる時間が限られているので
ライトノベライズも是非に・・と
蒼の過去も、感情も知ることができてよかった

沢田蒼という役柄を演じるやまだくんに出会えてよかった
まだまだこれからどんな役に出会っていくんだろうか
わくわくしちゃうな、俳優としてのやまだくんもだいすきだな。










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