『シャイニング』を観たよ。
概要
学校課題のレポートを投稿するシリーズ、第5弾です。今回はスタンリー・キューブリック作品が課題に。私はここで、ある二つの作品で迷いました。フルメタル・ジャケットとシャイニングです。
フルメタル・ジャケットは、単純に以前観たことがあったから、シャイニングについては、とある動画で(ちょっとだけ)シャイニングについて論じられている部分を活かして文章化したいからという理由で迷っていました。どちらを選ぶべきか、悩むこと大体15分、新しい映画を見た方が学びになるかもしれないと考え、シャイニングを鑑賞しました。
めっちゃよかった。客として鑑賞していたら多分倒れてた。めっちゃよかった。で、前述のシャイニング選考理由になった部分、あんまり活かせていないです。思ったより常識的な要素だったから、あんまり書く必要ないだろうって。正直書かなくても良かったかもしれないです。
あんまり活かせなかったもう一つの理由は、映像自体がそれどころじゃないくらい凄まじかったからです。今回のレポートでは、シャイニングの映像のどこが凄まじいのかについてを書きました。それでは本文へ
『自然光の力』
ある日、とある人から『フルメタル・ジャケット』を勧められた。高校の頃に作っていた作品を見て、私に合っているのではないかと思ったそうだ。その時感じたのは、凄まじい迫力と映像の雰囲気の圧倒的なリアルさだった。このレポートを書くにあたり鑑賞した『シャイニング』においても、同様の特徴が見られた。言うまでもなく、スタンリー・キューブリックの作品の一つの特徴である、自然光に近い照明、または自然光そのものを用いた撮影によるものだ。この作品に感じる恐怖の原因のひとつだろうと私は考えている。
自然光や自然に近い光を用いることで、光の当たり方や遮られ方がとても自然なものになり、その映像に『ウソ』を感じなくなる。照明を使って影を消すなどして、俳優の表情を見えやすくすれば、それはそれで分かりやすい映像に仕上がるが、自然光を巧く利用することができれば、生活している中でよく見る光と影の具合をそのまま映像に捉えることができるため、表情の移ろいを現実的に感じられる、キャラクターの心情理解に繋がっていくのだ。そのおかげで、シャイニングおいては怖さが増した。フルメタル・ジャケットでは緊迫感に繋がった。しかもこれは、表情に限らず、風景においても効果を発揮した。顕著な例かはさておいて、私が特にそうだと感じた場面を紹介しよう。後半、完全におかしくなったジャックが、暗闇から現れたシーンだ。冬の朝、日が上がり切っていない時間帯のホテルに感じるちょっとした非日常な空気の中、間違いなく非日常的な要素が顔を表していく。タイプライターで打ち込まれた不気味な文字の数々、そこに突然現れる恐ろしい表情のジャック、そのジャックから放たれる言葉の数々...すごく怖かった。というか、ウェンディが感じた恐怖感が容易に想像できてしまって恐ろしかった。絶対にあり得ない状況にも関わらず、画面に映る景色がとてもリアルなので、緊張感が凄まじいのだ。
これのおかげで、私たち日本人でもこの映画を怖いと感じられたと言っても過言ではないだろう。『シャイニング』には、明確な意思を持った最悪な演出やシンボルが幾度となく現れ、アメリカ国籍を持つ白人へ向けて、ネイティブアメリカンによる白人たちへの復讐という物語を感じさせるようになっている。というか多分この作品のメインテーマはそこだ。だがしかし、私をはじめとした日本人なんかは、そうそう知ったこっちゃない話なのだ。我々はアメリカ人でもなければ根源的な黒人差別の考えや歴史を持っているわけではない。だから正直言ってこの作品を「怖い」と感じる要素は無いのだ。だがしかし、この作品、めちゃくちゃうまく作られている。ストーリーそのものがまず怖い上、そのストーリーの怖さに気づけずただ見ているだけでも、登場人物の表情や心情について、容易に想像ができる、共感に近い感覚を味わうことになる。ホラー映画として最高と言える最悪な映像体験だ。
自然光がもたらす効果は絶大だが、誰しもが活かせるわけではない。むやみに自然光を用いてしまえば、それこそ暗すぎたりしてわけのわからない映像に仕上がってしまう。スタンリー・キューブリックの能力の高さが伺える、素晴らしい技術と言えるだろう。
あとが…き?
レポートの序盤、私に合っているって勧められたと書いてある部分について少しだけ。高校の頃にどんな作品を作っていたのかをご紹介。簡単に説明しますと、歩いて目に入った「いい!」って風景だったりを撮影した写真や動画を映像にまとめたものです。照明機材は一切使われておりません。
この他に制作していた短編映画でも、これといって照明機材は一切使用していませんでした。単純に機材が無いってだけの話なんですがね。ハハ。
シャイニングを選考する理由になった動画