『エフェソス、パトモス島への旅① ~初老のヨットマン~』
■この旅で一番長い日がはじまる
深夜1:55、ほぼ定刻通りイスタンブール行きの飛行機は上海空港を飛び立ちました。イスタンブール着は8:30です。ここは敢えて現地時間のことは考えません。搭乗時間は時間差5時間なので11時間35分なのですが、この時は計算してしまうとイヤになってしまうので、6時間ちょっとか…とワザと自分の認識をごまかしておきます。
中国東方航空のイスタンブール行き飛行機は新しくて奇麗でした。パーソナルモニタもあります。でも、日本語吹き替えの映画とかは無かったように思います。仕方ないので見たことあって展開もわかっている映画を見たりしました。それと私は英語がわからないんですが、好きそうな「ミリオン・マイルズ・アウェイ ~遠き宇宙への旅路~」をがんばって英語で見ました。何となくどんなことを話しているのか映像だけで理解できて面白かったです。
機内食が出ましたが、昨年の中国南方航空でひどい胸やけを起こした経験(歳のせいでしょうけど)があったのでほとんど手をつけませんでした。ゴメンなさい。
あとは上海での疲れもあったせいか強烈な眠気で朦朧としながら、眠っていたのかどうかもわからない状態で過ごしていました。意外と今回は長いと感じなかったかもしれないです。搭乗時間を考えなかったのがよかったのかも。
イスタンブールの朝とともにトルコに予定より少し早く到着しました。
イスタンブール空港は1年ぶりですが、前回の記憶がほとんどありません。というのも、前回は飛行機が遅れて国内線の乗り換えまで45分しかない!!というような切羽詰まった状況で広い空港を必死に走った記憶しかないんですよね。この空港は横に長いというのか国際線到着のゲートから国内線のゲートまで端から端まで移動するようなイメージですごく遠いです。
時間の余裕もあったので、ATMでのキャッシングでトルコリラの入手、イスタンブールカードの入手をしておきます。前回、ATMでのキャッシングが両替より得だと経験ずみ。ただ、ATMによって取引手数料、DCC手数料拒否が可能かが大きく変わってくるので、特定のATMを探します。
※トルコに行く際は必ず最新のATMキャッシング情報をお調べください。
私たちは昨年もATMでキャッシングしたので調べずに操作しようとしたのですが、昨年の画面と変わってQRコードが表示されていてカードレス化の画面になっていました。英語表示にすらできなくてトルコ語表示だからテキトウに操作する訳にもいかず、仕方なしに窓口で少額の両替をしました。きっと、空港だからで地方に行けば馴染みの表示のATMがあるはず…などと安易に考えていました。
さて、今度はイスタンブールカードを手に入れに地下鉄の乗り場まで行こうと空港の外に出ました。イスタンブールの公共交通機関はほぼこのカードで乗れてました。でも、逆にこのカードを持っていないと何も乗れないんです。現金では公共交通機関に乗れません。空港駅ならイスタンブールカードを確実に入手できると思ったんです。でも空港出て長い長い通路を歩くうち…思い出しました。そういや、空港駅はすごく遠かったことを。
やめとこう。きっとほかでも買えるはず…
気を取りなおして空港に戻りボドルムに向かうため、ターキッシュエアのカウンタでチェックイン、空港内のショップを見て歩きました。バーガーキングを発見、去年、バーガーキングのコーヒーフラッペみたいなのが安くてめちゃくちゃ美味しかったので、カフェモカのフラッペを空港価格90リラを頼んでみました。ちなみに昨年、イスタンブールのスタバでコーヒーを飲みましたが日本よりもだいぶ高かったと思います。そんな街歩きで見つけたバーガーキングのコーヒーフラッペは市街価格で200円くらいだったでしょうか。それなのにスタバよりおいしかったんです。
ちょっと高いのは空港だから仕方ないです。去年のあのおいし…⁈⁈⁈
なんだコレ???
薄いしコーヒーの味しないし、今までのなかで間違いなくダントツにまずいコーヒーだったことに結構なショックを受けました。去年のアレ、なんだんたんだろ?
