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十二国記なんて古くて長いシリーズを令和の世に読み始めるわけねーだろ……とか言ってる場合じゃない7兆個の理由

こんちには!
すっかりYouTubeショートに毒されて拘束時間の長いコンテンツなんてもう胃が受け付けない令和が産んだ短気マンこと俺です!!

早速だけど、もう無理だろ。無理…
いまもう令和なんすわ…
いまの若者たちはこの少食コンテンツ時代に飼いならされて胃が小さくなってるんです…

TikTokにYouTubeショート、推しの配信者の長時間配信は見られないから10分くらいに見所をまとめた切り抜き動画しか見ない、そんな現代人に昔の小説を読むなんて無理……

だから、十二国記(著・小野不由美)とかいうなんか長そうでカロリー高そうでしかも30年も昔の小説を今更読むのは……

無理とか言ってる場合じゃねえ!!!!
読め!!!!十二国記を!!!!
俺たちが本当に欲してる物語はなんだよ!?!?これだろ!?!?

というわけで、今日は十二国記を今更に読んで感動しているワタクシこと遅筆マンに、日本最強作家・小野不由美先生が世に産み落とした大傑作「十二国記」の紹介、させてくれ

「十二国記」を今更人にオススメするには覚悟がいる

というわけでまずはあらすじの方、ぺたりとさせていただきますけども

「お捜し申し上げました」──女子高生の陽子の許に、ケイキと名乗る男が現れ、跪く。そして海を潜り抜け、地図にない異界へと連れ去った。男とはぐれ一人彷徨(さまよ)う陽子は、出会う者に裏切られ、異形(いぎょう)の獣には襲われる。なぜ異邦(ここ)へ来たのか、戦わねばならないのか。怒濤(どとう)のごとく押し寄せる苦難を前に、故国へ帰還を誓う少女の「生」への執着が迸(ほとばし)る。シリーズ本編となる衝撃の第一作。

公式あらすじより

まず十二国記って世代じゃない俺でさえちょっとは知ってる超有名ファンタジー小説なんですよね

小さい頃、実家から駆け落ちした俺の父ちゃん母ちゃんが最初に暮らしてたボロい借家のテレビで十二国記のアニメが流れていたのを朧げながらに覚えています
(俺の親が駆け落ち夫婦だった情報いる?)

当時幼かった頃の俺の印象は「なんか難しそうなアニメだな〜」って感じで、その時に受けた難解な印象が長じて読書っ子になったあともこの作品を避けていた原因だったのかもしれません

実際、この作品は現代のコンテンツ感覚で言うと大変若者にお勧めしづらい作品でしょう

独特で馴染みのない世界観、専門用語の多さ、序盤から続く展開の陰鬱さ、長寿シリーズ故の既刊の多さ…
いまの編集者に企画書で出したら顔を顰められそうな要素満載

しかし、この小説の面白さをとっくに知っている既読勢の諸兄は歯痒くもこう思われていたことでしょう

「そんなことでこの大傑作を読まないなんて勿体無い!!」

そして、こうして面白さに遅ればせながら気づき、なんでいままで読んでこなかったんだろう?と思う俺のような新規読者勢を見て

「ほら、やっぱり面白かったんじゃん!!」

そうドヤ顔を浮かべていることでしょう

自分が散々オススメしたけど「うーんちょっとなぁ…」って敬遠されてたものが後から「やっぱあれ良かったわ!!」って言われた時のオタクは最高に気持ちよさそうにドヤるもの

そして本noteを書している俺は、そんな十二国記の面白さなどとっくに知ってる既読勢の皆様方をドヤらせるためのドヤらせピエロです

十二国記はたぶん100年後も面白い傑作ファンタジー

いくら傑作と名高くても、さすがに30年前の小説とか古臭いでしょ〜
ってのが十二国記を読む前の俺の印象でした

俺がバカだった!!!!
なんじゃこりゃおもしれ〜!!!!!ってなるまでほんの数ページ


わりぃ、不由美…俺、お前のこと見くびってた…

ぶっちゃけ、小野不由美先生の筆致は神

文章の巧みさ、シーンの選択、描写の妙、世界観、構成、心を打つセリフ、すべてが神がかっていてその素晴らしさは僕の理解できる範囲でも書き始めたらキリがないでしょう

なので今回は僕が一番感動した、主人公造形について語らせてください

真ん中のイケメン女子が主人公・中嶋陽子


この物語に登場した当初の主人公・中嶋陽子ちゃんは、お世辞にも読者に好かれるキャラクターではないでしょう

クラスで弾かれないようみんなの顔色を伺う、いじめに加担はしないけど助けもしない、反感がないではないけどさりとて教師や親に逆らうほどの意思もない

彼女を見て「こんなやつ嫌い!」と思う人の気持ちはわかります
物語の主役は魅力的であって欲しい
強く美しく心根の善良な主人公をこそ人は愛すもの

けどちょっと待って欲しい。
この陽子ちゃんの意思の弱さ、誰かに合わせてうまくやろうとする不誠実さ、ちょっと自分に似てはいませんか?
自分にももしかしたらこんな部分があるかも、なんて思いませんか?

そう問われて「そんなことない!」ってノータイムで言える人は、自分にあまり興味がない人なんじゃないかなと思います
実際、陽子のような弱さや不誠実さを少しも持ってない人はいないんじゃないでしょうか

そして、彼女を見て「なんだか自分に似てる気がする」と思ってしまう、自分をあまり信用出来ない人にとって、陽子は自分の分身のように思えるはず

主人公を自分とは他人と思えなくさせてしまう…これはあらゆるコンテンツのなかでも小説が抜きん出て得意とするところの物語の魔法的現象だと勝手に思ってます

陽子のなかに自分の嫌な部分・醜い部分を見てしまった読者は陽子に共感せずにはいられないし、共感してしまったなら彼女の辿る厳しい旅路を応援せずにはいられない

彼女は厳しい旅の中でいやと言うほどその愚かさを突きつけられながらも、少しずつ成長していきます

そして、彼女の成長と一緒に読者自身も何か大切なことに気づく

小野不由美先生の人の弱さや愚かしさへの優しい視線なくして、この小説はありえないと感じます

本当に面白くて良い小説ってこれです
100年後に読んでも多分面白い。

不由美、お前がNo.1だ

俺はハイパー大御所作家捕まえて下の名前呼び捨てするのいい加減やめた方がいいだろ

まとめ

というわけで、十二国記は古いし長いし現代らしからぬハイカロリーな作品ですが、今なお傑作として輝く作品だと感じました

こういう小説に出会いたかったんだよ!!
って小説が避けてただけで実は目の前にあったなんて俺も甘いぜ…

ともあれ、僕自身も一巻である「月の影、影の海」の上下巻を読んだばかり
これから続刊を読んでいくのが大変楽しみでございます

というわけで今回はこんなもんで
ではでは

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