禁断のオレオ・ミルクシェイク
まだ小学生でシンガポールに住んでいた頃、
アメリカと韓国のハーフのダニエルという子と仲が良く、たまの週末に彼女の家にお泊まりさせてもらっていた。
そうしていかにも海外ドラマとかにありそうなシチュエーションなのだが、
夜遅くになると、お泊まりの時だけの特別なある飲み物を、メイドのジェニーだかジュリーだかがこしらえてくれた。
それは砕いたオレオと牛乳、バニラアイスをミキサーに入れてブレンドした「オレオ・ミルクシェイク」なるものだった。
とにかく甘くて美味しくて、日本の家庭では思いもつかないような味で、
しかも真夜中に友達の家でそれを飲む背徳感も相まって、いまだに私の中で禁断の飲み物と言えばこれしかない。
今考えるとカロリー、やばいんだろうな。
テレビの大画面では映画「スクリーム」が流れていて、お化けの仮面を被った殺人鬼が、次々と町の人を殺していってる。
それを、冷房がガンガンに効いた真っ暗な部屋の真ん中で、甘ったるいオレオ・ミルクシェイクを飲みながら、二人して毛布の隙間からこわごわ眺める夏の夜だ。