IJN Kongo Class 1941 日本海軍戦艦 金剛型制作記 #4 (Fujimi 1/700 waterline kit)
5.艦橋周り
日本の戦艦の特徴である複雑な構造の艦橋ですが、特シリーズの各艦はしっかりとした考証のもとで作られているため、基本的には、説明書通りパーツの組立てを行えば問題ありません。
5-1.艦橋の組立て
EPを使用する場合、左図の霧島のように純正EPがある場合は、元のパーツを削り取って置き換えますが、高さや金属パーツとの厚みの違いなどに気を付ける必要があります。背後のガーダー部を含む支柱材は、艦橋各層と何度も仮置きしながら調整をする必要がありました。
中央図の金剛は、純正EPではないため、窓枠や手すり、トラス部の一部にのみEPを使用しました。画像は載せていませんが、比叡もほぼ同様です。層を跨いだパーツがないので、組み上げやすく、塗装も楽になります。
仮組で問題のないことを確認したら、ばらしてサフと軍艦色を噴きます。その後で、艦載機甲板のところで説明したように、リノリウム甲板の表現を行いました(A)。
金剛のガーダーパーツU22(B)はトラス部分と両端のガーダー部をEPに置き換えました。もう一つ接着前に気を付けたいのは、マスト部(C)です。仮組ではちゃんと穴に通っていたものが、塗装することで通らなくなることがあるので、予め穴を大きくしておくか、マストを削って細くしておく必要があります。
5-2.窓ガラスの表現
艦橋をはじめとする各窓には一部を除いてガラスが入っていたはずです。これをどう表現するのかは、かなり悩んできました。窓枠のEPを付けた後に後ろに透明プラ板を貼る方法や、透明プラ板にスジボリをしてそこに軍艦色で窓枠を描く方法などを試してきましたが、奇麗な仕上がりにはなりませんでした。伊勢型で初めて特シリーズを組み、その精密さから下手に手を加えないほうが良いと判断し、EPのままとしました(左図)。特シリーズに慣れてきた長門型では透明プラ板にスジボリした窓枠を入れてみましたが、いまいちの出来でした(中央)。
金剛型からは、窓枠のEPを塗装後、透明のレジンを裏側から爪楊枝の先で塗ってみました。レジンに粘性があり表面張力で枠内を埋めることができたので、日に当てることでうまく固めることができました。表面に盛り上がったようにならないよう注意すれば、まあまあの出来となります(右図)。
5-3.信号旗用ロープ
艦橋斜め後方に張り出したヤードから信号旗用のロープを垂らします。ヤード下側に取り付けたプラ板の5つの円盤(滑車)から、クリーム色の伸ばしランナーを2本ずつ、第二艦橋の後方の張り出し部2か所の留め具に接着していきます。以前はEPや金属線を使用していましたが、瞬着よりセメント接着剤の方が扱いやすいので、滑車や留め具とロープはプラスチック製にしています。
また、この作業は、艦橋を本体に接着する前の方が、扱いやすいと思います。
5-4.金剛・霧島高射砲射撃指揮所
測距儀や高射装置が配置されている高射砲射撃指揮所は、金剛型の組立てで一番難しい箇所だと思います。トラス構造があるので基本的にEPと置き換えます。
金剛では、パーツZ3+V5とZ4+V6の代わりに、舷側側の下部が塞がれた形のEP(A)に置き換えましたが、下部中央側は艦載艇台と干渉するので切り取りました。パーツT21は通路部分を切り離して使用します(B)が、左図のように艦橋の下部艦橋甲板と通路(C)で結ばれているので、艦橋の設置後に高さが一致するよう調節が必要です。
霧島では、パーツN2とN3(+L26)をEP(D)に、L2の通路を切り離し(E)とし、通路はEP(F)に置き換えました。
5-5.比叡一番二番探照燈台
比叡では、他艦の高射砲射撃指揮所の場所が一番二番探照燈台と五番六番機銃台となっています。右舷の場合、パーツF17とF33はそのまま使用し(A、B)、F20の代わりに三角柱となるようにトラス構造のEPを汎用パーツから組立てました(C)。さらにパーツF16にある通路部分を切り離し、艦橋に沿った通路となるようプラ板で作ったもの(D)に置き換えました。
5-6.艦橋の艤装
艦橋の細かいパーツを付けてしまうと、艦体に接着する時にしっかりと押さえつける場所がなくなってしまうので、艦体接着後に艦橋の艤装を行います。なお、霧島は第二砲塔を艦橋より先に接着しておかないと、上部艦橋甲板の機関銃座が干渉してしまいます。
霧島を例に艦橋の艤装を説明していきます。ループアンテナ(A)と九〇式無線電話機(B)はEP、12cm高角双眼望遠鏡(C)(一部8㎝高角双眼望遠鏡)機銃射撃式装置(D)はFineMolds製、60cm信号燈(E)、1.5m航海用測距儀(F)、25mm連装機銃(G)はキットの物、探照燈管制器(H)はVETERAN MODELS製を使用しました。 艦橋甲板の横には舷燈(I)があるので、右舷は緑に、左舷は赤に着色しました。なお、金剛の舷燈は霧島と同一箇所ですが、比叡は中段の作戦室甲板にあります。
艦橋の前部の三か所とヤード上の左右にある信号燈類(信号燈、檣燈、曳航燈など)(J)は、伸ばした透明ランナーの上部を軍艦色で塗装したものを使用しました。
また、霧島の手すりは、比叡の後部艦橋で説明した木工用ボンドと塗料を混ぜてキャンバス地表現(K)を行いました。
制作2023年1月-2023年11月
スケールモデル祭り2023にエントリーしました(エントリー№29)
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