「最近の学生は本を読まない」という問題を解決してみた話
二連続で専門学校教員時代のお話しです。
最近の学生が本を読まないとは聞いたことあったけど
私の勤めていた専門学校で学生と話していると、「学生が本を読まない」ということを実感することが多くありました。
成績の良し悪しに関わらず、その分野の専門書をほとんど読んだことがないとのこと。
これが新入生とかならまだわかるんだけど、上級生に聞いても割と同じ話を聞きました。
その学校ではレポート授業や課題があったので、その時はどうしているかいうと教科書やシラバスの指定図書のみに限定して読んだり、ネットで調べているみたい。
この「本を読まない」ということについて、学生を批判したいわけではありません。別に学生のやり方でレポートが書けたり単位が落とさなければそれで構わないとは思います。
私も大学生時代にそんなに本を読んでいたわけではないし。
ただ、少し気になるのはそのやり方のままだと、「自分の知りたい知識を調べる力」が身につきにくいんじゃないかな、と思いました。
ある項目について調べたいとき、どの本からあたりをつけて読めばいいのか。あたりをつけた本の中から目当ての内容を探そうと思った場合、どこから読んでいけばいいのか。
そういった「調べる能力」(?)というのは、実際に本を読んでいかないと身につかない気がしました。
ネットで調べるのは割と学生は得意ですが、学生のうちだとまだ「信ぴょう性の高い情報とそうでない情報の区別」をつけるのは困難だと思いますので。
学生に本を読んでもらうために私がやってみたこと
私は専門学校で心理学をメインに教えてましたが、それ以外にも授業を受け持つことがありました。
その中に新入生に「レポートの書き方を教える授業」があったのですが、そこで苦労したのが「本を読んで調べてもらう」ことでした。
調べてもらう課題を提示しても、ネットや教科書など手近なところで済ませてしまいやすい。
それ以外の著書を使って調べるといったルールを設けたこともありましたが、結局その場限りになってしまう。
さてどうしたものか。
どうしていいか分からなくなったので、学生に聞くことにしました。
「なぜ図書室で調べたりしないのか」と。(注意するんじゃなくて素朴な疑問として)
んで、わかってきた事は、まず「図書室に行くのが面倒くさい」。
私のいた学校は授業を行う教室と図書室が別の建物だったため、図書室に
行くには建物を出て歩いていかないといけない。
しかも5分くらいかかる。
たかが5分といえど面倒ではあるし、雨が降ったりすれば尚更です。
その他だと「別に行く必要がない」「そもそも普段から本読まないから行ったことがない」なども理由として挙がりました。
あと、専門学校生って結構忙しいんですよね。授業とバイトでかなり詰め詰めなことが多いです。
なるほど、それなりな理由があるな、と思った私。
でも、できれば本には触れてほしい。
ならばどうするか。
学生に図書室に行ってもらうのは難しい。
ならば、私も行けばいい。
っていうか、みんなで行けばいい。
結局どうしたかというと、その授業をできる限り図書室で行うことにしました。
別に授業を教室でやらなければいけないルールはなかったし、図書室の担当職員に許可をもらい、上司にも許可をもらい、担任にも許可をもらえたので。
その授業の時間は他の学生も授業中なので使う人はほとんどいなかったし、利用予約をすれば決まった時間利用することができました。
専門学校はこの辺柔軟なイメージ。
その日から雨が降ろうが何だろうが、図書室にみんなで移動して授業をしました。
やってみたら意外と不満は少なく(もちろん多少はあったかもしれないけど)、学生も流石に目の前に本があればそれを使って調べるようになりました。
さらに嬉しい誤算だったのが、授業の空き時間(課題を出し終わって手が空いたりする)に学生が自分の興味のある本を読み始めたりすることもありました。
やっぱり環境ってめちゃ大事だなぁ。
ただ、もちろんこれはあくまできっかけを作っただけなんですよね。
これをしたから学生がめちゃめちゃ本を読むようになるかというと、そんなことは決してないわけなので。
このやり方が適切だったのかどうかはビミョーなところですが、ただ学生に「本を読みなさい」と言うだけでは変わらないな、と思ったので。
自分なりに工夫をしてみた、というお話しでした。