見出し画像

H.M.S. Nelson Class 1941 英国海軍戦艦ネルソン級制作記 #1 (Tamiya 1/700 waterline kit)


1 はじめに

1-1.ネルソン級

 イギリスは1922 年のワシントン海軍軍縮条約で陸奥の存続を巡る擦った揉んだの末に、2隻の戦艦を新造できる枠を獲得しました。そこで、イギリス海軍は16インチ(40.6㎝)砲を備えたアメリカのコロラド級3隻、日本の長門級2隻と同等の攻撃力を備えた新型戦艦の建造に取り掛かり、一番艦のネルソンが1925年9月に、2番艦のロドネイが1925年12月に進水しました。
 ネルソン級の特徴は、16インチ(406 mm)砲9門の主砲をすべて艦橋の前部に配置していることです。また、堅牢な装甲で覆われており、敵の砲弾からの防御力を強化していましたが、軽量化を目的とした二軸スクリュー配置が採用されたため、速力や機動性は犠牲にされてしまいました。
 両艦は1927年に就役し、第二次世界大戦中に幾度かの改装を経ながら大西洋、地中海、インド洋から日本近海まで広範囲に活躍しました。特にロドネイは、1941年5月のドイツ戦艦ビスマルク沈没における役割で有名になりました。
 なお、Rodneyの日本語表記については、現在では『ロドニー』と表記するのが一般的ですが、タミヤのキット名に沿って『ロドネイ』と表記しました。

1-2.使用キット

タミヤ 1/700 ウォーターラインシリーズ No.104(現行No.602) イギリス海軍 戦艦 ネルソン
タミヤ 1/700 ウォーターラインシリーズ No.102(現行No.601) イギリス海軍 戦艦 ロドネイ
 40年以上前のキットですが、「タミヤクオリティー」の素晴らしいキットです。ネルソンは大戦後期の対空武装を強化した頃を、ロドネイは新造時の姿をモデル化しています。このため、1941年5月時にするには、いささか手を加える必要があります。
 大きくは、ネルソンの場合、対空武装を減らし、BとC砲塔上にUPランチャー(ロケットランチャー)を設置した状態に、ロドネイの場合、C砲塔上にカタパルトを設置しウォーラスを搭載した状態にすれば良いと考え、作業に取り掛かりました。

Pic.1-2 エッチングパーツ

 エッチングパーツは、主にTOMS MODEL WORKSのネルソン級を使用し、追加で必要な手すりやはしご類は汎用の物を使用しました。通気筒類は、金剛型でも使用したレジン製のヘビーホビー HEAVY HOBBYのWWI 英国海軍 通風筒セットA とFLYHAWKの金属製のWWII 日本海軍艦艇用 通風筒(ベンチレーター)I 大 II 中 III 小等を使用しました。
 その他ピットロード日本海軍艦船装備セットから装備品をいくつか流用しました。

2 艦体の制作

2-1.艦底の接着

Pic.2-1 艦底パーツ

 作業用及び展示の台座にビス止めするための穴を艦底のパーツにダイソーの金具に合わせて開け(A、B、C)、穴に合わせてナットを置いて接着します。ビスを回す際に接着が外れてしまうのを防止するため、プラ材で周りを固定しました。さらに、ナットが抜け落ちるのを防ぐため、ビスの通る穴を開けたプラ板を貼り合わせました(D、E)。
 この艦底を艦体パーツに接着するのですが、強く接着させるために無理な力を加えると艦体のパーツ外側に膨らんでが艦底のパーツより広くなってしまうことがあるので、少々隙間があっても力を加えずそっと接着剤を流し込みました。隙間はパテで埋めるなどして合わせ目をやすりで消します(F)。
 この合わせ目ですが、日本艦の場合はグレーの軍艦色と赤い艦底色なのでが目立つのでしっかりと消す必要があります。しかし、英国艦やドイツ艦の場合は喫水線部分は黒色のラインなので、実はあまり目立ちません。

2-2.消磁ケーブル

Pic.2-2-1 H.M.S.Nelson

 画像は、ネルソンの写真として有名な1940年頃にスカパーフロー近く(Loch Ewe? イーウェ湖:スコットランド北部の島や半島に囲まれた海域)で撮影されたもの(あとで何回か登場予定です)ですが、(A)に示したように対機雷用の消磁ケーブル(degaussing cable)が設置されていることがわかります。
 イギリス本国艦隊(特にネルソン)は、開戦後ドイツのUボートの仕掛けた機雷に何度か触れて被害を受けたため、慌てて設置したようですが、設置時期は不明です。ネルソンの場合、UPランチャーを搭載した写真にはケーブルを確認することができるので、1940年前半にドック入りしていた時期に設置されたのではないかと思います。
 ロドネイに設置された写真は確認できなかったので設置されなかった可能性が高いのですが、ネルソンに揃えて装備させました。

Pic.2-2-2 消磁ケーブル

 艦首部分などはカバーが付けられているので、1.5㎜程度に切ったプラ板を張りました(B)。ケーブルがむき出しの部分は、2段分切り取った手すりのエッチングパーツを貼り付けて表現してみました(C)。
 実際は1段目と2段目で留め具がずれているのですが(D:ネルソン艦尾)、1段ずつずらして綺麗に貼り付ける自信がなかったのでこの方法としました。ちなみに過去作のキングジョージ五世もこの方法を使いました。

2-3.艦体の塗装

Pic.2-3 サフ塗装

 ケーブル設置後にサフを噴いて艦底の合わせ目を確認しました(A)。合わせ目消しが不十分な箇所はやすりをかけたりパテを埋めたりして修正し、鋼板の継ぎ目表現のために一部マスキングをしてもう一度サフを噴きました。このあと、英国海軍標準色である507cで塗装し(B)、最後に黒い喫水線部分に濃いダークグレーで塗装をしました。
 実際は、開戦後の英国本国艦隊所属艦は、もっと暗い色合いの507bで塗装されていましたが、Naval Holidayや地中海活動時の明るい塗装が好きなので、KGVクラスやHood以来ニュートラルグレーに白を混ぜた明るいグレーで塗装しています(507c自体がもっと暗い色だったという指摘もあります)。塗装後作業台にビス止めしました。

2024年1月制作開始
© 2024 Thyme Craft All Rights Reserved.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?