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好きなタイプとシンデレラコンプレックスについて

 最近、婚活ブームもあってか、twitter上でも「こんな男はやめておけ」「こんな人を探すといい」といったアドバイスが溢れている。
 「好きなタイプ」「恋人に求める条件」で挙げられるのは、顔、体型、性格、家族構成、仕事、フィーリング・・・ざっくり分けるとこんなものだろうか。

 私は、高校生くらいまで、話が合うとか、背が高くてかっこいいとか、そういった理由で人を好きになっていた気がする。
 それから時が経ち、ダメな恋愛をしていた頃は、とにかく「面白い」人を好きになっていた。

 「面白い」というのは、話が面白いだけではなく、何か専門性があったり、夢があったり、仕事内容が特殊だったり、生き方や人生が面白いと思える人のことだ。
 そういう人と少し背伸びをして話していると、なんだか自分も引き上げてもらえるような気がした。
 自分の人生の目標は好きな人の目標と同じだと思えて、好きな人を近くで支えたいと思ったりしていた。

 今その時のことを振り返ってみると、自分の人生を誰かに委ねていたのだと思う。自分の足で人生を歩んでいく自信がなく、悪く言えば生きることを面倒臭がっていたような気がする。
 割とやりたい仕事をできていると自負する私のようなタイプの人間でも、人生における成功を、自分の外側に求めていた。

 まあそんな面白い人を周りの女性がほっとくわけもなく、好きになる人は長年付き合った良い関係の彼女がいるか、特定の女性と付き合わない人が多かった。
 もし完全にフリーな人がいたとしても、そんなスタンスで恋人になりたがる私とは付き合わなかっただろう。自分の人生で夢中になれる何かがあるのに、他人の人生まで背負う暇はない。

 こうした「誰かに人生をなんとかしてもらいたい」という心理のことを、「シンデレラコンプレックス」と言うらしい。

シンデレラコンプレックスは、アメリカの女性作家コレット・ダウリングが名付けたものです。
シンデレラのように、自分自身ではなく、
「誰かが自分の人生を変えてくれる」「誰かが助けてくれる」
という、潜在的な依存願望を指摘しました。
https://reme-nomal.com/article/64762/

 自分でこの考え方に陥っている時には気づかないのだが、こういった意識の中でしている恋愛は、ものすごく単純だ。
 つまり、「正解を引けた」か「間違った」か。失恋して自信をなくして落ち込んだりするけれど、最終的には無理やりポジティブになろうとして、「また変な人に引っかかっちゃった。次は注意しないと」と思い、自分の奥深くに原因があることに気づけない。なぜなら原因を自分の外側(つまり相手)に置くことはものすごく楽で、傷つかずに済むから。
 そしてまた恋をして、「この人なら大丈夫」「信じてたのに、やっぱり裏切られた」と繰り返す。
 なんて傲慢だったんだろう、と思う。

 先日、こんなツイートをした。

 今の彼は、実は今までの私の「好きなタイプ」とはほとんど一致していない。
 彼と初めてデートしたとき、最初に思ったのは「なんだかしっくりくるなぁ」ということ。具体的に言うと、顔のつくりが自分と同じシリーズというか、レーベルが一緒というか、作画スタッフが同じというか・・・つまり「親戚にいそうな顔」だったのかもしれない。何年か後に同じように隣に座っている様子を思い浮かべることができるな、と思った。
 そして「とにかくいい奴なんだなぁ」ということ。マッチングアプリで出会った割に、口説く気があるのかないのか、自分を上げることも私を上げることもしない普通の会話をしている間にそう思った。
 この2点だけで、特別ジェットコースターのようなときめきもなく付き合うことにしたわけだけど、今でもこの第一印象は変わっていないし、これ以上に大事なポイントはなかったと思う。

 彼と付き合ったことで、今までの恋ではありえなかったような精神的な安定を手に入れることができた。そのおかげで仕事もそれ以外のことも前向きに捉えることができるようになった。今後一緒にやりたいことと、自分でやりたいことが増えた。
 以前は人生を面倒臭がっていて、自分が死ぬことをあまり怖いと思ったことがなかったけれど、彼と付き合ってから自分が死ぬのが恐ろしいと思うようになった。
 それは彼との未来が見てみたいな、という思いがあるということと、自分の人生を自分の足で生きていく覚悟がやっとできてきたということだろう。

 今まで自分がしていた「恋」に落ちる前に付き合えたことで、今までのダメな恋愛を見直し、脱却する時間がもらえた。
 もし今後彼と別れたとしても、この体験をさせてもらえたことは一生感謝すると思う。

 必要なのは幸せを無条件で与えてくれる王子様ではなく、「自分なりの幸せを築き続けていく覚悟」だった。
 そして私にとって彼が、彼にとって私が、それぞれの幸せを一緒に築いていくチームメイトになれたら最高だなーと思う。

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