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ルイジアナの夜明け A Gathering of Old Men 1987 CBSテレビ
もとは、アメリカでのテレビ単発ドラマだが、30年近く前にCSで見た。好きなホリー・ハンターやリチャード・ウィドマークが出ていたこともあるが、意外に楽しめた。日本ではVHSにもなっていたはずだ。
あらすじ
黒人チャーリーが偏屈な白人自作農ボウと喧嘩になり、黒人マツー(ルイス・ゴセットJr)の家へ逃げ込んだ。その後、銃声が・・・。
慌てて白人地主のキャンディ(ホリー・ハンター)が駆けつけると、そこにはボウの死体と銃を持ったマツーがいた。黒人側は、相手が殺そうとしたので正当防衛だと主張する。
この状況でマツーが白人たちのリンチに遭うとキャンディは考え、暇な老黒人たちに集合をかける。老人たちは、ぞろぞろ銃を持って集まった。
やがて、保安官(リチャード・ウィドマーク)もやってきて、誰がやったとたずねると、黒人全員は「俺こそが犯人だ」と口々に言う・・・。
以後の展開
黒人差別に絡んだ殺人事件なのにちっとも暗くも悲しくもない。老いた黒人たちが良い死に場所を見つけたとばかり、白人との決闘を心待ちにしている。
しかし白人たちは、来なかった。被害者ボウの弟はルイジアナ大でアメフトをやっていて、黒人と組んでオールアメリカンを戦っていた。彼は「黒人と戦わないでくれ、もう時代は変わった」と、保安官たちに告げる。老黒人たちも、時代が変わったことを悟る。
わかっていなかったのは、自分の元奴隷が ”A Strange Fruit” になると思いこんでいた、キャンディただ一人だったのだ。
雑感
引退した黒人たちが老体にむち打って抵抗運動をおこそうとする当たりは、映画「コクーン」みたいな話だった。
ルイジアナ州と言えば、ジャズやブルースの街ニューオーリンズがあり黒人の人口が多いのに黒人差別制度を残していた。白人の方は戦う気がなかったというが、それがルイジアナの当時だったのだろう。
しかし、1987年10月19日にブラックマンデー(米国での株価大暴落)が発生して中産階級が没落して以来、米国では徐々に混乱が広がっていく。今では、そう悠長なことは言ってられない。
1992年に日本の高校生がハロウィンで銃殺されたのもルイジアナ州バトンルージュだったし、2016年に黒人と白人警官が銃撃戦を起こしたのも同じバトンルージュだったはず。
この作品は、カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で上映されて、主としてドイツ語圏で輸入された。
キャスト
ルイス・ゴセット・ジュニア
ホリー・ハンター (1993年アカデミー主演女優賞「ピアノレッスン」)
リチャード・ウィドマーク
スタッフ
監督:フォルカー・シュレンドルフ
原作:アーネスト・ゲインズ
脚本:チャールズ・フラー