見出し画像

H.M.S. Repulse 1941 英国海軍巡洋戦艦レパルス制作記 #6 (Tamiya 1/700 waterline kit)


8.その他装備

8-1.艦載機

Pic.8-1 艦載機

 キットにはウォーラスのパーツ(A)がありますが、『Royal Navyは奥が深い』に記載したように、レパルスには、フェアリーIII型水偵が搭載されていたという資料があったため、Orange HobbyのRoyal Oakに付属しているパーツを参考に日本海軍艦船装備セット2の九十四式水偵からフェアリーIII型(B)を作りました。
 その後1939年9月から1941年8月まではフェアリー・ソードフィッシュ(Mk.Iのロート付き)が搭載され(C:翼を折りたたんでいる)、マレー沖海戦時はスーパーマリーン・ウォーラスが搭載されていたことがわかったので、アオシマのアークロイヤルのソードフィッシュに九十四式水偵のフロートを履かせた機体(D)を作りました。

8-2.艦載艇

Pic.8-2 艦載艇

 第二次改装後で艦載艇が鮮明にわかる写真は少なく、確認できたのはこの2枚のみです。(A)は撮影時期は不明ですが、1938年3月から1940年5月の間と思われ、艦載艇の艦底部が濃い色となっています。(B)は1936年撮影で艦底部が明るい色になっています。いずれも前部船室(操舵室?)の構造が中央部の船室より細く、背が高くなっていて、後部は船室ではなくオープンスペースとなっているようです。おそらく45ft級と思われますが、他の英国艦搭載の45ft級とは違う型式です。
 キットに含まれている艦載艇パーツは(C)の通りです。大きさから45ft級に相当するものとして(D)2隻、(E)と(F)が1隻ずつあります。さらに様々なボート類が8隻あります。どう対応してよいやら悩んでいましたが、ようやく中国のレジン製品にレパルス用の全艦載艇セットを見つけました(G)。
 この内容を信じて、以下のようにキットのパーツを改造あるいはFLYHAWKのレジンパーツ等を使って配置しました。(右下図:文字色をGの図と合わせました)
(H)45ft fast motor boat(FMB)×3
(I)45ft motor launch(ランチ)×1
(J)35ft fast motor boat(FMB)×1:FLYHAWK
(K)32ft cutter (カッター)×2
(L)30ft cutter (カッター)×1:ランチ上
(M)30ft gig(ギグ)×2:左舷も:FLYHAWK
(N)27ft whaler(ホェーラー)×2:ギグ上、左舷も
(O)16ft fast motor boat(FMB)×1:FLYHAWK
(P)16ft dinghy(ディンキー)×1:ランチ上
 (C)の説明図にはあと(Q)30ft gigと(R)27ft whalerがありますが、確認できる写真がなかったので省略しました。

8-3.最終艤装

Pic.8-3 最終艤装

 艦橋上部から後部マストのヤードへの無線用の張線(A)、後部マストの赤と緑の舵柄信号を付けたロープ(B)、後部マストの旗竿とロープ(C)、艦首の小型マスト(D)と後部構造物周りの左舷7本、右舷3本計10本のポール(E)を取り付けて、最後に艦尾にホワイトエンサインを付けた旗竿(F)で完成です。

9.おわりに

H.M.S. Prince of Wales 1941 &  H.M.S. Repulse 1941

 ネルソン級からの課題であった艦載機と艦載艇でかなり手間取り、2か月以上を要してようやく巡洋戦艦らしい美しい姿を完成させることができました。
 本来であれば艦体の色は大戦中における本国艦隊(The Home Fleet)仕様の507Bダークグレイあるいは迷彩塗装としなければならないのですが、やはり英国艦は、Naval Holyday時やマルタなどで活躍していた時の明るい507C単色が似合います。
 1941年の5月のデンマーク海峡海戦でフッドが、12月のマレー沖海戦でレパルスがあっけなく撃沈されてしまい、フィッシャー提督の巡洋戦艦思想は第二次大戦になっても打ち砕かれた結果になってしまいました。もっとも、デンマーク海峡でもマレー沖でも僚艦はプリンス・オブ・ウェールズでした。もしかしたらこの艦の運のなさがフッドやレパルスの運命も変えたのかもしれません。
 最後に半年後の不吉な運命を思わせる2艦を並べてみました。

10.参考文献

  1. 丸 季刊 Graphic Quarterly 第22号 写真集 英国の戦艦 潮書房 1975

  2. 世界の艦船 1980年6月号増刊 第283集(増刊第9集)第2次世界大戦のイギリス軍艦 海人社 1980

  3. 世界の艦船 1990年11月号増刊 第429集(増刊第30集)イギリス戦艦史 海人社 1990

  4. モデルアート 2004年12月号臨時増刊 No.671 艦船模型スペシャルNo.14 イギリス戦艦編 モデルアート社 2004

  5. Super Drawings in 3D "HMS Repulse" Stefan Draminski KAGERO Publishing 2009

  6. 世界の艦船 2020年9月号増刊 第932集(増刊第175集)傑作軍艦アーカイブ10 英巡洋戦艦「フッド」「リパルス」「リナウン」2020

  7. 艦船模型スペシャルNo.80 2021 SUMMER 女王陛下の戦艦 モデルアート社 2021

2024年5月制作開始
2024年7月20日完成
© 2024 Thyme Craft All Rights Reserved.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?