なにかいろいろうまくいかないです。
だけど、今日中にコス島に着くというミッションに比べたら些細なこと。
再び気を取りなおしてボドルム行きの出発ゲートに向かいます。すると、そこで2人の日本人らしき方を見かけました。ボドルム行く人なんて珍しいなと思いながらもあまり気にしてませんでした。
出発時間になって定刻通りに飛行機が離陸、私はターキッシュエアが好きです。
国内線ではもう一社、ペガサス航空がトルコ国内を飛んでいて飛行機代はほぼ同じですがターキッシュエアの方が絶対いい。これまでに比べれば1時間ちょっとのフライトなんてあっという間で問題なくミラス・ボドルム空港へ到着しました。預け荷物が無い私たちは空港を1番に出て市街行きのバス、Havasを探します。空港を出てすぐのところにHavasのバスがいるのですぐわかりました。そばに運転手がいたので聞くとチケットはなく乗り込む時に現金直接払い、15分くらいで出るそう。乗り込んだ私たちの後ろの席から日本語が聞こえてくる。やっぱり日本人なんだと思い、声をかけました。そしたらどうやら同じフェリーでコス島に向かうとのことでした。それならということで、一緒に行動しましょうということになりました。
ボドルム港からコス島行きのフェリーは3社あり、ボドルム港での乗り場の場所がそれぞれ違います。私はそれをちゃんと認識できていなくて2つの乗り場の位置はわかっていたのですが、もうひとつの乗り場は認識できていませんでした。フェリーチケットを予約した際のメールの案内では乗り場の位置がマップ表示されていたのですが、私はそれをチラッと見て市街に近い乗り場だと勘違いしていたのです。
ここで出会った初老の日本人夫婦は何度かボドルムに来られているようでフェリー乗り場の位置を知っていて、バスを降りたターミナルから歩けるような距離じゃないって教えてくれたのです。位置も勘違いしていたし確かに荷物持って歩ける距離ではなかったのでこの出会いがなかったらコス島にたどり着けなかったかもしれません。この夫婦と相乗りでタクシーでちゃんと乗り場に着くことができました。本当に感謝です。
フェリー乗り場に馴染みのATMを見つけたのでキャッシング再チャレンジしましたが、やっぱり同じ…ここでネットでようやく調べました。もっと早く調べればよかったのですが、知っているという変な自信が邪魔をしていました。最初にクレジットカードを差し入れればよかっただけのようで、英語表記の切り替えもキャッシングもDCC拒否もできました。ただ、ユーロのキャッシングはできなかったのでコス島に行ってからキャッシングすることにしました。
時刻は15:30過ぎ、フェリー乗り場のチケットカウンタは出航の1時間前でないと開かないようで簡易の出国ゲートも閉まっていました。成田を出発してから弾丸のようにここまでやってきました。あとはフェリーに20分ほど乗るだけです。
■初老のヨットマンが語る旅
コス島はボドルムの港から見える位置にあって、高速フェリーで20分(船によっては30分)で着きます。多少の揺れはあるかもしれませんが酔い止めはいらないと思います。
船のなかで出会った日本人夫婦と話をしました。すでに仕事はリタイヤされていて、今はヨットをチャーターして旅をしているそう。何やら私たちの旅と次元がちがうような気がしてきましたが、ヨットの免許を持っていればそんなに高額な旅ではなくEU圏なんかではヨットをチャーターするのは一般的なんだそう。ホテル代はかからず自炊もできて、好きなところに停泊できるのだとか。秋冬の地中海は荒れるらしくて今回のヨット旅が今シーズン最後なのだそう。そういえば、パウロがローマに護送される時に秋冬の強い風に煽られて船が難破したっけなどと思いながら聞いていました。
最初は無口な人かと思いましたが、こうやってヨット旅の話をうれしそうに語るところはかっこよくて自由に生きている感にあふれていました。
私たちはパトモス島に行くことを伝えると、ヨットマンはシミ島というところに行ってヨットをチャーターするのだそう。フェリーがコス島に着くとかっこいいヨットマンたちと別れて互いに旅の無事を祈りました。
今回、私はコス島をただの中継地点としか考えていなかったのですが、実はコス島、パウロも寄ったことがあったのです。(使途言行録21:1)コス島の歴史は古くて古代医学の父と言われるヒポクラテス(紀元前460年~紀元前370年くらい)がコス島出身として知られています。それだけ歴史があるということは現在のコスタウンの港が古代から栄えていて、パウロが立ち寄ったのもコスタウンの可能性は十分にあると思いました。
コスタウンはトルコから手軽に来れることもあって完全にリゾート化されています。有名なギリシャのサントリーニ島やミコノス島は物価が高すぎるからコス島の方が絶対にいいという人がいるんです。港にはヨットやら海賊船を模した観光船が並んでいて、ここからプライベートビーチみたいなところへ連れて行ってくれるんだそう。船にはスライダーまであって海にそのままドボンできるみたいです。
こうして長い1日は終わり、ホテルでベッドに横になったら久しぶりにちゃんと寝れることに幸せを感じました。よくここまで来たな。
そんなこといろいろ考える間もなく意識がなくなりました。
次はいよいよ使途ヨハネが黙示録を記したパトモス島へ上陸します。