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(オンライン)ヨガウェア市場に眠る隙間と新参ブランドが追いつくための戦略

ヨガウェアのECサイト運営に携わり、適切なROASや広告施策を展開してきた自分なりの、これから来る新しいトレンドを読みながら、旧態依然としたヨガウェアECサイトをいかに短期間でキャッチアップ&新しい価値を生み出せるかの方法論について考えてみました。

それでは以下、簡単に紹介です。

大きな3つの波を考える

1)オンラインヨガの勃興

自宅で着用するウェアとしてスポーツウェアからワンマイルウェア(ほぼパジャマ。着心地優先のつっかけ服)が主流に。先生に、周りのクラス受講生に見せる・見られる喜びや心配でなく、より感覚的なウェア選びへと変化しながらも、無駄にならない買い物としてより多様なワンマイルウェアへと進化を果たすきっかけになりそうです。

2)「所有」から「シェア(借りる)」そしてまた「所有」への回帰

最近トレンドであった、「所有よりもお得に借りよう!」の流れに揺り戻しが起きるのではないかと考えています。無駄なものを何回も借りるよりも、本当に自分らしい一着に満足する(新しいカタチの所有)サービスに価値が置かれそうに感じています。一言でいうと既製品・大量生産からオーダーメイド型所有への変化です。

3)通販の需要増。しかし、外さないフィッティングを支えるツールの登場

増え続ける通販需要。「私だけにフィットする洋服」ニーズの加速を叶えるものとして採寸アプリの利用増が考えられます。ZOZOスーツは失敗しましたが、スマホのカメラ起動だけで採寸を完了できるアプリが登場しています。この流れは、2)の需要を満たすための生産性向上のためにも必要なものだと思われます。

・自分にフィットした使われ方
・自分にフィットしたデザイン
・自分にフィットしたサイズ感

このような部分での差別化がマーケットの中で起こる予想を立てています。

まだ誰も知らない!?プロモーション戦略の隙間

私が結局いつも考えているのは、2つの方向性です。

① どうすれば上手くいきそうか?
マーケティングのフレームワークに則ってどんどんアイデア出しを拡げる

② どうすれば潰れるか?(潰せるか?)
自分・クライアントのサービスを見て、どのような追求があれば潰せるか?追い抜くことができるか?を競合視点からあら捜ししていきます。

さて、本題です。

いまのヨガウェア市場を見ていると、

テイストとしては、ライフスタイル訴求型が主流。
日常に溶け込んだヨガウェアの着こなしをワンマイルウェアやアスレジャーと謳ってマーケティングを展開しています。

販売方法としては、主に3つあります。
1)自社ブランドサイトで販売
2)Amazonや楽天などのマーケットプレイスで販売
3)東京ヨガウェアなどのECセレクトショップへ卸で販売

プロモーションとしては、以下がメインかと思われます。
・キーワード検索「ヨガウェア」の上位表示を狙ったSEO
・キーワードに関連した商品を検索結果に表示する「ショッピング広告
アンバサダープログラム(着せ子)を利用してのSNSでの認知活動
アフィリエイトプログラムへの参加(例:イージーヨガ 11%)
・Google/Facebook/InstagramなどSNSへの広告出稿
・Yogini、ライフスタイル系雑誌への純広告

以上で接触したユーザーを、下記のようなツールで追客するわけですね。
・カゴ落ちリカバリー(カゴ落ちしたユーザーにメールで再接触)
・メルマガ登録者への定期的なクーポン発行
・FacebookやGoogleのリマーケティング広告

と、このような感じで運営しているところがほとんどだと思います。
以上のどこに力を入れているかの割合の程度に差こそあれ、どんぐりの背くらべ。

ディレクター不在か、担当者のコミットメント・責任追及の甘い会社では「利益が出せずに、在庫過多になり、MAX80%などのクーポン発行やフラッシュセールに頼らざるを得ない」状況に陥っていることでしょう。

いい加減、こんな過当競争やめませんか?

僕は声を大にして言いたいですね。
自分がやっていたからこそ、利益を出しにくい、出せたとしても時代錯誤なプライシング(モノとしての価値と値段があっていない)に心が痛むことでしょう。

では、どうすればいいのか?

ここでちょっと考えてもらいたいと思っています。
その方が、リアルにこの先のビジネスをものにできることでしょう。

教えられたものでは流し読みしてせっかくのチャンスの本質に気づけずに終わってしまいます。

高度なシステムも高級な人材もここに必要ありません。

私達は服屋から何を奪ってきたか?
そんな単純なところから、唯一無二のお店として認められるチャンスがころがっています。

参考リンク

https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/mysize-camera/

新参ブランド・通販サイト・店舗が追いつくアイデア

以前、「Q」を投げかけたままだったので続きを書きました。

新参のメーカーや通販サイトにおいて、業界のリーダーに追いつくポイントはズバリ、「リアルな店舗の使い方」にあると考えています。

みなさん、ヨガウェアを探す時、Googleなど検索サイトでキーワード検索はされると思いますが、その表示結果はユーザーのために多様な情報をレイアウトされるようにGoogleがデザインしているものです。

