No.7 胸部レントゲン写真③
こんばんは。Ryeです。
この冬は、マスク効果でインフルエンザ患者が激減したそうですね。
コロナは憎いですが、結果いいこともあるものですね。
さて、3日間にわたって胸部レントゲン写真シリーズをお届けしてきましたが、本日で最後です。
本日の内容は胸部レントゲンが体に及ぼす影響です。
つまり、放射線被ばくの話ですね。
放射線被ばくについて
結論から言うと、胸部レントゲン画像の被ばく量はごくわずかです。
みなさんは、「自然放射線」という言葉をご存知ですか??
人間は、普通に生活して日々を過ごすだけで日本人の場合、年間平均2.1mSv(ミリシーベルト)の放射線を被ばくしています。
レントゲン写真を撮影しなくても、普通に生きているだけで実は、放射線被ばくをしているのです。
これが、自然放射線被ばくです。
では、2.1mSvの放射線はどこから浴びているのでしょうか。
体の中に取り込む放射線を「内部線量」、体の表面に受ける放射線を「外部線量」という風に言います。
自然放射線はこの内部線量と外部線量に大きく分けられます。
内部線量は、呼吸によるもの(主にRn(ラドン))と食物によるものがあります。
1年間呼吸をするだけで実は0.48mSvの放射線を被ばくしています。
また、普段食べている食物も1年間で0.99mSvの放射線が含まれており、それを体内に取り込んでいるという状態です。
外部線量は、大地からと宇宙からとそれぞれ約0.3mSvほどあります。
以下のグラフに割合を示しています。
このように、私たちは気づかぬ間に1年間で2.1mSvの放射線を浴びていることになります。
皆さんは放射線を浴びていることに気づいていましたか?
気づいていませんよね?
それは、人間の体にとって、この程度の放射線量なら全くと言っていいほどの無害であるからです。
つまり、数mSvの被ばくは人間にとってほぼ影響はないと言えるでしょう。
話が逸れましたが、これを踏まえたうえで胸部レントゲン写真における被ばく線量の話に戻ります。
胸部レントゲン写真で被ばくする放射線量は、
なんと… 「0.06mSv」なんです!!
えっ?! と思った方
そうなんです。胸部レントゲン写真における被ばくは非常に少ないのです。
自然放射線の35分の1ですね。。。
たまに、患者さんに胸部レントゲンでも被ばくのことを聞かれる方がいますが、心配するような線量ではないことを伝えます。
皆さんも、健康診断や検診で受けるようなX線検査で被ばくによる影響を気にしている方、深く気にすることはありません。安心して検査を受けてください。
ただし、胎児がいる場合は、おなか周りに防護カバーをつけたりして対策するのでお声掛けください。
また、これは胸部レントゲン写真における話です。
部位や内容によっては被ばく量がやや多い検査もあります。
検査において不安がある方は前もって主治医や放射線技師に相談してみてもいいかもしれません。
基本的には、安心して検査が受けられるように放射線技師が線量を調節したり、画像の再構成技術を用いて線量を抑えたりしています。
以上、3回にわたって胸部レントゲン写真におけるお話をしてきました。
もっと細かい話もありますが、放射線技師としても基本となる撮影の一つであり、最も多い検査であるといえます。
これを機に多くの人に胸部レントゲンの意義を感じていただけるとうれしいですね。
この記事より、少しでも診療放射線技師・医療に興味を持っていただけると幸いです。
質問もどんどんお受けいたします。
診療放射線技師を目指している学生さん、診療放射線技師になったばかりの新人さん、医療に興味のある方、多くの方に役立つ情報を共有できたらと思います。
では。
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