「ヨガウェア」と検索されたときに、Googleは気を利かせて以下のような「だろう」予測でおすすめの情報をリストしてくれます。

【ブランド情報】ブランドを探しているのかもしれない
【ファッション情報】おすすめや選び方を探しているのかもしれない
【ネットで買える場所】通販サイトを探しているのかもしれない
【リアルで買える場所】近くのリアル店舗を探しているのかもしれない

ページトップにはサムネイル画像の広告が並び、ここに無名ブランドが出稿しても体力勝負でなかなか勝てないでしょう。

一方、「ヨガウェア」と検索された場合の表示結果の1ページ目に表示されるためには時間も技術(人間的な)も必要です。大手になかなか追いつくのが難しいところです。

しかし、大手のブランドや通販サイトが見落とされているポイントがあるのです。それが、最後に書いた【リアルで買える場所】です。

例えば、Googleで「ヨガウェア」をキーワード検索してみます。
すると、スマホで2スクロールほどした後に下記のような店舗情報が見つかるでしょう。

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このポジションを取れるように施策しましょうというのが私の提案です。

実際、この店舗を登録したのは私ですし、登録方法は難しくないわけですが、ライバルがほぼいなかった昔とは違うので、今から始める方は下記を意識して丁寧に育てていかれることをお勧めします。

ブランドや通販サイトで実店舗を持っていない会社は、安くで持つ方法もあるはずなのでこの際に検討してみてください。

①登録する場所を決める

リアルな住所が必要です。大きさもテナント階数もあまり関係ありませんが、写真映りが良いと安心ではあります。ですが、後述する施策案では開放的でおしゃれな設備が整っている必要性はありません。

新参ブランドの場合は、本社やショールームを登録することだと思いますが、立ち上げ予算が少なく、立派な場所にテナントできない場合は、たとえば相乗効果が得られそうな既存の店舗さん(例:インテリアショップ、家具屋さん、レンタルスペース)にお願いしてコラボや住所の間借りも良いでしょう。

②登録する名前(ブランド)を決める

ブランド名をGoogle 地図(マイビジネス)登録します。すでにヨガスタジオとして登録済みであれば、ヨガウェアやグッズを販売する「セレクトショップ」として拠点住所を同じくしながらも新たに登録することが可能です
その場合に別のブランド名が必要であれば用意しておきましょう。

例:ヨガスタジオの店舗住所に「ショップ」を別に登録

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③登録したブランドのレビューを育てる

Googleの検索結果に上位表示されるためには、ここが一番重要です。
はっきりいって、ヤラセは絶対にいけませんがヤラセだとしても店舗のお客様からレビューをいただくのは至難の技です。

Google地図に表示されるお店にレビューをつけるためには、お客様がGoogleのアカウントを持っていることが大前提ですが、利用頻度も高く、実名で登録されているケースが多いです。

となると、店舗につけていただくレビューは公開されてしまうわけですから、協力していただける方もナーバスになってしまうでしょう。

心から満足された、助けになったと思っていただけるような高品質のサービスがなければ、そもそもこの戦略は成り立ちません。

では、どうやってレビューのきっかけとなる高いサービスを生み出せるのか?

ヨガウェアやグッズブランド店舗の場合は、「製造して仕入れた商品を販売する=販売店(小売店)」としての役割はお店の機能の一部に過ぎません。

ヨガウェアを求めている人たちのニーズには、経験度合いによって様々なものがあります。

・トレンドを外さないヨガウェアの選び方について教えて欲しい
・初心者にとって十分でおしゃれなヨガに使えるウェア選びを教えて欲しい
・私の体型におすすめのウェアを紹介して欲しい
・生徒と被らないマイナーでもおしゃれなヨガウェアを知りたい
・どこで揃えると安くて良いものが買えるのか教えて欲しい
・手持ちの洋服の中でどんなものがヨガに合うか知りたい

等など、ヨガウェアを買いにくる場所の前に、ヨガウェアの探し方やおしゃれな着こなし方法を知りにくる場所としてそのお店があっても良いはずです。

言わば、在庫を持たないポータルサイト(情報局)としてのヨガショップです。そこでモノを売ることもあれば、情報をサービスするだけの場合も考えられます。

そうやって、まずは立ち上げスタッフの周りの人(友達・知人)を通じて丁寧にサービスし、レビューを獲得し積み重ねていくことで、そのエリアで十分に有名な、まずは抑えておきたいショップ(ブランド)へと成長していけるはずです。(Googleでの表示結果もその頃には上がっているでしょう。)

この手法は、大手企業の大量の広告費やROASやKPIなどの指標をいじくり倒しても成果が上げづらいものです。リアルな努力(あなたがいい感じの人か?センスが高いか?売りたい自社のモノがあっても無垢な心で親切に正しい場所に導いてくれるか?)こそが結果を生むところですので、ここで勝負したい人にはお勧めの手法です。

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